平幕とは?番付の地位や給料待遇と金星条件など基礎知識を徹底解説!

大相撲中継を見ていると「平幕」という言葉を頻繁に耳にしますが、具体的にどの地位を指すのか曖昧なまま観戦していませんか。この言葉の意味を正しく理解することで、ニュースで話題になる「金星」の凄さや優勝争いのドラマがより深く楽しめるようになります。本記事では、平幕の定義から給料事情、歴史的な記録までを網羅的に解説し、相撲観戦の解像度を一気に高めます。

  • 平幕と前頭の呼び方の違いと定義
  • 横綱を倒した時のボーナス「金星」の仕組み
  • 月給や懸賞金など気になるお金の事情
  • 近年増えている平幕優勝の歴史的快挙

平幕とはどのような地位か?幕内力士としての定義と特徴

平幕とは、大相撲のトップカテゴリーである「幕内」に所属する力士の中で、横綱や三役を除いた力士たちの総称です。幕内力士は定員が42名と決まっており、その大半をこの平幕力士が占めているため、相撲界の屋台骨を支える存在といえます。ここでは、番付における具体的な位置づけや他の地位との違いについて、初心者にも分かりやすく解説していきます。

平幕は決して低い地位ではなく、全大相撲力士の中で上位数パーセントしかたどり着けない「関取」としての特権を持っています。しかし、その上にはさらに厳しい三役や横綱という壁が存在しており、常に激しい生存競争に晒されているポジションでもあります。

番付における平幕の位置づけ

大相撲の番付はピラミッド型に構成されており、頂点に横綱、続いて大関、関脇、小結という「三役」が位置しています。平幕はこれら三役の下に位置し、幕内力士としての身分を保証されながらも、役職がつかない一般の幕内力士として扱われます。彼らは番付表の上段に名前が載るエリートであり、十両以下の力士とは待遇面で雲泥の差があります。

平幕の人数は固定されていませんが、幕内定員42名から横綱と三役の人数を差し引いた残りの枠がすべて平幕となります。通常は東西合わせて30名前後が在籍しており、番付の枚数で序列が細かく決められています。彼らは毎場所の成績によって番付が上下し、勝ち越せば番付が上がり、負け越せば下がっていく実力勝負の世界に生きています。

番付の最上段に位置する平幕の筆頭は「前頭筆頭」と呼ばれ、横綱や大関とも対戦が組まれる過酷なポジションです。ここでの成績次第で三役への昇進が決まるため、平幕上位は実力者がひしめく激戦区となっています。逆に平幕下位は十両転落の危機と隣り合わせであり、ひとつの星の差が天国と地獄を分けることになります。

前頭(まえがしら)との呼び方の違い

相撲中継やニュースでは「平幕」という言葉と「前頭」という言葉が混在していますが、これらは実質的に同じ地位を指す言葉です。厳密には「前頭」が番付表に記載される正式な名称であり、「平幕」は役職のない幕内力士全体を指す通称や俗称に近いニュアンスを持っています。例えば「前頭三枚目の〇〇」と紹介されることはあっても、「平幕三枚目」と呼ばれることはまずありません。

一方で、優勝争いや記録の話題になると「平幕優勝」や「平幕力士の活躍」といったように、集団や地位のカテゴリーを示す言葉として平幕が使われます。これは「三役」や「横綱」というカテゴリーに対比させる形で使われることが多いためです。つまり、個人の順位を特定する際は前頭、地位のグループ全体を指す際は平幕と使い分けるのが一般的です。

また、アナウンスや取組表では必ず「前頭」と表記されるため、初心者は少し混乱するかもしれません。しかし、意味合いとしては完全にイコールであると理解しておけば問題ありません。どちらの言葉も、最高位の幕内で戦う選ばれし力士であることを示しています。

幕内力士としての待遇と定員

平幕を含む幕内力士の定員は、日本相撲協会の規定により42名以内と定められています。この42名の枠に入ることができるかどうかが、力士としての成功を大きく左右する分水嶺となります。幕内に入ると、化粧まわしをつけて土俵入りを行うことが許され、全国放送でその勇姿が放映されるようになります。

待遇面でも、平幕力士は相撲部屋での生活が一変し、大部屋ではなく個室が与えられることが一般的です。また、身の回りの世話をしてくれる付け人が付き、移動の際にはタクシーや新幹線のグリーン車を利用できるようになります。これらは十両以上の関取に共通する特権ですが、幕内である平幕はさらにその格が上がります。

定員が限られているため、十両から昇進してくる力士がいれば、成績不振で幕内から陥落する力士も必ず出ます。この入れ替え戦のような厳しさが、毎場所の取組に緊張感をもたらしています。平幕の地位を維持し続けること自体が、並大抵の努力では成し得ない偉業なのです。

十両や三役との決定的な格差

平幕は幕内力士であるため、十両力士と比較すると給与や待遇面でさらに優遇されています。例えば、本場所ごとの手当や報奨金の額が大きく異なり、懸賞金を受け取る機会も格段に増えます。十両も関取ではありますが、幕内という看板があるかないかで、世間の知名度や後援会からの支援規模も変わってくるのが現実です。

一方で、平幕と三役(小結以上)の間にも見えない壁が存在しています。三役になると、横綱や大関との対戦が義務付けられるような厳しい割が組まれる一方、給与ベースが上がり、引退後の親方としての評価も高まります。平幕上位で勝ち越して三役に昇進することは、力士にとって名誉あるキャリアアップとなります。

このように、平幕は十両と三役という二つの階級に挟まれた、非常に流動的なポジションです。上を見れば三役への道が開かれていますが、下を見れば十両転落の危機があるため、現状維持に甘んじることはできません。この階級構造こそが、大相撲の活性化を生む要因となっています。

平幕力士の人数と東西の配置

平幕力士の人数は、その場所の三役以上の人数によって変動します。例えば、横綱が1人、大関が2人、関脇と小結が2人ずつの計7名が三役以上の場合、幕内定員42名から7名を引いた35名が平幕の人数となります。このように、上位陣の人数構成によって、平幕の枠は毎場所わずかに増減します。

番付表では、東方と西方に分かれて同じ枚数の力士が配置されます。例えば「東前頭筆頭」と「西前頭筆頭」は、同じ筆頭でも東の方が半枚ほど格上とみなされます。これは相撲の伝統的な考え方で、東が正位とされるためであり、勝ち越し数が同じでも番付編成では東の力士が優遇されることがあります。

平幕の枚数は、かつては二十枚目近くまであることもありましたが、現在は定員の関係で十七枚目や十八枚目あたりが最後尾となることが一般的です。この番付の最下位に近い位置は「幕尻(まくじり)」と呼ばれ、後がない状況から奇跡的な優勝を果たすドラマが生まれることもあります。どの位置にいても、平幕力士は土俵上の主役の一人です。

平幕力士が目指す「金星」と三賞の獲得条件

平幕力士にとって最大の勲章の一つが、横綱を倒した際に与えられる「金星」です。これは単なる名誉だけでなく、実質的な収入増に直結する非常に大きな特典であり、力士たちのモチベーションの源泉となっています。また、場所ごとに活躍した力士に贈られる三賞も、平幕力士が目指すべき重要な目標です。

ここでは、金星の具体的なメリットや、三賞の選考基準について詳しく掘り下げていきます。これらのシステムを知ることで、平幕力士がなぜあれほど必死に横綱に向かっていくのか、その背景にある熱意を理解できるようになるでしょう。

横綱を倒した際の金星と報奨金

金星とは、平幕力士が横綱と対戦して勝利することを指し、三役(小結以上)が勝っても金星とは呼ばれません。金星を獲得すると、力士褒賞金の算定基礎となる「持ち給金」が10円加算されます。この10円は実際の支給額では4000倍の4万円となり、現役を引退するまで本場所ごとに給与に上乗せされて支給され続けます。

つまり、たった一番の勝利で、年間にして24万円(4万円×6場所)の昇給が引退まで保証されることになります。金星を複数個獲得すればその分だけ加算されていくため、長く現役を続けて金星を量産することは、生涯年収を大きく左右する重要な要素です。これが「金星は素手で掴むボーナス」と言われる所以です。

ただし、横綱が休場して不戦勝となった場合や、反則勝ちの場合などは金星として認められないこともあります。あくまで土俵上で横綱を打ち破ったという実力が評価されるものであり、その価値は非常に重いものです。観客が座布団を投げて祝福するのは、その偉業と経済的な成功への賛辞でもあります。

殊勲賞・敢闘賞・技能賞の選考基準

三賞は、原則として関脇以下の幕内力士を対象に、その場所で特に優れた成績を残した力士に贈られます。殊勲賞は優勝力士や横綱・大関を倒すなど、番付上位に対して目覚ましい活躍をした力士に与えられます。平幕力士が優勝争いに絡んだり、横綱を倒して金星を挙げたりした場合に選出されることが多い賞です。

敢闘賞は、文字通り敢闘精神溢れる相撲を取った力士に贈られる賞で、新入幕での二桁勝利や、怪我からの復帰場所での好成績などが評価対象となります。技能賞は、決まり手の多彩さや技術的な巧みさを見せた力士に与えられ、小兵力士が大型力士を翻弄した場合などに選ばれやすい傾向があります。いずれの賞も、受賞条件として原則「勝ち越し(8勝以上)」が必須となります。

三賞の受賞者には賞金に加え、トロフィーや盾が授与され、力士としての箔がつきます。特に平幕力士にとっては、三賞を受賞することが三役昇進への大きなアピール材料となります。記者クラブの投票によって決まるため、記録だけでなく記憶に残る相撲を取ることも重要です。

三役昇進に必要な勝ち星の目安

平幕から小結や関脇といった三役に昇進するためには、番付と勝ち星のバランスが重要になります。一般的に、前頭筆頭や二枚目などの上位で勝ち越せば、翌場所の新三役昇進が濃厚となります。特に二桁勝利(10勝以上)を挙げれば、文句なしで昇進が決まるケースがほとんどです。

しかし、三役の枠が空いているかどうかによって昇進の難易度は変わります。関脇や小結が全員勝ち越して枠が埋まっている場合、平幕上位で勝ち越しても昇進が見送られる「留め置き」が発生することがあります。逆に、三役陣が総崩れした場合は、平幕中位からのジャンプアップ昇進が起こることも稀にあります。

基本的には、平幕上位で安定して勝ち越す実力がなければ三役の壁は破れません。三役に上がると対戦相手が厳しくなり、すぐに負け越して平幕に戻る「エレベーター力士」も少なくありません。平幕上位で力を蓄え、三役定着を狙うのが理想的な出世コースと言えます。

平幕力士の給与事情と生活環境のリアル

大相撲の力士は、幕内に入ると経済的な面でも一人前のプロフェッショナルとして扱われます。平幕力士の給与は一般的なサラリーマンの平均年収を遥かに上回る水準であり、夢のある職業であることは間違いありません。ここでは、具体的な金額や手取り収入、そして生活環境について解説します。

給与だけでなく、懸賞金や物品支給など、相撲界独自の収入システムも存在します。これらを知ることで、力士たちがなぜ厳しい稽古に耐え、番付を上げることに執念を燃やすのか、そのハングリー精神の裏側が見えてくるはずです。

月給やボーナスなど年収の目安

平幕力士の月給は、2025年時点の規定でおよそ140万円程度とされています。これに加え、年2回の賞与(ボーナス)が支給されるため、基本給だけでも年収は2,000万円近くになります。十両力士の月給が約110万円であることを考えると、幕内に昇進するだけで年収ベースで数百万の差が生まれることになります。

さらに、場所ごとに出張手当や力士褒賞金などが加算されます。特に長く現役を続けているベテラン平幕力士は、過去の積み上げによる褒賞金が多く、若手の三役力士よりも実入りが良いという逆転現象が起きることもあります。これらは日本相撲協会から定期的に支払われる安定した収入源です。

もちろん、ここから税金や協会への積み立てなどが引かれますが、衣食住の基本的な部分は部屋が負担してくれる場合も多く、可処分所得は非常に高いと言えます。若くしてこれだけの高収入を得られるチャンスがあることが、大相撲を目指す若者にとっての大きな魅力となっています。

付け人の数や個室などの待遇面

平幕力士になると、幕下以下の力士が「付け人」として身の回りの世話をしてくれるようになります。付け人の人数は番付によって異なりますが、平幕の場合は通常2〜3人程度がつきます。彼らは関取の着替えの手伝いから、荷物持ち、入浴の準備、食事の配膳まであらゆる雑務をこなします。

住環境においても、大部屋での雑魚寝から解放され、個室が与えられます。プライベートな空間が確保されることで、心身の疲労を回復させやすくなり、相撲に集中できる環境が整います。また、結婚して部屋を出て自宅通勤することも許可されるため、ライフスタイルの自由度も格段に上がります。

このような待遇の差は、幕下以下の力士にとって「いつか自分もあのように」という強烈なモチベーションになります。平幕力士は、単に強いだけでなく、部屋の弟弟子たちにとっての憧れの存在であり、成功者の象徴として振る舞うことも求められるのです。

場所ごとの懸賞金と手取り収入

本場所の取組には、企業から懸賞金がかけられることがあります。懸賞金は1本あたり7万円ですが、そこから協会手数料や税金預かり分が引かれ、力士が土俵上で手にする現金(手取り)は1本あたり3万円となります。人気の平幕力士や好取組には多くの懸賞旗が回るため、勝利すれば封筒の束を手にすることができます。

例えば、10本の懸賞がかかった一番に勝てば、その場で30万円の現金収入となります。平幕力士でも、優勝争いに絡んだり注目の一番に登場したりすれば、数十本の懸賞がかかることも珍しくありません。これは給与とは別の臨時収入であり、力士にとっては日々の励みとなる即金ボーナスです。

引かれた残りの金額の一部は、力士本人名義の積立金として協会にプールされ、引退時に退職金のような形でまとめて支払われます。つまり、懸賞金を得ることは、現在の収入と将来の蓄えの両方を同時に増やすことを意味しています。勝負強さがそのまま資産形成に直結するシビアな世界です。

歴史に残る平幕優勝の記録と劇的なドラマ

長い大相撲の歴史の中で、平幕力士が優勝をさらう「平幕優勝」は、かつては数年に一度あるかないかの珍事でした。しかし、近年では群雄割拠の時代を反映してか、平幕力士による下克上が頻発しています。ここでは、歴史に残る記録や記憶に新しい感動的な優勝シーンを振り返ります。

平幕優勝は、単なる番狂わせではなく、怪我からの復活や若手の爆発的な成長など、それぞれの力士の人生ドラマが凝縮された瞬間でもあります。これらのエピソードを知ることで、番付下位の力士の取組にも熱い視線を注げるようになるでしょう。

110年ぶりの快挙となった尊富士の優勝

2024年3月場所において、新入幕の尊富士(たけるふじ)が果たした優勝は、相撲史に残る歴史的快挙でした。新入幕力士による優勝は、1914年の両國以来なんと110年ぶりの出来事であり、誰も予想しなかったドラマチックな展開となりました。彼は初日から連勝を重ね、一度もトップを譲ることなく賜杯を抱きました。

特に14日目に足を負傷し、出場すら危ぶまれた千秋楽で強行出場して勝利した姿は、多くのファンの感動を呼びました。この優勝により、彼は一躍時の人となり、大相撲の新たなスター候補として認知されることになりました。平幕であっても、勢いと実力があれば歴史を塗り替えられることを証明した事例です。

この記録は、今後も長く語り継がれるであろう金字塔です。番付に関係なく、土俵上では対等であるという相撲の醍醐味を、世界中に改めて知らしめる結果となりました。

徳勝龍や朝乃山など記憶に残る一番

2020年1月場所では、幕尻(前頭17枚目)の徳勝龍がまさかの優勝を果たし、日本中を驚かせました。33歳というベテランでありながら、場所中に恩師の訃報に接し、涙をこらえて土俵に上がり続けた姿は多くの涙を誘いました。優勝インタビューでの「自分なんかが優勝していいんでしょうか」という言葉は流行語にもなりました。

また、その後大関に昇進した朝乃山も、平幕時代の2019年5月場所で初優勝を飾り、トランプ米大統領(当時)から「米国大統領杯」を授与されるという異例の光景が見られました。さらに2021年の大栄翔、2022年の玉鷲や阿炎など、この時期は平幕優勝が続き、戦国時代の様相を呈していました。

これらの優勝に共通するのは、場所前の下馬評を覆す快進撃と、千秋楽までもつれる熱戦です。上位陣が星を潰し合う中で、平幕力士が独自の相撲を貫き通して頂点に立つストーリーは、判官贔屓の日本人にとってたまらないカタルシスを与えてくれます。

平幕優勝が起きる要因と場所の傾向

平幕優勝が起きやすい背景には、横綱や大関といった上位陣の休場や不調が大きく関係しています。絶対的な強者が不在の場所では星が割れやすく、12勝3敗や場合によっては11勝4敗といった低いラインでの優勝争いになることがあります。こうなると、マークが薄い平幕力士にもチャンスが巡ってきます。

また、平幕下位の力士は、場所の前半戦で同クラスの力士と対戦することが多く、ここで星を稼いで波に乗ることができます。終盤戦で上位陣と当たる頃には勢いがついており、その勢いのまま横綱や大関を撃破してしまうケースが見られます。「荒れる春場所」などと言われるように、季節や場所によっても波乱が起きやすい傾向があります。

さらに、近年の力士全体のレベルアップにより、上位と下位の実力差が縮まっていることも要因の一つです。誰が勝ってもおかしくない現代の相撲界では、すべての平幕力士に優勝の可能性が秘められていると言っても過言ではありません。

知っておくと面白い平幕力士の豆知識と観戦術

平幕力士は優勝や三役を目指すだけでなく、それぞれの持ち味を活かして土俵を盛り上げるエンターテイナーでもあります。ベテランの技や若手の勢いなど、平幕ならではの見どころを知れば、テレビ中継の早い時間帯から相撲を楽しむことができます。ここでは、少しマニアックな観戦術を紹介します。

個々の力士の背景や役割に注目することで、単なる勝ち負け以上の深みが見えてきます。贔屓の平幕力士を見つけて応援するのは、大相撲ファンにとって最高の楽しみ方の一つです。

ベテラン平幕力士の熟練した技術

平幕の中には、かつて三役や大関を務めた経験を持つベテランが、怪我や年齢と戦いながら土俵を務めているケースが多くあります。彼らは身体的なピークを過ぎていても、豊富な経験と老獪なテクニックで若手の馬力を封じ込めます。いわゆる「曲者(くせもの)」と呼ばれる力士たちです。

立ち合いの変化や、相手の力を利用するいなし、土俵際での逆転技など、教科書通りではない相撲が見られるのがベテラン平幕の魅力です。彼らが若手有望株の壁となって立ちはだかる構図は、世代交代の厳しさを教える教育の場でもあります。渋い職人芸のような相撲には、長年のファンを唸らせる味わいがあります。

上位復帰を目指して黙々と勝ち星を積み重ねる姿や、現役へのこだわりを見せる姿勢には、勝敗を超えた美学が宿っています。彼らの一番一番には、相撲人生のすべてが詰まっているのです。

若手有望株が通過する平幕の壁

十両を突破して新入幕を果たした若手力士にとって、平幕は最初にぶつかる厚い壁です。ここでは学生相撲出身のエリートや、叩き上げの怪物が次々と登場し、次世代のスター候補としてしのぎを削っています。彼らがどれだけのスピードで番付を駆け上がるかを見るのは、青田買い的な楽しみがあります。

勢いだけで通用していた十両までとは異なり、幕内では研究され、弱点を攻められることが増えます。この「幕内の洗礼」を浴びて一度は跳ね返されるのか、それとも一気に三役まで突き抜けるのか、その成長曲線を見守るのがファンの醍醐味です。将来の横綱候補を平幕時代から応援していれば、出世した時の喜びもひとしおです。

特に、前頭筆頭あたりまで上がってきた若手が、横綱・大関陣に総当たりで挑む場所は最大の見せ場です。ここで上位陣を倒せば一気にブレイクし、その名は全国区となります。

取り組み編成における割の組み方

本場所の取組(割)は、審判部によって毎日編成されますが、平幕力士の対戦相手は成績によって柔軟に変更されます。通常、平幕は近い番付の力士と当たりますが、勝ちっ放しで優勝争いに絡んでくると、番付が離れた役力士や横綱と当てられる「割崩し」が行われます。

中日(8日目)を過ぎたあたりから、好成績の平幕力士が急に強敵と組まれるようになるのは、優勝の資格があるかを試されるためです。逆に、成績が振るわない上位力士が平幕下位と当てられることもあり、これは「入れ替え戦」のような意味合いを持ちます。

翌日の取組発表を見て「なぜこのカードが組まれたのか」を推測するのも、相撲通の楽しみ方です。そこには、審判部の「この力士を試したい」「優勝争いを整理したい」という意図が隠されていることが多いのです。

まとめ:平幕を知れば大相撲がもっと面白くなる!

平幕とは、幕内力士の大半を占める「前頭」たちのことであり、相撲界を支える主役たちです。彼らは横綱や大関に挑み、金星というビッグボーナスや優勝の栄光を夢見て、日々激しい土俵を繰り広げています。年収や待遇は一般社会とはかけ離れた高水準ですが、その地位を守るための競争もまた熾烈を極めます。

近年では尊富士のような新入幕優勝や、幕尻からの下克上など、平幕力士によるドラマが頻繁に生まれています。彼ら一人ひとりの背景や、番付による待遇の差、そして一攫千金の仕組みを知ることで、毎日の取組の見え方が劇的に変わるはずです。ぜひ次の場所では、お気に入りの平幕力士を見つけて、その奮闘を応援してみてください。

項目 内容・条件
定義 幕内力士のうち、横綱と三役(大関・関脇・小結)を除く者
定員 幕内全体で42名以内(三役の人数により平幕枠は変動)
金星 平幕が横綱に勝利すること(報奨金が生涯加算)
給与目安 月給約140万円+賞与・手当・懸賞金など

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