相撲の「右四つ」とは?左四つとの違いや有利な攻め方を完全解説!

大相撲の中継を見ていると、解説者が「右四つになりましたね」や「得意の形ではありません」と語る場面によく遭遇します。力士が組み合った瞬間に勝敗の行方を大きく左右するこの「四つ(よつ)」の形こそ、相撲の奥深さを知るための最初の一歩です。右四つとは具体的にどのような状態を指し、なぜそれが有利不利につながるのか、そのメカニズムを正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、相撲の基本である「右四つ」の定義から、対になる「左四つ」との決定的な違い、そして勝負を決める攻め手について詳しく解説します。さらに、現役のトップ力士や往年の名横綱たちがどのようにこの型を武器にしてきたのか、その技術論にも踏み込みます。この知識があれば、土俵上の攻防が単なる力比べではなく、緻密な計算と瞬時の判断の連続であることが見えてくるはずです。

用語 状態(自分の手) 特徴
右四つ 右手が差し手、左手が上手 多くの力士が採用する基本型
左四つ 左手が差し手、右手が上手 左利きの力士などに多い型
喧嘩四つ 互いの得意が逆の状態 差し手争いが激化しやすい
相四つ 互いの得意が同じ状態 がっぷり組み合うことが多い

右四つの基礎知識と左四つとの見分け方

相撲における「四つ」とは、互いの力士がまわしを取り合って組んだ状態のことを指し、その中でも「右四つ」は最も基本的かつ重要な型の一つです。具体的には、自分が「右手を相手の左脇の下に差した(入れた)」状態を指し、このとき反対の左手は相手の右上手(外側からまわしを取る形)になるのが一般的です。この「右差し・左上手」の形が完成すれば、攻守のバランスが取れた理想的な体勢となり、自分の力を相手に伝えやすくなります。

一方で「左四つ」はこれと全く逆の形であり、自分が左手を相手の右脇に差し、右手で上手を取る体勢のことを言います。テレビ中継などでどちらの四つかを見分ける際は、力士の背中側から見て「どちらの手が相手の脇の下に入っているか」に注目すると一目瞭然です。右手が中に入っていれば右四つ、左手が入っていれば左四つと判断でき、この最初の組み手の攻防こそが、その後の勝負の流れを決定づける最重要ポイントとなります。

右四つの定義と正しいフォーム

右四つを正確に定義すると、自分の右腕が相手の左脇の下に入り、肘から肩にかけて密着している状態のことを言います。このとき重要なのは、単に手を入れるだけでなく、手のひらを返して親指を立てるようにし、相手のまわしを深く引きつけることです。この「差し手」が深ければ深いほど相手の上体は浮き上がり、自分の重心は安定するため、攻めの起点が作られます。

同時に、左手は相手の右腕の外側からまわしを取る「上手(うわて)」の形になるのが右四つの基本セットです。上手は相手の動きを封じたり、投げを打ったりするために不可欠な要素であり、右差しと左上手が連動することで初めて強力な右四つが完成します。初心者は「右四つ=右手を使う」と考えがちですが、実際は「右で差して左で取る」という左右の役割分担が鍵を握っています。

左四つとの決定的な違い

左四つは右四つと鏡写しの関係にあり、左手を差して右手を上手にする形ですが、相撲界では右四つを得意とする力士の方がやや多い傾向にあります。これは右利きの人間が多いため、器用な右手で相手をコントロールする差し手(右四つ)を選ぶか、あるいは力の強い右手で上手を取る(左四つ)を選ぶかという戦略の違いによります。どちらが優れているというわけではなく、あくまで力士の身体的特徴や得意技によって選択されるものです。

左四つを得意とする力士に対し、右四つの力士が挑む場合は、自分の得意な右をいかにして差すかが勝負の分かれ目となります。逆に言えば、相手に左を差されてしまうと、自分の得意な右差しを封じられることになり、苦戦を強いられる可能性が高まります。このように、右四つと左四つは単なる左右の違いではなく、互いの生命線を奪い合う熾烈なポジション争いの象徴でもあるのです。

有利不利を判断するポイント

観戦において「どちらが有利か」を判断する最大のポイントは、差し手の深さと上手の位置関係にあります。たとえお互いが右四つの形になったとしても、より深く右手を差し込み、相手の上体を起こしている方が圧倒的に有利となります。また、左上手を相手のまわしの「結び目」に近い位置で取れているかどうかも、主導権を握るための重要な要素です。

さらに「十分(じゅうぶん)」と呼ばれる状態かどうかも見極める必要があり、これは両手でしっかりとまわしを引きつけ、自分の胸と相手の胸が密着した万全の体勢を指します。もし片方の力士だけが十分な形で、もう片方がまわしを取れていない「死に体」の状態であれば、勝負は時間の問題と言えるでしょう。このように、単に「右四つになった」という事実だけでなく、その質の高さを見ることが大切です。

差し手と上手の役割分担

右四つにおいて、右手の「差し手」は相手を浮かせたり、前へ出るためのエンジンのような役割を果たします。右腕を相手の懐に入れることで重心を低く保ち、下から上への圧力をかけることで、相手の足腰の自由を奪うことができます。この右腕の使い方が巧みであればあるほど、相手は防戦一方となり、自分からの攻めが通りやすくなります。

対する左手の「上手」は、相手を投げたり、横への動きを封じたりするためのハンドルのような役割を担っています。特に、相手が逃げようとした際に上手を引きつけて逃走経路を塞いだり、強引に投げ飛ばしたりする際に左腕の力が重要になります。エンジンである右差しと、ハンドルである左上手が機能して初めて、力士は自在に相手を操ることができるのです。

観戦時の見分け方と注目点

実際の取組で右四つを見分けるには、立合い直後の力士の腕の動きに注目するのが一番の近道です。ぶつかった瞬間に、どちらの力士が右腕を相手の脇の下へ滑り込ませようとしているかを見れば、その力士の狙いが分かります。また、行司が「右四つ、右四つ」と声をかけることもありますが、これは膠着状態を確認するためのものであり、視聴者へのヒントにもなります。

さらに玄人好みの注目点として、差し手争いにおける「巻き替え」の動作を見逃さないことが挙げられます。一度は相手に左四つ(自分にとって不利な形)を作られたとしても、隙を見て腕を抜き、素早く右を差し直す技術があれば形勢逆転が可能です。この一瞬の攻防こそが四つ相撲の醍醐味であり、右四つへの執着心が勝敗を分ける瞬間でもあります。

喧嘩四つと相四つの攻防と戦略

相撲には、対戦する二人の得意な四つが同じ場合と異なる場合があり、それぞれ「相四つ(あいよつ)」「喧嘩四つ(けんかよつ)」と呼ばれ、戦い方が大きく異なります。自分が右四つ得意で相手も右四つ得意なら「相四つ」となり、比較的スムーズに組むことができますが、力と力の真っ向勝負になりやすい特徴があります。互いに得意な形であるため、地力の強い方が勝つというシンプルな図式になりがちで、横綱や大関クラス同士の相四つは見応えのある熱戦になります。

一方、自分が右四つ得意で相手が左四つ得意な場合は「喧嘩四つ」となり、互いに自分の差し手を入れたい(相手の差し手を拒否したい)ため、激しい「差し手争い」が発生します。この場合、先に自分の得意な手を差した方が圧倒的に有利になるため、立合いの瞬間のスピードや駆け引きが勝負の鍵を握ります。喧嘩四つでは、組むまでに時間がかかったり、片方だけが十分な形になったりすることが多く、戦略的な面白さが詰まっています。

相四つの特徴と展開

右四つ同士の相四つでは、お互いに右手を差し合うため、自然と左手で相手の上手を取り合う形に落ち着きやすくなります。この状態は「がっぷり四つ」とも呼ばれ、両者が胸を合わせて力を出し合う、相撲本来の力強い攻防が見られるのが魅力です。ただし、同じ形である以上、体格やパワーで勝る方が有利になりやすく、小柄な力士が大柄な力士に相四つで挑むのは無謀とも言えます。

そのため、相四つにおける戦略としては、相手より先に良い位置で上手を引く「上手争い」が重要になってきます。同じ右四つでも、相手の上手を切ったり、自分の上手を深く取ったりすることで微差を作り出し、そこから寄りや投げにつなげていきます。実力が拮抗している場合は、スタミナ勝負や一瞬の隙を突く技術が求められる、持久戦の様相を呈することもあります。

喧嘩四つの難しさと対策

右四つと左四つがぶつかる喧嘩四つでは、互いに利き手を差し合おうとするため、腕が邪魔し合ってなかなか組み止められない展開が多くなります。右四つ狙いの力士は、相手の左差しを嫌って脇を締めたり、相手の左腕を上から押さえつけたり(おっつけ)して防御します。この攻防が長引くと、まわしを取れないまま突き押し合いになったり、中途半端な形で膠着したりすることも珍しくありません。

喧嘩四つを制するための対策として、多くの力士は「立ち合いで変化して差しにいく」や「相手の差し手を殺して強引に自分の形にする」といった技術を磨きます。また、あえて相手に左四つを許したフリをして、隙を見て右をねじ込むといった高度な心理戦も展開されます。喧嘩四つはいかにして相手の良さを消し、自分の土俵で戦うかという、エゴとエゴのぶつかり合いなのです。

差し手争いの重要性

四つ相撲において「差し手争い」は、単なる準備段階ではなく、実質的な勝負の始まりと言っても過言ではありません。特に喧嘩四つの場合、内側に手を差せた方が重心を低く保てるため、物理的にも精神的にも優位に立つことができます。相撲の格言に「二本入れば勝負あり(もろ差し)」という言葉がある通り、差し手は一本でも多く、深く入れた方が絶対的に有利なのです。

上位力士たちは、この差し手争いに勝つために、立合いの角度を工夫したり、相手の手をはたいて軌道を逸らしたりと、あらゆる手段を講じます。一瞬で勝負が決まる相撲において、コンマ数秒の差し手の遅れは致命傷になりかねないため、日々の稽古ではこの動作が徹底的に反復されます。私たちが目にする数秒の攻防の中には、膨大な技術と執念が凝縮されているのです。

右四つからの決まり手と勝ちパターン

右四つの形が完成した後に繰り出される技は多彩であり、力士のタイプによって選択される「勝ちパターン」も異なります。最も王道とされるのは、右差しで相手を浮かせ、左上手を引きつけて前へ出る「寄り切り」や「寄り倒し」といった基本技です。これは自らの体重を最も効率よく相手に浴びせることができるため、体力に自信のある力士や重量級の力士が好んで使用する、負けにくい戦法と言えます。

一方で、相手が抵抗して前へ出られない場合や、逆転を狙う場合には、投げ技が効果的な選択肢となります。左上手からの「上手投げ」は右四つの華とも言える技で、相手のバランスを崩して豪快に転がすことができます。また、右の差し手を使って下からすくい上げる「掬い投げ(すくいなげ)」も、懐に入り込んだ小兵力士などが大型力士を倒す際によく見られる、右四つならではの技術です。

王道の寄り切りと寄り倒し

右四つからの寄り切りは、相撲の基本動作である「すり足」と連動させることで、相手にとって防ぐのが極めて難しい攻撃となります。右の差し手(カイナ)を返して相手の脇を押し上げ、左の上手で相手の腰を自分の方へ引き寄せることで、相手は身体が伸びきって力を出せなくなります。この状態で前進すれば、相手は土俵を割るか、後ろに倒れるしか選択肢がなくなります。

特に「寄り倒し」になるケースでは、相手が土俵際で粘った際に、自分の体ごと預けて押しつぶすような形になります。これは体重の重い力士が得意とするフィニッシュブローであり、右四つの安定感がそのまま破壊力へと変換される瞬間です。派手さはありませんが、堅実かつ確実に白星を拾うためには、この寄りの技術を極めることが横綱・大関への必須条件となります。

豪快な上手投げのメカニズム

右四つにおける上手投げは、左手で取った上手を支点にして、相手の体を自分の右側へ振り回すようにして投げます。このとき重要なのは腕の力だけでなく、腰の回転と下半身のバネを使って、相手の重心を強制的に移動させることです。相手が寄りを警戒して踏ん張った瞬間や、前に出てくる力を利用してタイミングよく打つことで、小さな力でも大きな相手を投げることができます。

また、上手投げは攻めだけでなく、防御からの逆転技としても機能する万能な決まり手です。土俵際まで追い込まれたとしても、左上手さえしっかりと握っていれば、そこからの「うっちゃり」や強引な投げで形勢をひっくり返すことが可能です。観客を沸かせる大逆転劇の多くは、この諦めない上手からの攻めによって生まれています。

守勢からの逆転技

右四つになったものの、相手の圧力が強くて下がらせられた場合でも、右差しが生きていれば逆転のチャンスは残されています。その代表格が「掬い投げ(すくいなげ)」で、差している右腕を相手の股下や腰に深く入れ、テコの原理で相手を裏返すように投げます。上手が切れてしまった場合でも使えるため、絶体絶命のピンチを救う起死回生の技として知られています。

さらに、相手の小手(腕)を抱えて投げる「小手投げ」や、足を掛けて倒す「内掛け」「外掛け」なども、四つの攻防の中で頻繁に見られます。これらは右四つの形から派生する応用技であり、相手の動きや重心の偏りを瞬時に判断して繰り出されます。右四つという基本形があるからこそ、こうした多彩な技のバリエーションが生まれ、相撲の取組に深みを与えているのです。

右四つが得意な力士たちと技術論

相撲の歴史を振り返ると、時代を築いた名力士たちの多くが、自分だけの絶対的な「右四つの型」を持っていました。彼らは単に右を差すだけでなく、そこからの攻めを極限まで磨き上げることで、巨漢力士や技巧派たちをねじ伏せてきました。右四つと一口に言っても、速攻を身上とするタイプから、じっくりと組んで力を発揮するタイプまで、そのスタイルは千差万別です。

現代の相撲界においても、右四つを武器に番付を駆け上がる力士は数多く存在し、その技術は日々進化を続けています。ここでは、右四つの完成形とも言える伝説の横綱から、現在進行形で土俵を沸かせているトップ力士まで、その具体的な取り口と強さの秘密に迫ります。彼らの相撲を知ることで、右四つという型の持つ可能性と破壊力をより深く理解できるでしょう。

伝説の横綱・千代の富士の速攻

昭和から平成にかけて一時代を築いた大横綱・千代の富士は、右四つからの「速攻」を芸術の域まで高めた存在として語り継がれています。彼の相撲は、立ち合いの鋭い当たりから一瞬で右を差し、左上手を引くと同時に前に出るという、目にも止まらぬ速さが最大の特徴でした。相手が体勢を整える暇を与えずに勝負を決めるそのスタイルは、「ウルフ」の異名にふさわしい獰猛さと美しさを兼ね備えていました。

千代の富士の右四つが特別だったのは、小柄な体格を補って余りある強靭な筋力と、脱臼癖を克服するために鍛え上げられた脇の締めがあったからです。右を差しても決して脇を甘くせず、相手に上手を与えないまま自分だけが万全の形を作る技術は、まさに相撲の教科書と言えるものでした。彼の右四つは、サイズで劣る力士がいかにして勝つかという命題への、一つの完璧な回答でした。

貴乃花の万能な右四つ

平成の大横綱・貴乃花もまた、右四つを絶対的な武器として数々の記録を打ち立てた力士の一人です。彼の右四つは、どんな相手ともがっぷりと組み合い、そこから無類の足腰の強さで寄り切るという、横綱相撲の王道をいくものでした。特筆すべきは、右四つになってからの持久力と粘り強さで、相手が根負けするまで攻め続けるスタミナと精神力は驚異的でした。

また、貴乃花は状況に応じて右四つから左四つに変化したり、投げを打ったりといった柔軟性も持ち合わせていました。しかし、その根底にあったのは常に「右四つになれば負けない」という絶対的な自信であり、それが彼の黄金時代を支えました。彼の相撲は、基本に忠実であることがいかに強いかということを、私たちに証明してくれたのです。

現代力士の右四つ事情

現代の土俵で右四つの使い手として筆頭に挙げられるのが、大関・琴櫻(ことざくら)や豊昇龍(ほうしょうりゅう)といった若き実力者たちです。琴櫻は恵まれた体格を生かしたスケールの大きい右四つが持ち味で、祖父譲りの豪快な寄りは現在の相撲界でもトップクラスの破壊力を誇ります。一度右四つに組めば、相手に何もさせずに土俵の外へ運び出すパワーは圧巻です。

一方、豊昇龍は叔父である朝青龍を彷彿とさせる、キレのある右四つからの投げ技を得意としています。彼は右を差してからの動きが非常に速く、相手が前に出てくる力を利用した下手投げや、強引な上手投げで観客を沸かせます。また、突き押し相撲からの右四つへの移行がスムーズな大の里なども台頭しており、現代の右四つ力士たちは、パワーとスピードを高度に融合させた進化を遂げています。

実践・観戦で役立つ深掘り知識

ここまでの解説で右四つの基本は網羅しましたが、実際の相撲はもっと複雑で、イレギュラーな事態が頻繁に起こります。例えば、右四つを狙ったのに相手に両腕を差されてしまった場合や、途中で四つの形が変わってしまうケースなど、力士たちは常に想定外の状況に対処しなければなりません。こうしたマニアックな攻防を知ることで、相撲観戦の解像度は飛躍的に向上します。

ここでは、右四つに関連する応用的な知識として、「外四つ」という不利な状況からの打開策や、四つを組み替える高等テクニック「巻き替え」について解説します。これらは力士の実力差が如実に現れるポイントであり、勝負の行方を最後まで分からなくさせる要因でもあります。知れば知るほど面白い、四つ相撲の深淵を覗いてみましょう。

「外四つ」になってしまった場合

「外四つ(そとよつ)」とは、相手に両差し(もろざし)を許し、自分の両腕が相手の外側にある状態を指します。一般的には、相手に重心を支配されているため圧倒的に不利とされますが、パワーのある力士にとってはこの形も決して絶望的ではありません。外側から相手の両腕を締め上げ(極め)、そのまま抱え込んで投げる「外無双」や「極め出し」といった大技が狙えるからです。

特に照ノ富士のような怪力力士は、あえて外四つの形から相手をねじ伏せる相撲を見せることがあります。しかし、これはあくまで例外的な力技であり、基本的には外四つになる前に何とかして一本だけでも差し手を入れるのがセオリーです。観戦中に自分の応援する力士が外四つになったら、そこからの強引な逆転があるか、あるいは一方的に押し出されるか、ハラハラしながら見守る場面です。

巻き替えテクニックの攻防

「巻き替え」とは、不利な四つの形から自分の得意な形にするために、組んだまま腕を抜き差しする技術のことです。例えば、右四つ得意な力士が左四つに組まれてしまった場合、隙を見て左腕を抜き、相手の脇の下へ素早く右腕を差し込みます。これが成功すれば形勢は一気に逆転しますが、失敗すれば無防備な瞬間を狙われて一気に攻め込まれるリスクも伴います。

巻き替えは一瞬の判断力と俊敏性が求められる高度な技であり、ベテラン力士ほどこの駆け引きに長けています。相手が押してきた瞬間に力を抜いて巻き替えたり、一度下がって距離を作ってから巻き替えたりと、そのタイミングは千差万別です。「ここで巻き替えたか!」という驚きを感じられるようになれば、あなたはもう立派な相撲通と言えるでしょう。

立合いの変化と右四つへの移行

通常の立合いは頭からぶつかりますが、時には相手の意表を突く「変化」から右四つを狙うこともあります。立合いの瞬間に左右に動いて相手の当たりをかわし、横から右を差して有利な体勢を作る戦法です。これは「注文相撲」とも呼ばれ、批判されることもありますが、体格差のある相手に勝つための有効な手段として認められています。

また、突き押し相撲の力士が、攻めきれないと判断した瞬間に四つに組む「四つへの移行」も見どころの一つです。突き放して相手の上体が浮いた一瞬の隙に右を差し、そのまま寄り切る展開は、突き押しと四つのハイブリッド型力士(大の里など)が得意とする勝ちパターンです。このように、右四つは単独で存在するだけでなく、あらゆる技との連携によって無限の可能性を生み出すのです。

まとめ

相撲における「右四つ」について、その定義から攻防のメカニズム、そして歴史的な背景まで解説してきました。右四つとは単に「右手を差す」という動作だけでなく、左上手との連動や、相手との駆け引きを含めた深遠なシステムそのものです。自分の型を貫くのか、相手の型を封じるのか、そのせめぎ合いの中にこそ大相撲の醍醐味があります。

次に相撲中継を見る際は、ぜひ立合いの瞬間の腕の動きに注目してみてください。どちらが右を差したか、上手は引けているか、そしてそこからどのような技が繰り出されるか。右四つという視点を持つだけで、土俵上の景色はこれまでとは全く違って見えるはずです。お気に入りの「右四つ力士」を見つけて、その成長や取組を追うのも、相撲の新しい楽しみ方としておすすめします。

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