大相撲の本場所中、館内が最も大きく沸き立つ瞬間をご存知でしょうか。それは横綱が格下の力士に敗れる波乱、すなわち「金星」が生まれた瞬間です。かつては座布団が舞い、現在でも地鳴りのような歓声が国技館を包み込みますが、実はこの1勝には力士の人生を左右するほどの莫大な金銭的価値が隠されています。
平幕力士が横綱を倒すことは、単なる名誉だけでなく、引退するまで続く「給与のベースアップ」に直結するのです。本記事では、相撲ファンでも意外と知らない金星の厳密な定義から、具体的な報奨金の金額、そして歴史に名を残す金星ハンターたちの記録までを徹底的に深掘りします。これを知れば、次回の横綱戦を見る目が劇的に変わり、土俵上の緊張感をより深く味わえるようになるでしょう。
- 金星1つで場所ごとに支給される具体的な金額
- 一度獲得すると引退まで権利が消滅しない「持ち給金」の仕組み
- 「銀星」との違いや適用されない不戦勝のルール
- 歴代最多記録を持つ力士と最新の最年長記録
相撲で「金星を取ると」どうなる?意外と知らない定義と条件
相撲中継を見ていると頻繁に耳にする「金星」という言葉ですが、実はその適用条件は非常に厳格に定められています。単に「強い相手に勝つ」だけでは金星とは認められず、番付の地位と対戦相手の地位が特定の組み合わせである必要があります。
ここではまず、どのような勝利が正式な金星として記録されるのか、その基礎的なルールと例外について解説します。相撲界独特の「星」の数え方を理解することで、取組の重みがより鮮明に見えてくるはずです。
平幕が横綱に勝つ!番付による厳格なルール
金星とは、前頭(平幕)の力士が横綱と対戦して勝利することだけを指す特別な用語です。ここで重要なのは、勝った力士の地位が「前頭以下」であるという点であり、小結や関脇といった三役以上の力士が横綱に勝っても金星にはなりません。
相撲協会は番付の階級社会を非常に重んじており、平幕という「兵隊」が最高位の「将軍」を倒すからこそ、特別な功績として称えられるのです。そのため、たとえ同じ相手に勝ったとしても、自分が小結に昇進している場所では金星としてカウントされず、通常の白星として扱われます。
また、この定義はあくまで本場所の取組に限られており、巡業や花相撲での勝利は公式記録には残りません。15日間という過酷な本場所の土俵上で、心技体が充実した横綱を倒すことの難易度は計り知れず、だからこそ金星には特別な価値が付与されているのです。
三役以上は対象外?大関戦は「銀星」扱いか
よくある誤解として、平幕力士が大関に勝った場合も金星と呼ぶと思われがちですが、これは公式には金星とは認められていません。マスコミやファンの間では通称として「銀星」と呼ばれることがありますが、相撲協会からの報奨金対象にはならないのです。
大関も横綱に次ぐ看板力士ですが、金星制度の対象はあくまで「神」とされる横綱に対する勝利のみに限定されています。このため、平幕力士にとっては大関を倒すことも大きな勲章ではありますが、実利的な面では横綱戦の勝利とは雲泥の差があるのが現実です。
ただし、大関戦の勝利も三賞(殊勲賞・敢闘賞・技能賞)の選考には大きく影響するため、決して無意味ではありません。それでも「金星」という言葉が持つ響きと恩恵は別格であり、力士たちが横綱戦で目の色を変える最大の理由がここにあります。
不戦勝や反則勝ちは?土俵上の決着が必須
金星の認定において非常にシビアなのが、不戦勝や反則勝ちでは適用されないというルールです。たとえば横綱が休場して不戦勝となった場合、白星自体は付きますが金星にはならず、当然ながら報奨金の加算も発生しません。
これは「土俵上で相撲を取って勝つ」ことに対する対価であるという考え方が根底にあるからです。また、稀なケースですが、横綱が反則(髷を掴むなど)を犯して負けた場合も、かつての規定や慣例では金星と認められないケースが一般的でしたが、現在は「反則勝ち」でも金星と認めないのが通例です。
つまり、金星を獲得するためには、土俵の上で正々堂々と横綱と組み合い、実力でねじ伏せるか技で翻弄して勝つしかありません。運だけで手に入るものではないからこそ、その価値は普遍であり、力士にとっても一生の誇りとなるのです。
金星と白星の違いを整理した比較表
通常の白星と金星の違いを明確にするため、以下の表にまとめました。同じ「1勝」であっても、その中身と得られるリターンには天と地ほどの開きがあることがわかります。
特に経済的なメリットの違いは決定的であり、これが力士のモチベーションを極限まで高めています。たった一番の勝負が、その後の相撲人生における経済基盤を作ると言っても過言ではありません。
| 項目 | 金星(対横綱) | 銀星(対大関) | 通常の白星 |
|---|---|---|---|
| 勝利力士 | 平幕(前頭) | 平幕(前頭) | 全階級 |
| 報奨金加算 | あり(永続) | なし | 微増 |
| 公式記録 | 金星として残る | 白星のみ | 白星のみ |
| 三賞影響 | 極めて大 | 大きい | 状況による |
インタビューで明かされる力士の心理
金星を挙げた直後の花道や支度部屋でのインタビューは、力士の素顔が最も現れる瞬間の一つです。多くの力士が「頭が真っ白になった」「何も覚えていない」と語るように、極限の集中状態の中で勝利をもぎ取っていることがうかがえます。
また、家族や恩師への感謝を口にし、涙を流すシーンも珍しくありません。これは金星が単なる勝利以上に、厳しい稽古の成果が最高位に通用したという「自信の証明」であり、力士としてのアイデンティティを確立する瞬間だからでしょう。
一方で、ベテラン力士などは「明日も勝たないと意味がない」と兜の緒を締めることもあります。金星の喜びと、その後に続く土俵人生の厳しさを知っているからこその言葉であり、こうした人間ドラマも金星の大きな魅力となっています。
金星1つで年収激変!引退まで続く「報奨金」の驚愕システム
金星の話題で避けて通れないのが、具体的かつ破格の「お金」の話です。大相撲には「力士褒賞金」という独自の給与システムがあり、金星はこの褒賞金を劇的に跳ね上げるボーナス要素となっています。
ここでは、金星を1つ取ることで実際にどれくらいの金額が動くのか、その計算式と仕組みを詳しく解説します。一時金ではなく、引退するまで継続的に支給されるという「年金」のような性質が、この制度の凄味を物語っています。
1個につき「+4万円」が場所ごとに支給される
金星を獲得すると、力士の「持ち給金」という数値が10円加算されます。現代の貨幣価値で10円と言うと微々たるものに聞こえますが、実際の支給額はこの持ち給金を「4,000倍」した金額となります。
つまり、金星1個につき「10円 × 4,000倍 = 4万円」が、本場所ごとの手当として上乗せされる計算です。大相撲は年に6場所開催されるため、4万円 × 6場所で、年間「24万円」の増収となります。
たった1勝で年収が24万円アップすると考えれば、一般的なサラリーマンの昇給率と比較しても破格の待遇と言えるでしょう。しかもこれは一度きりの賞金ではなく、関取(十両以上)の地位にある限り、毎場所必ず支給され続けるのです。
引退まで減額なし?「持ち給金」の仕組み
この報奨金制度の最も恐ろしい点は、一度獲得した金星による加算分は、引退するまで決して減らないということです。負け越しても、番付が下がっても、金星による上乗せ分は「既得権益」として守られ続けます。
たとえば、若手の頃に金星を挙げておけば、その後ベテランになって成績が振るわなくなっても、その金星分の手当は毎場所支給されます。これは力士にとって非常に大きな生活の保障となり、引退後の蓄えを作る上でも重要な資金源となります。
ただし、十両から幕下に陥落してしまうと、この褒賞金は支給停止となります(権利自体は消滅せず、十両に復帰すれば復活します)。そのため、金星を多く持っている力士ほど、関取の座を死守しようとする執念も凄まじいものになるのです。
10個取れば年間240万円?累積するボーナス
金星による加算は累積するため、取れば取るほど雪だるま式に給料が増えていきます。もし現役生活で金星を10個獲得したと仮定すると、場所ごとに40万円、年間で240万円が基本給とは別に支給されることになります。
このシステムにより、横綱や大関になれなかったとしても、長く平幕で活躍して金星を量産した力士は、上位陣に匹敵するほどの高額な褒賞金を得ているケースがあります。まさに「金星ドリーム」とも呼べる世界が広がっているのです。
過去の名力士たちの中には、この報奨金だけで家を建てたという逸話も残っています。実力さえあれば、番付の頂点に立たずとも富を築ける可能性がある点が、大相撲という興行の奥深いところでもあります。
実際の給与明細はどう変わる?具体的シミュレーション
では、具体的にある力士が金星を3つ持っている場合の収入モデルを考えてみましょう。幕内力士の月給は約140万円程度ですが、これとは別に場所ごとに褒賞金が振り込まれます。
金星なしの力士と比べて、金星3つを持つ力士は、場所ごとに12万円(4万円×3)、年間で72万円も多く受け取ります。10年間現役を続ければ、その差額は720万円にも膨れ上がります。これに勝ち越しによる加算分なども含めれば、総額の差はさらに広がるでしょう。
このように、金星は単発のボーナスではなく、生涯賃金を底上げする強力な資産となります。力士たちが土俵上で必死の形相を見せる背景には、こうした生活をかけた切実な計算も働いているのです。
横綱にとっては痛手?配給と引退の関連性
逆に、金星を配給する側の横綱にとって、これは自身の寿命を縮める行為に他なりません。金星配給が増えることは「横綱としての力が落ちた」と見なされ、引退勧告へのカウントダウンが進むことを意味します。
また、横綱は協会の顔として、平幕に負けること自体が許されない存在です。金星を配給してしまった翌日の新聞には「金星配給」「不覚」といった文字が踊り、世間からの風当たりも強くなります。
そのため横綱は、自身のプライドと進退をかけて、死に物狂いで向かってくる平幕力士を跳ね返さなければなりません。金星が生まれる土俵には、挑戦者の野心と王者の意地が激突する、残酷なまでのドラマが凝縮されているのです。
金星は出世の起爆剤!番付と三賞への影響力
金星の恩恵はお金だけにとどまりません。力士としての格を上げ、番付を駆け上がるための最強の起爆剤としても機能します。横綱に勝つという事実は、その力士の実力が幕内上位レベルにあることの何よりの証明だからです。
ここでは、金星獲得がその後のキャリアパスにどのようなプラスの影響を与えるのか、三賞受賞や番付編成の観点から解説します。たった一番の勝利が、力士の未来を大きく切り拓く様子が見えてきます。
殊勲賞はほぼ確実?三賞選考との深い関係
本場所の千秋楽に発表される「三賞」のうち、特に「殊勲賞」は金星を獲得した力士が選ばれる可能性が極めて高い賞です。殊勲賞は優勝争いをした力士や横綱・大関を倒した力士に贈られるため、金星はその筆頭条件となります。
金星を獲得し、さらにその場所で勝ち越し(8勝以上)を決めれば、ほぼ間違いなく殊勲賞の候補に挙がります。三賞にはそれぞれ賞金も出るため、金星の報奨金と合わせてダブルで臨時収入を得るチャンスとなります。
ただし、いくら金星を挙げても、最終的に負け越してしまえば三賞の対象外となることがほとんどです。そのため、金星を挙げた力士は、その後の取組で勝ち越しを決めるまでは気の抜けない戦いが続きます。
翌場所の番付はどうなる?小結・関脇への道
金星を挙げた場所で好成績を残せば、翌場所の番付は大きくジャンプアップします。平幕上位で金星を含めて勝ち越せば、一気に小結や関脇といった三役への昇進が見えてきます。
番付編成において横綱戦の勝利は高く評価される傾向にあり、同程度の成績の力士がいれば、金星の有無が昇進の決め手になることもあります。まさに金星は、エリート街道への通行手形とも言えるでしょう。
三役に上がれば、今度は自分が横綱や大関と毎日対戦する立場になります。金星で得た自信を糧に上位陣に定着できるか、あるいは厚い壁に跳ね返されるか、力士としての真価が問われるステージが待っています。
部屋や後援会からの「ご祝儀」も桁違い
公式な報奨金以外にも、金星には「ご祝儀」という非公式なボーナスが付き物です。所属する相撲部屋の親方からはもちろん、タニマチと呼ばれる後援会の方々から贈られるご祝儀の額も、通常の白星とは桁が違うと言われています。
金星を挙げた夜は、後援者主催の祝勝会が開かれることも多く、力士にとっては最高に酒が美味しい夜となるでしょう。こうした周囲の祝福ムードもまた、力士にとっては大きなモチベーションの一つです。
また、地元や出身地も大いに盛り上がります。郷土の力士が横綱を倒したというニュースは、地方紙の一面を飾り、防災無線で放送される地域もあるほどです。金星は地域全体を明るくする力も持っています。
名前が売れる!テレビ出演やCMへの波及効果
地味な存在だった力士でも、金星一つで一躍全国区の知名度を得ることがあります。ニュース番組やスポーツコーナーで取組映像が繰り返し流されるため、相撲に詳しくない層にも顔と名前が浸透します。
人気が出れば、懸賞金の本数が増えたり、化粧回しを贈られたりと、様々な波及効果が生まれます。キャラクターによってはバラエティ番組への出演依頼や、CM起用の話が舞い込むこともあるかもしれません。
プロスポーツ選手である以上、知名度は自身の価値そのものです。金星という強烈なインパクトは、力士自身をブランディングする上で最強の武器となり得るのです。
親方になっても語り継がれる名誉の重み
現役時代に獲得した金星の数は、引退して親方になってからも「勲章」として語り継がれます。「あの横綱を倒した男」という肩書きは、弟子のスカウトや指導においても説得力を持ちます。
解説者としてテレビに出る際も、自身の金星体験談は視聴者が聞きたいエピソードの一つです。当時の横綱の圧力や、勝った瞬間の感触を語れるのは、実際に土俵で勝った者だけの特権です。
記録にも記憶にも残る金星。その輝きは現役中だけでなく、引退後の第二の人生においても、その力士を照らし続ける光となります。
歴史に名を刻んだ「金星ハンター」たち!歴代記録と最新情報
長い大相撲の歴史の中で、数多くの金星が生まれてきましたが、中には信じられないほどのペースで金星を量産した「金星ハンター」たちが存在します。彼らは横綱にとって恐怖の対象であり、相撲ファンにとっては期待の星でした。
ここでは、不滅と思われる歴代最多記録や、記憶に新しい近年の記録について紹介します。これらの記録を知ることで、現在の力士たちが挑んでいる壁の高さが理解できるはずです。
安芸乃島が樹立した「16個」の不滅記録
金星といえば、まず名前が挙がるのが元関脇・安芸乃島(現・高田川親方)です。彼は現役時代、なんと通算「16個」もの金星を獲得し、歴代1位の記録を保持しています。
重心が低く、強烈な脇固めやおっつけを得意とした彼は、千代の富士や北勝海といった大横綱たちを何度も苦しめました。特に「金星と言えば安芸乃島」というイメージは、当時の相撲ファンの脳裏に強く焼き付いています。
この16個という数字がいかに異常かは、金星10個を超えた力士が歴史上数えるほどしかいないことからも分かります。今後、この記録を破る力士が現れるかどうかは、相撲界の大きな注目ポイントの一つです。
「大物食い」高見山と栃乃洋の伝説
安芸乃島に次ぐ記録として有名なのが、元関脇・高見山の12個や、元関脇・栃乃洋の12個といった記録です。高見山はその巨体とパワーで輪島などの横綱を圧倒し、当時の相撲ブームを牽引しました。
また、比較的新しいところでは、土佐ノ海(11個)なども「横綱キラー」として恐れられました。彼らに共通するのは、自分の型を持っていたことと、上位相手にも物怖じしない強い心臓を持っていたことです。
こうした「大物食い」の力士がいる場所は、番付が荒れて面白くなります。優勝争いを攪乱するジョーカーとして、彼らの存在は本場所を盛り上げる不可欠な要素でした。
令和の鉄人・玉鷲が達成した最年長金星記録
最近の話題として特筆すべきは、「鉄人」の異名を持つ玉鷲の活躍です。彼は令和7年(2025年)の名古屋場所において、40歳8ヶ月という年齢で横綱・大の里を破り、昭和以降で最年長となる金星記録を樹立しました。
通常、力士のピークは20代後半から30代前半と言われる中で、40歳を超えてなお横綱を倒すパワーを維持していることは驚異的です。この記録は、日々の鍛錬と体のケアがいかに重要かを証明するものであり、多くの力士やファンに勇気を与えました。
玉鷲のようなベテランが、若き横綱の壁となって立ちはだかる構図もまた、大相撲の醍醐味の一つと言えるでしょう。
1場所で3個獲得?過去に起きた珍記録
極めて稀なケースですが、1つの場所で3人の横綱を倒し、一気に3個の金星を獲得した力士も過去に存在します。たとえば、昭和の名力士・増位山などは1場所3金星を達成しています。
もし1場所で3個取れば、それだけで年間72万円のベースアップが確定します。まさに「ドリーム」ですが、横綱全員と総当たりして全勝する必要があるため、優勝するよりも難しいとさえ言われます。
現代では横綱が1人や2人の時代も多く、そもそも対戦機会が限られているため、この記録を更新するのは物理的に困難かもしれません。しかし、もし複数の横綱が君臨する時代が来れば、再びこうした伝説が生まれる可能性はあります。
逆に最も金星を配給したのは?大横綱の宿命
金星を与える側、つまり配給数の記録に目を向けると、あの大横綱・北の湖が「53個」という圧倒的な数を残しています。一見すると不名誉な記録に見えますが、これは彼が21歳の若さで横綱に昇進し、長期間にわたってその地位を守り続けた証でもあります。
また、どんな状態でも休場せずに土俵に上がり、挑戦者の壁となり続けた結果とも言えます。逃げずに受けて立つ横綱の矜持が、この数字には表れているのです。
金星の多さは、ある意味でその横綱が長く愛され、多くの力士に目標とされてきた歴史の裏返しと言えるかもしれません。
金星が生まれる瞬間を見逃すな!観戦が10倍楽しくなる注目点
ここまで金星の仕組みや歴史を見てきましたが、実際に生で観戦する際には、どのような点に注目すればよいのでしょうか。金星が出る予兆や、その瞬間の館内の雰囲気など、知っておくと観戦がより楽しくなるポイントを紹介します。
テレビ観戦でも現場でも、これらのポイントを意識することで、ただの1勝負が極上のエンターテインメントへと変わります。
「座布団の舞」は現在どうなっているのか
かつては金星が出ると、観客が興奮して座布団を土俵に向かって投げる「座布団の舞」が名物でした。色とりどりの座布団が宙を舞う光景は、波乱の象徴としてニュースでもよく取り上げられました。
しかし現在では、安全管理の観点から座布団投げは禁止されており、館内放送でも自粛が呼びかけられています。座布団が当たって怪我をする観客が出ないようにするための措置です。
それでも、金星が出た瞬間の「投げたい!」という観客の熱気は凄まじいものがあります。座布団の代わりにタオルを回したり、割れんばかりの拍手を送ったりと、形を変えてその興奮は表現され続けています。
横綱の不調を見抜く?足の運びと立ち合い
金星が出る前には、実は予兆があることが多いです。横綱の立ち合いが合わずに一度待ったをしたり、土俵際での足の運びが少しもたついたりした場合、それは付け入る隙があるサインかもしれません。
特に、怪我明けや連敗中の横綱は、精神的にもプレッシャーがかかっており、本来の相撲が取れないことがあります。平幕力士がそうした隙を逃さずに一気に攻め込んだ時、大番狂わせが起こります。
「今日の横綱、何かおかしいな?」と感じたら、その一番は金星が出る歴史的瞬間になるかもしれません。目を凝らして観察してみましょう。
館内の空気が一変する「どよめき」の正体
金星が決まった瞬間、国技館は歓声の前に一度「ザワッ」という独特のどよめきに包まれます。「まさか」という驚きと、「やったぞ!」という興奮が入り混じった、言葉にできない空気感です。
その直後、万雷の拍手と歓声が爆発します。この空気の変化を肌で感じられるのは、現地観戦ならではの醍醐味です。テレビを通しても、解説者の興奮した声や、映し出される観客の表情からその熱狂は伝わってきます。
また、行司が勝ち名乗りを上げる際の声の張りにも注目です。歴史的な一番を裁いた行司もまた、その瞬間の重みを感じているはずです。
勝利者インタビューでの第一声に注目
取組後のインタビューで、力士が最初に発する言葉にはその人の性格が出ます。「嬉しいです」と素直に喜ぶ若手、「まぐれです」と謙遜するベテラン、あるいは言葉にならず涙を流す力士。
中には「家族に電話したい」とお茶目なコメントを残す力士もいます。激闘を終えた直後の、飾らない言葉を聞くことで、その力士のファンになってしまうことも多いでしょう。
金星インタビューは、力士の人間性を知る絶好の機会です。ぜひ最後まで見逃さずにチェックしてください。
翌日のスポーツ紙一面を飾る快挙の扱い
金星が出た翌日のスポーツ新聞は、間違いなくその一番が一面を飾ります。デカデカと「金星!」の文字が躍り、決定的瞬間の写真が掲載されます。
コンビニや駅の売店で自分の顔が載った新聞が並ぶ光景を見ることは、力士にとって最高の栄誉でしょう。記事にはその力士の生い立ちや苦労話なども書かれていることが多く、読み応えも十分です。
新聞を買い集めてスクラップするのも、相撲ファンの楽しみ方の一つ。金星記事は、後から読み返してもその時の興奮が蘇る良い記念になります。
まとめ
相撲における「金星」は、単なる1勝の枠を超えた、夢とロマンが詰まったシステムであることがお分かりいただけたでしょうか。平幕力士にとっては、一攫千金を狙えるビッグチャンスであり、自身の名を歴史に刻む最高の舞台です。
金星1つで年間24万円の報奨金が引退まで続くという事実は、プロスポーツ界でも類を見ないユニークかつ太っ腹な制度と言えます。この強烈なインセンティブがあるからこそ、力士たちは体格差や番付の壁を恐れず、果敢に横綱に挑んでいくのです。
明日からの相撲観戦では、ぜひ平幕と横綱の取組にこれまで以上の熱視線を注いでみてください。「もしかしたら、今ここで年収が変わる瞬間が見られるかもしれない」。そう思うだけで、土俵上の攻防がよりスリリングで人間味あふれるものに感じられるはずです。大相撲の歴史を彩る次なる金星の目撃者になるのは、あなたかもしれません。


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