力士の給料はどこから支払われる?意外な財源と年収の仕組みを公開!

煌びやかな化粧廻しを締め、高級車で場所入りする人気力士たち。彼らが手にする高額な報酬は、一体どこから支払われているのでしょうか。実は、力士の給料を支払っている「日本相撲協会」は、年間10億円以上の黒字を出すこともある超優良経営の組織です。

しかし、すべての力士が裕福なわけではありません。関取と呼ばれる上位約10%の力士と、それ以下の力士では、収入に「天と地」ほどの差が存在します。本記事では、意外と知られていない相撲界のお金事情について、最新のデータを交えて解説します。

  • 相撲協会の主な収益源(チケット・放映権)
  • 横綱から序ノ口までのリアルな年収格差
  • 懸賞金の手取り額が激減した最新の変更点

力士の給料はどこから出る?日本相撲協会の収益構造

力士の給料は、公益財団法人である「日本相撲協会」から支払われています。協会は国からの税金で運営されているわけではなく、独自の事業収益によって成り立っている独立した組織です。その収益構造は非常に強固で、2024年度の決算では約11億5800万円もの黒字を計上しています。ここでは、力士たちの生活を支える協会の巨大な「財布の中身」について詳しく見ていきましょう。

入場料収入(本場所チケット・満員御礼の威力)

相撲協会の収益の柱となるのが、年6回開催される本場所の入場料収入です。東京の両国国技館をはじめ、大阪、名古屋、福岡で開催される本場所は、連日多くの観客で賑わいます。特に近年は若者や外国人観光客の増加により「満員御礼」が続くことも珍しくありません。1開催で15日間、年間90日間の興行によるチケット売上は、協会の総収益の約半分近くを占めると言われています。この安定した現金収入こそが、力士たちの高額な給与を支える最大の原資となっているのです。さらに、維持員(砂かぶり席)からの寄付金なども重要な収入源の一部です。

NHK放映権料とメディア契約

チケット収入に次ぐ大きな収益源が、NHKによる大相撲中継の放映権料です。具体的な契約金額は公表されていませんが、年間で数十億円規模にのぼると推測されています。この放映権料は、天候や客入りに左右されやすいチケット収入とは異なり、安定して入ってくる固定収入としての性質を持ちます。また、近年ではインターネット配信など、新たなメディアとの契約も進んでおり、収益の多角化が進んでいます。これらのメディア収入があるからこそ、協会は安定した経営を維持し、力士への待遇を保証できるのです。

企業からのスポンサー収入と懸賞金手数料

土俵上を回る懸賞旗や、呼び出しの着物、場内の看板など、大相撲には多くの企業スポンサーがついています。特に懸賞金については、スポンサーが支払う1本70,000円のうち、手数料として一定額が協会の収入となります。人気力士の一番には数十本の懸賞がかかることもあり、その積み重ねは無視できない金額になります。また、本場所の協賛企業からのスポンサー料も、協会の運営を支える重要な資金源です。伝統文化としての信頼性が高いため、大手企業からの出資が途切れないのも強みと言えるでしょう。

グッズ販売とファンクラブ会費

国技館内の売店や公式オンラインショップでのグッズ販売も、近年急成長している収益源です。力士の似顔絵が入ったタオルや文房具、お菓子などは飛ぶように売れ、人気力士のグッズは即完売することもあります。さらに、公式ファンクラブの開設により、会費収入という新たな柱も確立されました。ファンクラブ会員限定のイベントや先行チケット販売などの特典を用意することで、安定した会員数を維持しています。これらの物販・ファンビジネスは、単なる収益だけでなく、ファンの満足度向上にも寄与しています。

地方巡業の契約金と興行収入

本場所がない期間に行われる「地方巡業」も、協会にとって重要な収入源の一つです。巡業は、開催地の勧進元(主催者)が協会に「契約金(売り興行の場合は一式)」を支払う形で開催されることが一般的です。これにより、協会側は興行のリスクを抑えつつ、確実に収益を上げることが可能になります。また、巡業は地方のファンを開拓し、将来的な本場所への集客につなげるプロモーションの役割も果たしています。コロナ禍以降、巡業の開催数も回復傾向にあり、再び大きな収益を生み出し始めています。

番付で決まる!関取と幕下の「天と地」ほどの年収格差

大相撲の世界は完全な実力社会であり、給与体系も「関取(十両以上)」と「養成員(幕下以下)」で明確に線引きされています。関取になれば月給制となり、生活は一変しますが、幕下以下の力士には給料という概念自体が存在しません。この「天と地」ほどの待遇差こそが、力士たちが必死に番付を上げようとする最大のモチベーションです。ここでは、具体的な金額とともにその格差のリアルに迫ります。

【関取】横綱から十両までの月給一覧

十両以上の関取になると、日本相撲協会から毎月の「月額給与」が支給されます。現在の規定では、横綱の月給は300万円、大関は250万円と定められています。三役である関脇・小結は180万円、平幕(前頭)は140万円、そして関取の最低ラインである十両でも110万円が支給されます。これらはあくまで基本給であり、年収に換算すると横綱は3600万円、十両でも1320万円がベースとなります。20代の若者であっても、関取になれば一般的なサラリーマンの数倍以上の収入が約束されるのです。

【養成員】幕下以下は給料ゼロ?場所手当の実態

一方で、幕下以下の力士(幕下、三段目、序二段、序ノ口)には、毎月の給料は1円も支払われません。彼らに支給されるのは、年6回の本場所ごとに支払われる「場所手当」のみです。その金額は幕下で1場所あたり約16万5000円、最も下の序ノ口では約7万7000円程度に過ぎません。年収に換算すると、幕下でも約100万円、序ノ口なら50万円以下という厳しい現実があります。ただし、部屋での食事や住居は無料であり、衣食住にかかるお金はほとんど必要ないため、生活自体は保障されています。

年2回のボーナスと力士褒賞金(持ち給金)

関取には毎月の給与に加え、年2回(9月と12月)に給与1カ月分相当のボーナス(賞与)が支給されます。さらに、相撲界独自のインセンティブシステムとして「力士褒賞金(持ち給金)」が存在します。これは過去の勝ち星や昇進履歴に応じて積み立てられる係数に、4,000倍を掛けた金額が本場所ごとに支給される仕組みです。長く活躍し、勝ち越や金星を重ねるほどこの金額は増えていき、引退するまで減ることはありません。ベテラン力士になると、基本給に加えて数百万円単位の褒賞金を受け取ることも珍しくないのです。

勝利の味!懸賞金と賞金のリアルな手取り額

本場所の土俵入りで注目を集めるのが、勝った力士が受け取る「懸賞金」の束です。人気力士の一番には数十本の懸賞旗が回り、勝者は分厚い袋を手にしますが、その中身がすべて自由に使えるわけではありません。実は、近年のルール変更により、土俵上で受け取る「現金」の額は以前よりも大幅に減額されています。ここでは、懸賞金の内訳や優勝賞金など、勝利した力士だけが得られる臨時収入について解説します。

懸賞金1本7万円の内訳(現金手取りは激減?)

懸賞金はスポンサー企業から1本あたり70,000円が支払われますが、力士の懐に入るのはその全額ではありません。まず、10,000円は相撲協会の事務経費として差し引かれ、力士の取り分は残り60,000円となります。さらに、この60,000円のうち大部分は所得税の支払いに備えて協会が預かる「納税充当金」として積み立てられます。かつては土俵上で30,000円が現金で手渡されていましたが、最新の規定(2024年以降の変更)では防犯等の観点から「現金手取りは10,000円」に変更されています。残りの50,000円は預かり金となり、引退時や納税時に精算される仕組みです。

優勝賞金1000万円と三賞の臨時ボーナス

本場所で幕内最高優勝を果たすと、賞金として1000万円が授与されます。これは月給の数カ月分に相当する大金であり、力士にとっては最大の名誉とともに得られる大きな報酬です。また、優勝できなくても、場所を通じて活躍した力士には「殊勲賞」「敢闘賞」「技能賞」の三賞が贈られることがあります。これらの賞金は各200万円と定められており、関取にとっては非常に大きな臨時ボーナスとなります。さらに、十両優勝で200万円、幕下優勝で50万円など、各段の優勝者にもそれぞれ賞金が用意されています。

平幕の夢「金星」がもたらす給金アップの仕組み

平幕(前頭)の力士が横綱に勝つことを「金星」と呼びますが、これは単なる名誉だけでなく、経済的にも大きな意味を持ちます。金星を挙げると、先述した「力士褒賞金」の算定係数が一気に加算されます。具体的には、金星1つにつき場所ごとの支給額が4万円永続的にアップすると言われています。これは引退するまで毎場所(年6回)支払われ続けるため、1つの金星が生涯で数百万円以上の価値を生むこともあります。まさに「金星」は、力士にとって一攫千金のチャンスと言えるのです。

意外とかかる?力士の必要経費と税金事情

高収入に見える関取ですが、入ってくるお金が多い分、出ていくお金もまた高額です。実は、関取は会社員ではなく「個人事業主」として扱われるため、自身の収入から経費を支払い、確定申告を行う必要があります。華やかな生活の裏側で、彼らはどのような費用を負担しているのでしょうか。ここでは、力士ならではの必要経費や、引退後の生活を支えるお金について掘り下げます。

力士は個人事業主?確定申告と税金の扱い

関取になると、税務上は「個人事業主」として扱われ、毎年ご自身で確定申告を行わなければなりません。相撲協会から支払われる給与や褒賞金、懸賞金はすべて事業収入(売上)として計上されます。そこから、業務に必要な経費を差し引いた所得に対して、所得税や住民税が課税されます。稼げば稼ぐほど税率も高くなるため、前述の懸賞金の積立制度などが重要になってくるのです。一方、給料のない幕下以下の力士は、金額が少ないため基本的に課税対象にならないケースがほとんどです。

付け人への小遣いや着物・廻しの費用

関取の経費として特に大きいのが、身の回りの世話をしてくれる「付け人(幕下以下の力士)」へのお小遣いや食費です。兄弟子として彼らの面倒を見ることは角界の伝統であり、移動費や外食費などを関取が負担するのが一般的です。また、自身の商売道具である締め込み(廻し)や、場所入りやパーティーで着用する高級な着物、雪駄などもすべて自己負担で揃える必要があります。一本数百万円する化粧廻しは後援会から贈られることが多いですが、日常的な用具代や交際費は、月給の中から捻出しているのです。

引退後の保障「養老金」と退職金制度

力士の現役生活は短く、30代半ばで引退を迎えることが一般的です。そのため、引退後の生活資金として「養老金」や「勤続加算金」といった制度が整備されています。これはいわゆる退職金に相当するもので、現役時代の番付と在位場所数に応じて金額が算出されます。横綱や大関として長く活躍すれば数千万円から億単位の金額になることもありますが、短命で終わればその額は限られます。また、親方として協会に残る場合は、現役時代の功績をもとに「年寄株」を取得する必要があり、その取得費用に充てられることも多いようです。

谷町(タニマチ)とは?現代における後援会の役割

相撲界の経済事情を語る上で欠かせないのが、「タニマチ」と呼ばれる後援者たちの存在です。かつては個人が巨額の私財を投じて力士を支援するイメージがありましたが、現代ではその形も変化しつつあります。協会からの給料とは別に、力士たちを物心両面で支える外部からのサポートシステム。その実態と現代における変化について解説します。

食事から化粧廻しまで支えるスポンサー

タニマチの語源は、明治時代に大阪の谷町筋に住んでいた医師が、力士から治療代を取らずに支援したことだと言われています。現代でも、力士の食事会を開いたり、高価な化粧廻しや着物を贈呈したりする後援者は数多く存在します。特に幕下以下の力士にとって、タニマチに食事に連れて行ってもらうことは、栄養補給と同時にお小遣いをもらえる貴重な機会でもあります。関取にとっても、場所ごとのパーティー開催や祝儀など、タニマチからの支援は活動資金の大きな助けとなっています。

部屋ごとの後援会と個人後援会の違い

後援会には、相撲部屋全体を応援する組織と、力士個人を応援する組織の2種類があります。部屋の後援会は、部屋の運営費や合宿の差し入れ、所属力士全員の激励などを目的としています。一方、関取になると個人後援会が発足することが多く、より直接的にその力士をサポートします。人気力士になると全国各地に後援会支部ができ、地方巡業の際には現地の後援者が世話を焼くこともあります。これらのネットワークが、力士のステータスや引退後のセカンドキャリアを支える基盤にもなります。

現代の「タニマチ」事情とコンプライアンス

昭和の時代には、謎の富豪や怪しい筋の人物がタニマチになることもありましたが、現代ではコンプライアンスが厳格化されています。日本相撲協会は、反社会的勢力との関わりを厳しく禁じており、後援会の実態把握にも力を入れています。そのため、現代のタニマチは、企業の社長や地元の名士、あるいは「法人会員」として企業そのものがサポートするケースが増えています。個人的な付き合いよりも、健全で透明性の高い応援スタイルへと、相撲界の支援構造も時代とともに進化しているのです。

まとめ

力士の給料は、チケット収入や放映権料などによる日本相撲協会の強固な財政基盤から支払われています。しかし、月給をもらえるのは全土俵人生のほんの一握り、関取以上の力士だけです。その額は一般社会と比べれば高額ですが、短い現役期間や税金、経費、そして激しい肉体的消耗を考えれば、決して楽な稼ぎではありません。

土俵上の懸賞金も、手取りは1万円となり、残りは将来のための積立に回るなど、堅実なシステムへと変化しています。華やかに見える大相撲の世界ですが、その財布の中身は極めてシビアな実力主義と、意外にも堅実な収支管理の上に成り立っているのです。次に相撲中継を見る際は、土俵上の勝負だけでなく、その背景にある「お金の動き」にも注目してみると、違った面白さが見えてくるかもしれません。

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