地位で天国と地獄?力士の一日を完全網羅|稽古からちゃんこまで徹底解説!

「お相撲さんは毎日美味しいものを食べて昼寝ができるなんて羨ましい」と思っていませんか。実はその生活は、一般人には想像もつかないほど過酷で規律正しいものです。

力士の一日は、激しい稽古と膨大な食事、そして厳格な階級社会によって支配されています。華やかな土俵の裏側にある、汗と努力にまみれたリアルな生活実態を知れば、大相撲の見方が劇的に変わるはずです。

  • 幕下以下と関取で起床時間が数時間違う
  • 食事も風呂もすべて番付順という鉄の掟
  • 現代っ子力士の意外なスマホ・ゲーム事情

力士の一日の基本スケジュールと流れ

相撲部屋の一日は非常に早朝から始まりますが、その内容は番付によって天と地ほどの差があります。まずは一般的な力士の一日の流れを時系列で追いながら、彼らがどのように過ごしているのかを見ていきましょう。

基本的には「稽古・食事・睡眠」のサイクルを繰り返すことで、強靭な肉体と精神を作り上げていきます。ここでは多くの若手力士が該当する、幕下以下の生活を中心に解説します。

早朝の起床と掃除から始まる一日

幕下以下の若手力士たちの朝は早く、午前5時から6時頃には起床します。起きてすぐに動き出せるわけではなく、まずは稽古場の掃除や神棚の水換えなどを行い、神聖な道場を整えることから一日がスタートします。

一番下っ端の序ノ口や序二段の力士は、先輩たちよりも早く起きて準備をしなければなりません。冬場の凍えるような寒さの中でも、窓を開け放ち、冷たい水で雑巾がけを行うことは精神修養の一つとされています。

関取と呼ばれる十両以上の力士は、この時間帯はまだ夢の中であることが多いです。地位が上がるにつれて睡眠時間が確保されるようになり、これもまた強くなるためのモチベーションの一つとなっています。

朝稽古の過酷な実態と序列

掃除が終わると、いよいよ相撲部屋の命とも言える朝稽古が始まります。稽古も番付の低い者から順に土俵に上がり、基本動作である四股(しこ)、鉄砲(てっぽう)、すり足を延々と繰り返します。

番付が上の力士が土俵に現れると、下の者は場所を譲ったり、稽古のサポートに回ったりします。申し合い(実戦形式の稽古)では、勝った者が次の相手を指名して勝ち残る方式が取られ、弱ければ土俵に立つことさえ許されません。

午前10時頃になると関取衆も本格的に稽古に加わり、部屋の熱気は最高潮に達します。激しいぶつかり合いの音と荒い息遣いが響く稽古場は、まさに戦場のような緊張感に包まれています。

ちゃんこと昼食の厳格な作法

昼の11時から12時頃に稽古が終わると、待望の昼食「ちゃんこ」の時間になります。しかし、ここでも番付社会の掟は絶対で、まずは親方や関取衆が食事をとり、若手力士はその給仕やお茶出しに奔走します。

関取たちが食べ終わった後、ようやく幕下以下の力士たちが残ったちゃんこを囲むことができます。空腹の限界まで稽古をした後でも、兄弟子の世話を優先しなければならないのは精神的にもタフさが求められます。

食事の内容は鍋料理が中心ですが、カレーやハンバーグなどバラエティ豊かなメニューも並びます。新弟子のうちは食べることも稽古の一環とされ、苦しくても大量のご飯を胃袋に詰め込むことが義務付けられています。

体を大きくするための重要な昼寝

昼食後、午後1時から4時頃までは昼寝の時間となります。これは単なる休憩や怠慢ではなく、大量に摂取した食事の栄養を吸収し、激しい稽古で傷ついた筋肉を修復させて体を大きくするための重要な「業務」です。

食べてすぐ寝ると牛になると言われますが、力士にとっては牛になることこそが目標とも言えます。この時間にしっかりと睡眠をとれるかどうかが、怪我の防止や効率的な体作りに関わってくるのです。

関取になれば個室でゆっくり休めますが、幕下以下は大部屋で雑魚寝をすることが一般的です。プライベートな空間が少ない中で、いかにリラックスして体を休めるかも力士としての才能の一つかもしれません。

自由時間と就寝までの過ごし方

夕方以降は掃除や夕食(夜ちゃんこ)の準備を経て、ようやくそれぞれの自由時間となります。夜のちゃんこは昼ほど重たい食事ではなく、比較的軽めに済ませたり、外食に出かけたりすることもあります。

自由時間にはマッサージや治療院に行って体のケアをしたり、部屋でテレビを見たりと各自リラックスして過ごします。門限は部屋によって異なりますが、午後10時から11時頃には消灯し、翌朝の早い起床に備えます。

ただし、付け人を務める力士は関取のマッサージや身の回りの世話があるため、自分の時間は限られます。関取が寝るまで自分も寝られないことも多く、ここでも地位による待遇の差が顕著に現れます。

地位による生活の格差と待遇の違い

相撲界は完全な実力主義であり、番付が一枚違うだけで天国と地獄ほどの差が生まれます。特に「関取(十両以上)」と「幕下以下(力士養成員)」の間には、人間扱いされるかどうかの境界線があると言われるほどです。

ここでは、具体的にどのような待遇の差があるのかを掘り下げていきます。この格差こそが、力士たちが歯を食いしばって上を目指す原動力となっているのです。

起床時間と稽古開始の圧倒的な差

前述の通り、幕下以下の力士は早朝から起きて雑用をこなさなければなりませんが、関取は朝8時や9時頃に起きてくることも許されます。この数時間の睡眠差は、疲労の蓄積や回復スピードに大きく影響します。

また、関取は稽古場に入ってからも、自分のペースでウォーミングアップを行い、十分に体が温まってから土俵に入ることができます。一方、若手は関取が来るまでに土俵を温めておかなければならず、休む暇はありません。

関取になると「白まわし」を締めることが許され、黒まわしの若手とは見た目からも明確に区別されます。稽古場での立ち振る舞いや発言権においても、関取は別格の存在として扱われるのです。

食事や風呂の順番という鉄の掟

日常生活のあらゆる場面で「関取ファースト」が徹底されています。お風呂に関しても、一番風呂は親方や関取が入るものであり、若手力士は先輩たちの垢が浮いたぬるくなったお湯に入ることになります。

食事のメニューに関しても、関取は自分の好物をリクエストできたり、特別なおかずがついたりすることがあります。若手は関取が残したものを食べるのが基本であり、おかずが足りなくなることもしばしばです。

個室が与えられる関取に対し、幕下以下は大部屋での集団生活を強いられます。プライバシーのない環境から抜け出し、一人前の扱いを受けるためには、勝ち続けて関取に昇進するしか道はないのです。

雑用と付け人の仕事の負担

幕下以下の力士には「付け人」としての役割が課せられることがあります。関取の身の回りの世話、荷物持ち、洗濯、着替えの手伝いなど、まるで秘書のように常に付き従いサポートします。

付け人の仕事は非常に激務で、関取の機嫌を損ねないように常に気を配る必要があります。自分の稽古や食事の時間を削ってでも関取に尽くさなければならず、精神的なストレスも相当なものです。

しかし、付け人を経験することで、強い力士の生活習慣や考え方を間近で学ぶことができるという側面もあります。一流の関取から技術や心構えを盗み、やがて自分が付け人を使える立場になることを夢見るのです。

食事(ちゃんこ)と体作りの秘密

力士にとって食事は楽しみであると同時に、過酷なトレーニングの一部でもあります。「ちゃんこ」とは力士が食べる食事の総称であり、鍋料理だけを指すわけではありません。

巨大な体を作り維持するための食事戦略について、その内容やルールを詳しく見ていきましょう。一般人の常識とはかけ離れた食生活がそこにはあります。

ちゃんこの種類と栄養バランス

ちゃんこ鍋は肉、魚、野菜が大量に入った栄養満点の料理であり、スープの種類も塩、醤油、味噌、ポン酢など日替わりで工夫されています。栄養バランスに優れており、体を温めて代謝を高める効果もあります。

部屋ごとに「伝統の味」があり、鶏のソップ炊き(鶏ガラベース)などが有名です。四つ足の動物(豚や牛)は「手をつく=負け」を連想させるため、昔は敬遠されましたが、現在では栄養価重視で普通に使われています。

鍋以外にも、唐揚げ、中華料理、パスタなど、若い力士が喜ぶメニューも頻繁に登場します。大量の白米と共にこれらを摂取することで、1食で数千キロカロリーという凄まじいエネルギーを補給するのです。

1日2食の理由と空腹の活用

力士は基本的に朝食を抜いた1日2食の生活を送っています。これは空腹状態で稽古を行うことで、体に蓄えられた脂肪を燃焼させやすくすると同時に、稽古後の食事での吸収率を高める狙いがあります。

飢餓状態になった体は、摂取した栄養を必死に取り込もうと働きます。そのタイミングで大量の食事をとることで、効率的に体重を増やし、力士特有のあんこ型体型を作り上げることができるのです。

ただし、最近では空腹すぎると力が出ないという理由から、稽古前にバナナやおにぎりなどの軽食をとる部屋も増えています。科学的なトレーニング理論の導入により、伝統的な食事法も少しずつ変化しています。

大食いのノルマと新弟子の苦労

入門したての新弟子にとって、最初の壁となるのが「食のノルマ」です。細身の若者は、先輩から「もっと食え」「吐いてでも食え」と指導され、胃袋を拡張させることが求められます。

満腹で苦しくても箸を置くことが許されない状況は、ある意味で稽古以上に辛いと言われます。無理やり詰め込むことで胃を大きくし、一度に大量の食事をとれる体に改造していくプロセスは壮絶です。

逆に、体重が増えすぎて膝や腰に負担がかかる力士は、ダイエットを命じられることもあります。力士にとって体重管理は死活問題であり、食べることも食べないことも戦いの一つなのです。

現代力士の過ごし方とルール

伝統と格式を重んじる相撲界ですが、現代の若者たちが暮らす場所でもあります。スマホの普及や時代の変化に伴い、力士たちのプライベートな過ごし方も様変わりしてきました。

ここでは、意外と知られていない現代力士のリアルな日常や、恋愛、外出に関するルールについて解説します。

スマホやSNSの利用とデジタル化

かつては外部との連絡が制限されていた時代もありましたが、現在はほとんどの力士がスマートフォンを持っています。自由時間にはYouTubeを見たり、オンラインゲームを楽しんだりするのは一般の若者と変わりません。

SNSを活用して情報発信を行う力士や部屋も増えており、ファンとの交流の場となっています。稽古の様子やちゃんこの写真をアップすることで、相撲部屋の雰囲気をオープンに伝える役割も果たしています。

ただし、不適切な投稿による炎上やトラブルを防ぐため、協会からSNS利用に関する指導や講習が行われることもあります。デジタルツールの恩恵を受けつつも、品格を保つことが求められています。

外出と門限の厳守について

休日は外出が許可されますが、幕下以下の力士は外出時にも着物や浴衣の着用が義務付けられています。ジーンズやTシャツなどの洋服で出歩くことは、関取になるまでは原則として許されません。

門限は厳しく管理されており、遅刻は厳禁です。無断外泊や門限破りが発覚した場合、外出禁止や謹慎などの重い処分が下されることもあり、規律を守ることは絶対条件です。

関取になればある程度の自由は認められますが、それでも場所中や巡業中は集団行動が基本です。常に「力士として見られている」という意識を持って行動することが、部屋の看板を背負う者の責任とされます。

恋愛や結婚の事情と出会い

力士も人間ですから、恋愛や結婚をします。関取になれば結婚して部屋の外に住むことも許可されますが、幕下以下のうちは部屋住み込みが原則のため、結婚生活を送るハードルは高いです。

出会いの場は、後援会のパーティーや知人の紹介などが一般的です。また、最近ではSNSを通じて知り合うケースもあるようで、力士の恋愛事情も現代的になってきています。

「関取になったら結婚する」と約束して交際を続けるカップルも少なくありません。厳しい修行期間を支えてくれたパートナーと共に、昇進の喜びを分かち合う瞬間は、力士人生における最高のハイライトの一つです。

本場所中の一日の劇的な変化

年に6回行われる本場所中(15日間)は、普段の稽古期間とはスケジュールが大きく異なります。勝負の世界に身を置く力士たちにとって、この期間こそが成果を試される真剣勝負の場です。

取組の時間に合わせて調整を行うため、一日の流れは不規則になり、精神的なプレッシャーもピークに達します。

場所入りと支度部屋での過ごし方

本場所中は朝稽古を軽めに切り上げ、自分の取組時間に合わせて国技館などの会場へ「場所入り」します。幕下以下の力士は朝早く、関取は午後になってから会場入りするのが通例です。

会場にある支度部屋では、着替えを済ませてウォーミングアップを行ったり、付け人にマッサージを受けたりして出番を待ちます。支度部屋は大部屋で、対戦相手も同じ空間にいることが多く、独特の緊張感が漂います。

関取は自分の「明け荷(あけに)」と呼ばれる大きな荷物箱の前に座り、集中力を高めます。音楽を聴いたり目を閉じたりして、それぞれの方法で決戦の時を待つのです。

取組前のルーティンと緊張感

出番が近づくと土俵下の控えに入り、直前の取組を見守りながら精神を統一します。この時、極限まで集中力を高め、対戦相手の動きをシミュレーションしています。

花道を通って土俵に向かう瞬間、力士は戦う男の顔になります。塩を撒き、四股を踏み、相手と対峙する数分間の仕切りの中で、気力を最高潮にまで引き上げていきます。

勝負は一瞬で決まることもあれば、長い相撲になることもあります。日々の過酷な稽古のすべてをこの一瞬にぶつけるため、取組前のルーティンは非常に神聖で重要な儀式なのです。

取組後のケアと明日の準備

取組が終わると、風呂に入って砂や汗を流し、髷(まげ)を整え直してから部屋に戻ります。勝った日は気分良く帰れますが、負けた日の帰路は足取りも重く、悔しさを噛み締める時間となります。

部屋に戻った後は、怪我のケアやマッサージを入念に行います。本場所は15日間続く長丁場なので、疲労を翌日に残さないことが勝ち越すための鍵となります。

夕食後は翌日の対戦相手の研究をしたり、ビデオで自分の相撲を見返したりして反省を行います。勝っても負けてもすぐに気持ちを切り替え、次の一番に備える精神力が求められます。

まとめ

力士の一日は、一般人には想像もつかないほどの規律と忍耐の上に成り立っています。早朝からの激しい稽古、番付による絶対的な格差、そして体を張った本場所での戦い。これらすべてが、伝統ある大相撲を支える礎となっています。

しかし、その厳しい生活の中にも、現代的な楽しみや仲間との絆、そして上を目指すという純粋な夢が存在します。彼らが流す汗と涙の背景を知ることで、土俵上の数秒間の攻防がより一層ドラマチックに感じられるはずです。

次に大相撲中継を見る際は、力士の階級や立ち振る舞いにも注目してみてください。土俵入りする彼らの表情の裏にある、日々の壮絶なドラマを想像しながら観戦すれば、相撲の奥深さをさらに堪能できるでしょう。

もし機会があれば、朝稽古の見学に行ってみるのもおすすめです。テレビでは伝わらない稽古場の熱気や、ぶつかり合う音の迫力を肌で感じることで、力士への敬意がさらに深まること間違いありません。

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