大相撲中継の千秋楽で発表される「三賞」は、優勝争いと同様に多くの好角家が注目するトピックです。その中でも「敢闘賞」は、力士の闘志や土俵上の姿勢が最も純粋に評価される賞であり、若手からベテランまで幅広い力士にチャンスがある名誉ある称号といえます。この賞の意味を正しく理解することで、千秋楽の取組が持つ熱量や力士の心理状態をより深く味わうことができるようになるでしょう。
本記事では、敢闘賞の具体的な選考基準や賞金額、他の三賞との違いについて、初心者にもわかりやすく徹底解説します。まずは、三賞それぞれの特徴を簡単に比較した以下の表をご覧ください。
| 賞の種類 | 主な評価ポイント | 対象力士 |
|---|---|---|
| 敢闘賞 | 敢闘精神、大勝ち、優勝争い | 関脇以下の幕内力士 |
| 殊勲賞 | 横綱・大関への勝利、優勝力士への勝利 | 関脇以下の幕内力士 |
| 技能賞 | 優れた決まり手、技術的な熟練度 | 関脇以下の幕内力士 |
敢闘賞の本来の意味と厳格な選考基準
敢闘賞は、文字通り「敢闘精神」にあふれる相撲を取った力士に贈られる賞であり、三賞の中でも最も選考対象が広い賞です。単に勝った数だけでなく、土俵上での気迫や相撲内容が観客を魅了したかどうかが問われるため、数字以上の重みを持つ賞として知られています。ここでは、その選考プロセスや条件について詳しく掘り下げていきます。
選考は千秋楽の幕内取組前に行われる三賞選考委員会によって決定されますが、その基準は決して曖昧なものではありません。記者クラブ担当者や審判部の親方衆が議論を重ね、満場一致または多数決によって受賞候補が決まる仕組みとなっています。
敢闘精神とは具体的に何を指すのか
相撲界における「敢闘精神」とは、最後まで諦めずに戦い抜く姿勢や、自分よりも格上の相手に真っ向から挑む勇気を指します。具体的には、土俵際での粘り腰や、激しい突っ張り合いを制して勝利をもぎ取るような相撲内容が高く評価される傾向にあります。
また、怪我をおして出場し続け、そのハンデを感じさせない活躍を見せた場合なども、この敢闘精神の範疇に含まれることがあります。
ファンを湧かせるような熱戦を演じた力士は、勝敗にかかわらず印象点が高くなり、選考委員会の議論でも名前が挙がりやすくなります。
ただし、単に相撲が激しいだけでは不十分であり、相撲の基本動作や礼節が伴っていることも、暗黙の前提として求められる要素です。
近年では、新入幕力士や若手力士が恐れずに上位陣に挑戦する姿も「敢闘」として評価されるケースが増えています。
ベテラン力士が往年の技と気力を振り絞って勝ち星を重ねる姿もまた、多くの相撲ファンの心を打ち、敢闘賞の対象となることがあります。
選考委員会が決める評価プロセス
三賞の選考委員会は、日本相撲協会の審判部幹部と、相撲担当の記者クラブ代表者によって構成されています。
千秋楽の午後、幕内の取組が始まる前に会議が開かれ、今場所活躍した力士の名前がリストアップされていきます。
この会議では、勝ち星の数だけでなく、相撲の内容や対戦相手の質、場所全体の盛り上げ役としての貢献度などが総合的に議論されます。
記者投票の結果も参考にされますが、最終的には出席者の合議によって決定されるため、記者の票数が多くても受賞できないケースも稀に存在します。
選考結果はすぐに報道陣に伝えられますが、条件付き受賞(千秋楽の勝利が条件など)の場合は、その一番が終わるまで結果は確定しません。
千秋楽の取組直後に場内放送で受賞者がアナウンスされる瞬間は、力士にとってもファンにとっても緊張の一瞬となります。
勝ち越しが必要不可欠な絶対条件
どれほど素晴らしい相撲を取っていても、千秋楽を終えた時点で「8勝」以上の勝ち越しを達成していなければ、敢闘賞を受賞することはできません。
これは三賞すべてに共通する絶対的なルールであり、7勝8敗で負け越した力士が受賞することは、過去の例外を除き現代ではあり得ません。
そのため、千秋楽の時点で7勝7敗の力士が受賞候補に挙がった場合、「今日勝って8勝になれば受賞」という条件付きの選定となります。
この「条件付き」のプレッシャーの中で勝利を掴めるかどうかもまた、力士の精神力を試す大きな試練となっているのです。
逆に、早い段階で勝ち越しを決めていても、終盤戦で連敗して印象を悪くすると、受賞を逃すこともあります。
勝ち越しはあくまで最低条件であり、そこからどれだけ星を伸ばせるか、あるいはどれだけ内容の濃い相撲を取れるかが鍵となります。
優勝争いと受賞の密接な関係
平幕力士が千秋楽まで優勝争いに絡んだ場合、その功績を称えて無条件で敢闘賞が贈られるケースが非常に多く見られます。
横綱や大関が不在、あるいは不調の場所において、場所を牽引した平幕力士への評価は非常に高くなります。
たとえ優勝決定戦で敗れたとしても、あるいは千秋楽の本割で敗れて優勝を逃したとしても、そこまでの過程が評価されれば受賞対象となります。
このような場合、敢闘賞は「準優勝」に近い意味合いを持ち、力士の実力が上位に通じることを証明する勲章となります。
また、優勝力士が平幕である場合、敢闘賞と殊勲賞、あるいは技能賞を合わせてダブル受賞、トリプル受賞となることも珍しくありません。
優勝争いに加わること自体が、幕内力士としての最高レベルの敢闘精神の発露であると見なされているからです。
該当者なしが発生する理由と背景
場所によっては、三賞選考委員会の結果、「敢闘賞は該当者なし」という結論に至ることも決して珍しくありません。
これは、選考基準に達するほどの目覚ましい活躍をした力士が不在だった、あるいは候補者が千秋楽で敗れて条件を満たせなかった場合に起こります。
無理に受賞者を選ぶことで賞の権威や価値を下げることを避けるため、相撲協会は安易な選出を行わない方針を採っています。
特に、上位陣が安定して勝ち星を独占し、平幕力士に突出した成績の者がいない場所では、該当者なしとなる確率が高まります。
ファンとしては寂しい結果ですが、「該当者なし」という厳格な判断があるからこそ、受賞した時の喜びや価値が際立つのです。
力士たちにとっても、単に勝ち越すだけでなく、選考委員を唸らせるような相撲を取らなければならないという高いハードルとなっています。
殊勲賞や技能賞との明確な違い
三賞はそれぞれ異なる評価軸を持っており、敢闘賞が精神面や勢いを重視するのに対し、他の二賞はより具体的な戦果や技術に焦点を当てています。しかし、実際の選考ではその境界線が曖昧になることもあり、どの賞に該当するかは選考委員の解釈に委ねられる部分も少なくありません。ここでは、敢闘賞と他の二つの賞との違いを明確にし、それぞれの特徴を浮き彫りにします。
敢闘賞は「頑張った賞」と広く解釈されがちですが、殊勲賞や技能賞はよりターゲットが絞られた賞であると言えます。
これらの賞の違いを理解することで、力士がどのような意図を持って土俵に上がっているのか、その戦略性まで読み取ることができるようになります。
殊勲賞におけるジャイアントキリング
殊勲賞は、主に横綱や大関といった上位陣を倒した力士、あるいは優勝した力士に土をつけた力士に贈られる賞です。
いわゆる「金星」を挙げたり、優勝争いのトップを走る力士を引きずり下ろしたりといった、場所の行方を左右する大きな一勝が評価されます。
敢闘賞が場所を通じた全体的な活躍を評価するのに対し、殊勲賞は特定の「殊勲の星」を挙げたかどうかが決定的な要因となります。
したがって、たとえ10勝しても上位戦での勝利がなければ殊勲賞は選ばれにくく、逆に8勝7敗でも横綱を倒していれば受賞の可能性があります。
また、殊勲賞は「誰に勝ったか」が重要視されるため、上位総当たりの地位にいる筆頭や関脇・小結の力士が受賞しやすい傾向にあります。
平幕下位の力士は横綱・大関との対戦が組まれにくいため、殊勲賞よりも敢闘賞の対象になることが一般的です。
技能賞と評価ポイントの技術的差異
技能賞は、決まり手の鮮やかさや、相撲の基本技術の高さ、体格差を補う巧みな取り口を見せた力士に贈られます。
「出し投げ」や「足技」などの派手な技だけでなく、左四つの型が完成されている、立ち合いの鋭さが際立っているといった玄人好みの技術も評価対象です。
敢闘賞が「気迫」や「勢い」を重視する動的な賞であるのに対し、技能賞は「質」や「巧さ」を重視する静的な側面も持つ賞と言えます。
そのため、相撲内容が荒削りな若手力士が勢いで勝った場合は敢闘賞になりやすく、ベテランが技で勝った場合は技能賞になりやすい傾向があります。
もちろん、若手であっても卓越した技術を持っていれば技能賞に選ばれますし、その技術自体が敢闘精神に支えられていると判断されれば両方受賞することもあります。
技能賞は三賞の中で最も選考基準が厳しいとも言われ、該当者なしの頻度が最も高い賞でもあります。
ダブル受賞やトリプル受賞の可能性
一人の力士が同じ場所で複数の三賞を同時に受賞することは可能であり、それはその力士が歴史的な大活躍をした証拠でもあります。
例えば、初優勝を果たした平幕力士が、横綱を倒し(殊勲)、技も冴え(技能)、闘志も満点(敢闘)であれば、三賞独占(トリプル受賞)となります。
過去には貴花田(後の貴乃花)や出島、琴光喜などがこの快挙を成し遂げており、彼らはその後、大関や横綱へと昇進していきました。
ダブル受賞も比較的よく見られ、特に「敢闘賞+技能賞」や「殊勲賞+敢闘賞」の組み合わせは、勢いのある関脇・小結クラスで発生しやすいパターンです。
複数受賞の場合、賞金も受賞した数だけ加算されるため、力士にとっては名誉だけでなく経済的なメリットも非常に大きくなります。
三賞を総なめにするような力士が現れた場所は、間違いなく相撲史に残る名勝負が繰り広げられた場所として記憶されます。
受賞による賞金と力士へのメリット
三賞を受賞することは、力士にとって名誉であるだけでなく、具体的かつ大きな実利を伴う出来事です。
賞金という直接的な報酬に加え、その後の番付編成や給金査定においてもプラスの影響を与える重要な要素となります。
ここでは、敢闘賞を受賞することで力士が得られる具体的な報酬やメリットについて解説します。
プロのアスリートである力士にとって、賞金は日々の厳しい稽古の成果が形となったものであり、大きなモチベーションの源泉です。
また、三賞受賞歴は引退後の親方としての実績評価にもつながるため、長い目で見ても非常に価値のあるキャリアとなります。
獲得できる賞金の金額と仕組み
現在、敢闘賞を含む三賞の賞金は、一律で「200万円」と定められており、これは幕内最高優勝の賞金(1000万円)に次ぐ高額なボーナスです。
この金額は殊勲賞や技能賞と同額であり、どの賞を受賞しても経済的な価値に差はありません。
賞金は千秋楽の表彰式で、表彰状やトロフィーと共に目録として授与され、その場で受け取るわけではありませんが、後日確実に支払われます。
もしダブル受賞した場合は400万円、トリプル受賞なら600万円となり、一場所の収入としては破格の金額になります。
この賞金は、支度部屋で懸賞金を受け取るのとは異なり、公式な表彰として土俵上で授与されるため、税務上も一時所得として扱われます。
若手力士にとっては、年収を大きく押し上げる臨時収入となり、関取としての生活をより豊かにするための重要な資金源となります。
ちなみに、この200万円という金額は時代とともに増額されてきた歴史があり、過去にはもっと少ない金額だった時期もありました。
現在の金額は、力士の地位向上や物価変動を考慮して設定されたものであり、プロスポーツの報奨金としても決して低いものではありません。
給金や番付昇進への影響力
三賞を受賞することは、翌場所の番付編成において、より良い地位への昇進を後押しする材料(ポジティブな考慮事項)となります。
通常、勝ち星の数で番付の上げ幅は決まりますが、三賞を受賞するような内容は「中身の濃い勝ち星」として評価され、同成績の他力士より優遇されることがあります。
また、力士には「持ち給金」という制度があり、勝ち越すたびに加算されていくこのポイントが、場所ごとの褒賞金の額を決定します。
三賞受賞そのものが直接給金を増やすわけではありませんが、三賞を取るほどの大勝ちをすれば、当然給金の上がり幅も大きくなります。
特に関脇や小結といった三役への昇進、さらには大関取りの局面において、継続的な三賞受賞は「安定した実力」の証明となります。
大関昇進の目安とされる「直近3場所で33勝」の過程で三賞を連続受賞していれば、昇進の機運はさらに高まり、審判部の心証も良くなります。
記録に残る名誉と力士の評価
金銭的なメリット以上に、相撲協会の公式記録として「敢闘賞 ○回」と未来永劫残ることは、力士としての格を表す重要な指標です。
引退後に年寄名跡を取得したり、部屋を継承したりする際にも、現役時代の実績として三賞受賞歴は必ず参照されます。
特に敢闘賞の受賞回数が多い力士は、「土俵を沸かせた人気力士」としてファンや関係者の記憶に強く刻まれます。
貴闘力や魁皇といった名力士たちが多くの敢闘賞を獲得していることからもわかるように、この賞は相撲界のスターであることの証明書のようなものです。
また、優勝には届かなくても、長く幕内で活躍し続けた証として、三賞受賞歴は引退相撲や断髪式のアナウンスでも誇らしげに紹介されます。
一発屋で終わらず、何度も受賞を重ねることは、怪我や不調を乗り越えて闘志を燃やし続けたという、力士の生き様そのものを表しています。
敢闘賞にまつわる歴史と記録
昭和22年に制定された三賞制度の中で、敢闘賞は数々の名力士たちによってその権威を築き上げられてきました。
歴代の受賞者リストを眺めると、後の横綱・大関たちの若き日の躍動や、一時代を築いた名脇役たちの奮闘が浮かび上がってきます。
ここでは、相撲史に残る敢闘賞の記録や、特筆すべきエピソードについて紹介します。
記録を知ることは、現代の力士たちが挑んでいる壁の高さを知ることであり、大相撲という競技の歴史的な厚みを感じることでもあります。
「あの力士は何回受賞したのか」という視点で過去を振り返ると、意外な発見や興味深い事実に出会えるはずです。
歴代最多受賞力士のランキング
敢闘賞の歴代最多受賞記録を保持しているのは、闘志あふれる取り口で「大相撲の申し子」とも呼ばれた元関脇・貴闘力(現・実業家)で、その数は10回を誇ります。
彼の相撲は常に全力投球で、相手が誰であろうと恐れずに突き進むスタイルが、まさに敢闘賞の理念を体現していました。
現役力士や近年の引退力士の中にも、これに迫る記録を持つ者がいますが、二桁の受賞回数というのは並大抵のことではありません。
長く幕内に在位し、かつ衰えない闘志を持ち続けなければ達成できない記録であり、ある意味で優勝回数以上に「継続的な強さ」を示す数字とも言えます。
他にも、元大関・魁皇や元関脇・安芸乃島(現・高田川親方)など、長期間にわたって幕内上位で活躍した実力者たちが上位に名を連ねています。
彼らに共通するのは、怪我に苦しみながらも不屈の精神で土俵に上がり続けた点であり、その姿が多くのファンの感動を呼び、賞へとつながりました。
新入幕での受賞という快挙
新入幕(初めて幕内に上がった場所)でいきなり勝ち越し、さらに二桁勝利などを挙げて敢闘賞を受賞するケースは、スター誕生の瞬間として大いに注目されます。
慣れない幕内の土俵で、百戦錬磨の先輩力士たちを相手に物怖じせず戦う姿は、新風を吹き込む存在として高く評価されるからです。
近年でも、学生相撲出身のエリートや、叩き上げの若手ホープが新入幕で敢闘賞を獲得し、そのまま一気に番付を駆け上がる例が見られます。
このタイミングでの受賞は、その力士が将来的に三役、あるいは大関・横綱を狙える器であることを世間に知らしめる最初のステップとなります。
逆に言えば、新入幕で敢闘賞を逃したとしても、その後着実に力をつけて受賞する力士も多く、早熟か晩成かのタイプを見極める指標にもなります。
しかし、やはり「新入幕敢闘賞」のインパクトは絶大であり、翌場所からの対戦相手のマークが厳しくなるという「有名税」を払うきっかけにもなります。
外国人力士と敢闘賞の歴史
高見山が外国人力士として初めて幕内優勝を果たした際にも、その闘志あふれる相撲は高く評価され、三賞の常連となりました。
その後、小錦、曙、武蔵丸といったハワイ勢、そしてモンゴル勢へと続く外国出身力士の系譜において、敢闘賞は彼らが日本相撲に順応し、実力を発揮し始めた証として機能してきました。
特に身体能力に優れた外国人力士が見せるダイナミックな相撲は、従来の型にはまらない魅力があり、選考委員の目にも新鮮に映ることが多々ありました。
言葉や文化の壁を乗り越え、土俵上で純粋に力と技を競う彼らの姿は、国籍を超えた「敢闘精神」の普遍性を教えてくれます。
現在でも、欧州やアジアなど多様なルーツを持つ力士たちが敢闘賞を受賞しており、大相撲の国際化を象徴する賞の一つとなっています。
彼らが受賞インタビューで語る流暢な日本語や、師匠・家族への感謝の言葉もまた、場所を締めくくる心温まるシーンとして定着しています。
千秋楽の観戦が楽しくなる注目ポイント
敢闘賞の意味や条件を知った上で迎える千秋楽は、今まで何気なく見ていた取組がまったく違ったドラマチックな戦いに見えてくるはずです。
誰が受賞候補なのか、どの対戦が「受賞決定戦」なのかを把握することで、NHK中継や場内アナウンスをより深く楽しむことができます。
最後に、千秋楽の観戦をよりエキサイティングにするための具体的な注目ポイントを紹介します。
ただ漫然と見るのではなく、力士たちの「賞金」と「名誉」がかかった真剣勝負としての側面を意識してみてください。
そこには、優勝争いとはまた別の、人間臭くて熱いドラマが必ず隠されています。
千秋楽の「条件付き」取組を見逃すな
千秋楽の中継で「この一番に勝てば敢闘賞です」というアナウンスが流れたら、その取組は絶対に目が離せない一番です。
力士にとって、勝てば200万円と名誉、負ければゼロ(勝ち越しは決まっていても賞はなし)という、天国と地獄の分岐点だからです。
このような状況では、力士の表情や立ち合いの鋭さが普段とは明らかに異なり、極度の緊張感の中で実力が試されます。
プレッシャーに押し潰されて自滅するのか、それとも重圧を力に変えて最高の相撲を見せるのか、力士のメンタリティが如実に表れます。
また、対戦相手にとっても、相手に賞を取らせまいとする意地や、自分自身の勝ち越しがかかっている場合などがあり、激しい攻防が期待できます。
予定調和のないガチンコのぶつかり合いこそが相撲の醍醐味であり、条件付きの一番はその最たるものと言えるでしょう。
インタビューで見せる力士の喜び
三賞を受賞した力士は、千秋楽の全取組終了後に表彰式に臨み、その後インタビュールームで喜びの声を聞かせてくれます。
優勝力士のインタビューも感動的ですが、三賞受賞者のインタビューは、より等身大の喜びや安堵感が伝わってくることが多く、ファンに人気があります。
「まさか自分が取れるとは思っていなかった」「親方や家族に報告したい」といった初々しいコメントは、その力士の人柄を知る絶好の機会です。
時には悔し涙を流した場所の後の受賞で男泣きするシーンなどもあり、力士の背景にあるストーリーを感じさせてくれます。
ベテラン力士が久しぶりに受賞した場合の「まだやれる」という自信に満ちた言葉も、長年のファンにとっては胸が熱くなる瞬間です。
インタビューまで含めてが「敢闘賞」のエンターテインメントであり、そこから次場所への期待が膨らんでいくのです。
ファンが注目する受賞予想のポイント
千秋楽の数日前、あるいは当日の朝から、SNSや相撲掲示板では「今場所の三賞予想」が盛んに行われます。
「あの力士は星が足りないが内容は良かったから入るはず」「今回は該当者なしかもしれない」といった議論に参加するのも楽しみの一つです。
予想のコツとしては、単に勝ち星の数だけでなく、対戦相手の質(役力士とどれだけ当たったか)や、勝った相撲のインパクトを考慮することです。
また、新聞やニュースでの親方衆のコメント(「○○の相撲は良いね」など)をチェックしておくと、選考委員会の空気を読むヒントになります。
自分なりに「私ならこの力士に敢闘賞をあげたい」という推しを見つけて応援することは、相撲観戦を能動的に楽しむための最良の方法です。
自分の予想通りにその力士が受賞した時の達成感は格別であり、相撲を見る目が養われた証拠とも言えるでしょう。
まとめ
大相撲の敢闘賞は、単なる勝ち星の多寡を超えて、力士の「心」と「勢い」を評価する伝統ある賞です。
勝ち越しという絶対条件をクリアし、さらに見る者の心を動かす相撲を取った者だけが、その栄誉と賞金200万円を手にすることができます。
殊勲賞や技能賞との違いを理解し、千秋楽に向けた力士たちの駆け引きや心理状態を想像することで、大相撲観戦の深みは格段に増します。
次回の場所では、ぜひ「誰が敢闘賞に輝くのか」という視点を持って、土俵上の熱いドラマを見守ってみてください。
あなたの応援する力士が、気迫あふれる相撲で敢闘賞を勝ち取る瞬間、その感動はきっと倍増するはずです。


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