相撲中継を見ていると、力士たちがまわしをガッチリと掴んで離さない姿に圧倒されることはありませんか。
体重150キロを超える巨体がぶつかり合い、その衝撃の中で相手をコントロールするためには、常人離れした指先の力が不可欠です。
しかし、実際に彼らの握力がどれほどの数値なのか、具体的に知る機会は意外と少ないかもしれません。
この記事では、現役力士や歴代の名力士たちが記録した驚きの数値や、その剛腕を生み出すための鍛錬方法について詳しく解説します。
単なる数値の比較だけでなく、その力が実際の取組でどのように活かされているのかを知れば、相撲観戦がより一層楽しくなるはずです。
まずは、この記事で紹介する主なポイントを整理しました。
- 一般男性の平均と力士の数値を徹底比較
- 魁皇や栃ノ心など歴代怪力力士の伝説
- まわしを取るために特化した独自の鍛え方
- 「リンゴを握り潰す」パフォーマンスの真実
力士の握力は一般人と何が違う?驚異的な数値と競技への影響
相撲という競技において、相手のまわしを掴む「握力」は勝敗を左右する極めて重要な要素の一つです。
一般的に力が強いイメージのある力士ですが、その数値は私たちの想像を遥かに超える領域に達しています。
まずは、具体的なデータをもとに、プロの力士がどれほどの怪力を持っているのかを紐解いていきましょう。
ここでは、平均的な数値や体重との関係性など、基礎的な知識から解説していきます。
一般男性の平均値を遥かに超える現役力士たちの測定データ
成人男性の握力の平均値は、年齢にもよりますがおおよそ45キロから50キロ程度と言われています。
これに対して、関取と呼ばれる一人前の力士たちの多くは、70キロから90キロという高い数値を記録するのが一般的です。
特に腕力に自信のある力士であれば、100キロ近い数値を叩き出すことも決して珍しくありません。
この数値は、リンゴを片手で握り潰すために必要とされる握力80キロを優に超えており、彼らの指先がいかに強力であるかを物語っています。
まわしを掴んで離さない強靭な指先が生み出す勝利の方程式
力士にとっての握力とは、単に物を強く握る力ではなく、相手のまわしを一度掴んだら絶対に離さない「保持力」を意味します。
激しく動き回る相手の体重と動きを指先だけで制御し、自分の体勢を有利に運ぶためには、瞬間的な力と持久力の両方が求められます。
特に「引きつけ」と呼ばれる動作では、指の力で相手を自分の体に密着させることで、相手の力を封じ込めると同時に自分の攻めを最大化します。
このように、握力の強さはそのまま相撲の攻撃力と防御力の両方に直結するのです。
新弟子検査でも重視される基礎体力としての握力の基準値
大相撲の世界に入門するための新弟子検査においても、握力は基礎体力を測る重要な指標の一つとして測定されています。
合格基準そのものに厳格な握力の数値規定があるわけではありませんが、背筋力やハンドボール投げなどと共に、力士としての適性を判断する材料となります。
多くの新弟子たちは入門時点で既に一般平均を上回る力を持っていますが、そこから厳しい稽古を重ねることで、さらに数値を伸ばしていきます。
プロの世界で戦い抜くためには、才能だけでなく、日々の鍛錬による裏付けが必要不可欠なのです。
体重別に見る握力の傾向と大型力士におけるパワーの関係
一般的に握力は体重や除脂肪体重と正の相関関係にあるとされ、体が大きく筋肉量の多い力士ほど強い握力を持つ傾向があります。
しかし、相撲界には小柄ながらも強烈な握力を武器に、大型力士をねじ伏せる「小よく大を制す」力士も数多く存在します。
彼らは指の太さや前腕の筋肉の発達が著しく、体重差を埋めるための武器として徹底的に握力を強化しています。
体重だけに依存しない、技術と筋力が融合した握力の強さこそが、相撲という競技の奥深さを象徴しています。
握力計を振り切る怪力伝説は本当?測定不能な力士の実態
相撲界には、一般的な握力計の測定限界である100キロを振り切ってしまい、正確な数値が測れなかったという伝説が数多く残されています。
実際に、全盛期の横綱や大関クラスの中には、測定器の針が振り切れて壊してしまうことを恐れ、手加減して測定したという逸話を持つ力士もいます。
こうした「測定不能」のエピソードは、彼らの力が規格外であることを示すと同時に、ファンの間で語り継ぐロマンの一つとなっています。
数値化できないほどの圧倒的なパワーが存在すること自体が、大相撲の魅力の一つと言えるでしょう。
歴代最強の握力を持つ力士は誰?語り継がれる伝説のエピソード
長い大相撲の歴史の中で、特に「怪力」として名を馳せ、ファンの記憶に強く刻まれている力士たちがいます。
彼らの握力にまつわるエピソードは、単なる自慢話の枠を超え、もはや伝説として語り継がれるレベルに達しています。
ここでは、記録にも記憶にも残る歴代最強クラスの握力を持った力士たちを紹介します。
彼らがどのようにその剛腕を振るい、土俵上で輝きを放ったのかを見ていきましょう。
リンゴを軽々と粉砕した魁皇の握力は全盛期で100キロ超え
「怪力」と聞いて多くの相撲ファンが真っ先に思い浮かべるのが、元大関の魁皇(現・浅香山親方)ではないでしょうか。
彼の握力は全盛期には110キロを超えていたと言われ、テレビ番組などでリンゴを片手で握り潰すパフォーマンスを軽々と披露していました。
その強烈な握力から繰り出される「小手投げ」や「上手投げ」は、相手力士を豪快に裏返す破壊力を持ち、数々の名勝負を生み出しました。
魁皇の握力は、天性の素質に加え、長年の厳しい稽古によって培われた努力の結晶でもあったのです。
ジョージアの怪力栃ノ心が披露した指先の力と驚きの逸話
近年で特に握力が強い力士として知られるのが、ジョージア出身の元大関・栃ノ心です。
彼は左右ともに90キロを超える握力を持ち、その力強さで相手のまわしを引きつけ、吊り上げてしまう豪快な相撲が持ち味でした。
料理番組に出演した際には、素手でリンゴを握り潰して「フレッシュジュース」を作るという驚愕の技を披露し、お茶の間を沸かせたこともあります。
彼の太く発達した指と前腕は、まさにまわしを取るために進化した究極の肉体と言えるでしょう。
横綱千代の富士が脱臼癖を克服するために鍛え上げた剛腕
昭和の大横綱・千代の富士もまた、驚異的な握力と腕力を持っていたことで知られていますが、その背景には壮絶な努力がありました。
若い頃に肩の脱臼癖に悩まされた彼は、関節周りの筋肉を鎧のように鍛え上げることでその弱点を克服し、無敵の横綱へと成長しました。
毎日500回もの腕立て伏せや指立て伏せを行い、指先から肩まで連動する強靭な筋力を手に入れた結果、相手を瞬時に引きつける圧倒的な取り口が完成しました。
彼の握力は、怪我という逆境を乗り越える過程で磨かれた、不屈の精神力の証でもあるのです。
まわしを取るだけじゃない?相撲における握力の重要な役割とは
力士の握力が強いことは分かりましたが、具体的にその力は相撲の取組の中でどのような役割を果たしているのでしょうか。
単にまわしを掴むためだけではなく、相手との攻防における様々な場面で、指先の力は勝敗を分ける重要なファクターとなります。
ここでは、技術的な側面から握力の必要性を深掘りし、相撲の奥深さに迫ります。
一瞬の判断と力が交錯する土俵上で、握力がどのように機能しているのかを解説します。
相手の動きを封じる引きつけの強さは指先の力から生まれる
四つ相撲において、相手を自分の体に引きつける「引きつけ」は、相手の重心を浮かせ、力を出させないために極めて重要な技術です。
この引きつけを行う際、まわしを掴んだ指先が支点となり、背筋や腕の力を相手に伝える役割を果たします。
もし握力が弱ければ、どんなに腕力があってもまわしが手の中で滑ってしまい、十分な引きつけを行うことができません。
強靭な握力は、自分の体全体のパワーをロスなく相手に伝え、主導権を握るための連結金具のような役割を担っているのです。
立ち合いの衝撃に耐えて一瞬で相手を掴むための瞬発力
相撲の立ち合いは、軽自動車同士が衝突するほどの衝撃があると言われますが、その一瞬の中で狙った場所を正確に掴む必要があります。
衝撃に耐えながら、動き回る相手のまわしを一瞬で捉え、強く握り込むためには、極めて高い瞬発力としての握力が求められます。
掴む位置が数センチずれたり、握りが浅かったりするだけで、その後の展開が大きく不利になることも少なくありません。
立ち合いの激しい攻防の中で、正確かつ強力に「掴む」能力は、相撲センスの一つとして高く評価されます。
攻防の中で消耗する握力を維持する持久力が勝敗を分ける
相撲は短時間で決着がつくことが多い競技ですが、時には水入りになるような長い相撲になることもあります。
全力でまわしを握り続けていると、前腕の筋肉がパンパンに張り、徐々に指の力が開いてきてしまうことがあります。
相手の抵抗に逆らいながら、最後までまわしを離さずに握り続ける「握力持久力」も、勝つためには欠かせない要素です。
後半になっても握力が落ちない力士は、相手が疲れてきたところを一気に攻め込むことができ、逆転勝利を収めるチャンスが広がります。
どうやって鍛えているの?相撲部屋に伝わる伝統的な強化方法
驚異的な握力を持つ力士たちですが、彼らは普段どのようなトレーニングを行ってその力を養っているのでしょうか。
相撲部屋には、古くから伝わる伝統的な稽古方法があり、それらは理にかなった身体操作と筋力強化を同時に行える優れたものです。
また、近年では近代的なトレーニング理論を取り入れる部屋も増え、鍛錬方法は多様化しています。
ここでは、力士ならではのユニークかつ過酷な握力強化メニューについて紹介します。
鉄砲柱を突く動作で指先と手首を同時に強化する基本稽古
相撲の基本稽古である「鉄砲」は、単に突っ張りの練習をするだけでなく、指先や手首を鍛える効果も非常に高い動作です。
鉄砲柱を突く瞬間、力士は手のひらだけでなく指先にも意識を集中させ、柱を掴むように力を込めることがあります。
この反復練習により、相手に当たった瞬間に力を逃さず伝える感覚と、衝撃に負けない手首の強さが養われます。
地味な反復練習ですが、毎日何百回と繰り返すことで、鋼のような指と手首が作られていくのです。
砂袋を持ち上げるトレーニングで指の把持力を極限まで高める
相撲部屋の片隅には、砂を詰めた重い袋が置かれていることがありますが、これも握力を鍛えるための伝統的な道具の一つです。
取っ手のない不安定な形状の砂袋を、指の力だけで掴んで持ち上げるトレーニングは、握力計では測れない実戦的な「把持力」を鍛えます。
指の腹だけでなく、指の側面や手のひら全体を使って物体を保持する能力は、まわしという布を扱う相撲において極めて有効です。
単純ながらも非常に負荷の高いこの稽古は、昔から多くの怪力力士を育て上げてきました。
現代的なウェイトトレーニングを取り入れた科学的な強化策
伝統的な稽古に加え、近年ではダンベルや専用のマシンを使ったウェイトトレーニングに励む力士も増えています。
リストカールで前腕を太くしたり、ハンドグリッパーを使って純粋な握力を強化したりと、科学的なアプローチで肉体改造を行っています。
特に怪我の予防やリハビリの観点からも、特定の筋肉をピンポイントで鍛えられるマシントレーニングは重宝されています。
伝統と最新理論を融合させることで、現代の力士たちはより効率的かつ強力な肉体を手に入れているのです。
握力にまつわる意外な豆知識とよくある誤解を詳しく解説
ここまで力士の握力について真面目に解説してきましたが、世間には握力にまつわる様々な噂や誤解も存在します。
「リンゴを潰すにはコツがある?」「握力が強すぎると怪我をする?」など、素朴な疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
最後に、力士の握力に関するちょっとした豆知識や、よくある誤解について分かりやすく解説します。
これを知っておけば、相撲の話題が出た時にちょっとしたウンチクとして披露できるかもしれません。
リンゴを潰すパフォーマンスは実は握力以外にコツがある?
テレビなどでよく見る「リンゴの握り潰し」ですが、実は純粋な握力だけでなく、指の使い方にコツがあると言われています。
手のひら全体で包み込むように握るのではなく、指先をリンゴの表面に食い込ませるようにして、一点に力を集中させるのがポイントです。
もちろん、硬いリンゴを破壊するには80キロ前後の高い握力が必要不可欠ですが、力の伝え方を知っているかどうかも成功の鍵を握ります。
力士たちは日頃からまわしを指先で操作しているため、こうした指先の力の使い方が非常に上手いと言えるでしょう。
握力が強すぎると怪我をする?指の酷使による職業病のリスク
強靭な握力は力士の武器ですが、その一方で指や手首への負担は計り知れず、多くの力士が慢性的な怪我に悩まされています。
特にまわしを掴んだ状態で相手に振られたり、指が逆方向に曲げられたりすることで、腱鞘炎や靭帯損傷を起こすケースが後を絶ちません。
また、長年の酷使によって指が変形したり、特定の指が伸びなくなったりすることも、ベテラン力士にはよく見られる「職業病」です。
テーピングでガチガチに固めた指は、彼らが激しい戦いを乗り越えてきた勲章とも言えるのです。
手の大きさと握力の強さに相関関係はあるのかデータを分析
「手が大きい人は握力も強い」というイメージがありますが、力士の場合も手の大きさと握力の強さには一定の相関が見られます。
手が大きければ、太い相手の腕やまわしをしっかりと包み込むことができ、力が伝わりやすくなるという物理的なメリットがあります。
しかし、手が小さくても指の筋肉を極限まで鍛え上げることで、大型力士以上の握力を発揮する力士も少なくありません。
結局のところ、生まれ持った骨格も大切ですが、それを最大限に活かすための鍛錬こそが、真の強さを生み出す要因と言えるでしょう。
まとめ
力士の握力について、その驚異的な数値や歴代の伝説、そして独自の鍛え方まで幅広く解説してきました。
一般男性の倍近い数値を叩き出す彼らの指先は、日々の厳しい稽古と勝利への執念によって作られた究極の武器です。
魁皇や栃ノ心といった伝説的な力士たちのエピソードは、単なる力の強さだけでなく、相撲という競技の奥深さを私たちに教えてくれます。
今度相撲中継を見る際は、力士たちがまわしを掴むその「手」に注目してみてください。
一瞬の攻防の中で、指先がいかに激しく動き、どれほどの力が込められているかを感じ取ることができるはずです。
握力という視点を持つことで、土俵上の戦いがより立体的でドラマチックなものに見えてくることでしょう。
ぜひ、推し力士の「手」や「握力」にも注目して、大相撲観戦をさらに楽しんでみてはいかがでしょうか。


コメント