大相撲中継を見ていると、ふとした瞬間に「今の力士、さっきも見なかった?」と錯覚することはありませんか。特に、佐渡ヶ嶽部屋の期待の星である琴勝峰と琴ノ若(現・琴櫻)については、顔立ちや体格、そして醸し出す雰囲気が非常に似ていると話題になることが多いのです。
二人は単なる「似ている力士」ではありません。幼少期から同じ道場で汗を流し、名門・埼玉栄高校を経て、現在は同じ部屋で寝食を共にする、まさに兄弟のようなライバル関係にあります。なぜこれほどまでに二人は重なって見えるのか、そして決定的な違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、琴勝峰と琴ノ若の「似ている」理由を深掘りしつつ、二人の歩んできた軌跡や取り口の違い、そして大相撲ならではの「同部屋対決」のルールについて詳しく解説します。二人の関係性を知れば、土俵上の景色がより味わい深いものに変わるはずです。
- 琴勝峰と琴ノ若の顔や体格が似ている具体的な理由
- 幼少期から現在に至るまでのライバル関係の歴史
- 四つ相撲のスタイルにおける決定的な違い
- 同部屋の力士同士が本場所で対戦しない特別ルール
琴勝峰と琴ノ若は似てる?共通点と見分け方を徹底検証
大相撲ファンの間でも「琴勝峰と琴ノ若は似てる」という声は後を絶ちません。同じ部屋に所属し、四股名に同じ「琴」の字を冠していることだけが理由ではなく、生物学的な兄弟ではないかと思われるほどの共通点がいくつも存在しています。まずは二人が似ていると言われる物理的な要素と、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
顔立ちと雰囲気が似ている理由
最も多くの人が「似ている」と感じる要因は、やはりその顔立ちと全体的な雰囲気にあります。二人とも色白で肌がきめ細かく、目鼻立ちが整った「相撲界のイケメン」として知られていますが、特に眉の形や目元の涼しげな印象が共通しています。
また、取組前の仕切りで見せる落ち着いた表情や、勝負がついた後の感情を露わにしない所作も、二人の類似性を高めています。これは佐渡ヶ嶽部屋の伝統的な教えである「礼節」が身についている証拠でもありますが、並んで歩いていると本当の兄弟のように見えるというファンも少なくありません。
恵まれた体格とシルエットの類似性
身長と体重のバランス、つまり力士としてのシルエットが非常に近いことも、見分けがつきにくい一因です。両者ともに身長は190cm前後という長身で、現代の大相撲界においても大型力士の部類に入ります。
横から見た時の背中の厚みや、まわしの位置の高さなども似ており、遠目のカメラアングルでは一瞬どちらかわからないこともあります。ただし、近年は大関へと昇進した琴ノ若(琴櫻)の方が体重を増やして厚みを増しており、琴勝峰の方がややスラリとした印象を与えるようになっています。
プロフィールと身体データの比較
ここで改めて、二人の基本的なデータを比較してみましょう。数字で見ると、その近似性と微妙な違いがより明確になります。
| 項目 | 琴勝峰 𠮷成 | 琴ノ若 傑太(琴櫻) |
|---|---|---|
| 生年月日 | 1999年8月26日 | 1997年11月19日 |
| 身長 | 191.0cm | 189.0cm |
| 体重 | 165kg前後 | 178kg前後 |
| 出身地 | 千葉県柏市 | 千葉県松戸市 |
| 初土俵 | 2017年11月 | 2015年11月 |
身長は琴勝峰の方がわずかに高いものの、体重は琴ノ若の方が重く、どっしりとした安定感があります。年齢は琴ノ若が2歳年上で、相撲界に入ったのも2年早いため、明確な先輩後輩の関係にあります。
四股名と「琴」の系譜
「琴勝峰」と「琴ノ若」という四股名は、どちらも佐渡ヶ嶽部屋の伝統である「琴」の字を含んでいます。初心者の方にとっては、この「琴〇〇」という名前の多さが混乱を招く原因の一つかもしれません。
琴ノ若は、父である先代・琴ノ若(現・佐渡ヶ嶽親方)の四股名を受け継ぎ、さらにその後、祖父である横綱・琴櫻の名を襲名しました。一方の琴勝峰は、本名の「手計(てばかり)」から、部屋の期待を背負って独自の四股名を名乗っています。名前の響きや文字の並びが似ていることも、二人の印象を近づけている要素と言えるでしょう。
ファンが語る見分け方のポイント
熱心な好角家たちは、二人のどこを見て見分けているのでしょうか。よく挙げられるポイントは「肌の質感」と「肩のライン」です。
琴ノ若は全体的に丸みを帯びた柔らかな筋肉のつき方をしており、肌も非常に白いのが特徴です。対して琴勝峰は、長身痩躯(力士としては)で筋肉の筋が見えやすく、肩幅が広く角張ったフレームをしています。また、塩を撒く際の所作や、土俵入りでの腕の上げ方など、細かな動作にそれぞれの癖があり、慣れてくるとシルエットだけで判別できるようになります。
幼少期からのライバル関係と絆
二人の関係性を語る上で欠かせないのが、幼少期から続く長い付き合いです。単なる同部屋の力士という枠を超え、幼馴染であり、ライバルであり、そして運命共同体とも言える深い絆がそこにはあります。ここでは、二人がどのような道を歩んでプロの世界に飛び込んだのか、その歴史を紐解いていきます。
柏少年相撲教室での出会い
二人の原点は、千葉県柏市にある名門「柏少年相撲教室」にあります。ここは多くの関取を輩出している強豪道場で、琴勝峰と琴ノ若は小学生時代からここで共に稽古に励んでいました。
当時から琴ノ若は「親方の息子」として注目を集める存在でしたが、琴勝峰もまた非常に才能豊かな少年でした。稽古場では互いに胸を出し合い、勝ったり負けたりを繰り返しながら強くなっていったのです。この時期に培われた基礎と、互いを意識し合うライバル心が、現在の二人の強さの根源となっています。
「若旦那」と「挑戦者」の構図
周囲からの見られ方は、対照的な部分がありました。琴ノ若は祖父が横綱、父が関脇という相撲エリート一家に生まれ、将来を嘱望される「若旦那」として育ちました。そのプレッシャーは計り知れないものがあったはずです。
一方の琴勝峰は、相撲一家の出身ではありませんが、その身体能力の高さとセンスで周囲を驚かせてきました。エリート街道を歩む琴ノ若に対し、実力でその背中を追いかける挑戦者としての琴勝峰。この構図は、少年時代から現在に至るまで、二人の成長物語の核心部分を成しています。
埼玉栄高校での先輩後輩関係
中学校を経て、二人は共に高校相撲の名門・埼玉栄高校へと進学します。ここでも琴ノ若が2学年上の先輩、琴勝峰が後輩という関係は変わりませんでした。
高校時代の厳しい寮生活と猛稽古の中で、二人はさらに絆を深めていきました。琴ノ若がキャプテンとしてチームを引っ張り、琴勝峰がその背中を見て育つ。高校卒業後は共に佐渡ヶ嶽部屋への入門を選び、プロの世界でも同じ屋根の下で暮らすことを選びました。これほど長く濃密な時間を共有している力士同士は、角界広しといえども稀有な存在です。
取り口と身体能力の徹底比較
「似ている」と言われる二人ですが、土俵上での取り口、つまり相撲のスタイルには明確な違いがあります。共に四つ相撲を得意としながらも、そのアプローチや武器は異なります。ここでは技術的な視点から、二人の相撲スタイルの違いを深掘りしていきましょう。
右四つのスタイルと特徴
基本的には、二人とも「右四つ」を得意としています。右四つとは、自分の右手を相手の左脇の下に差し込み、左手で相手の右上手(まわし)を取る形です。この組み手になった時の強さは、両者ともに幕内上位クラスの実力を持っています。
しかし、そこに至るまでのプロセスが異なります。琴ノ若は、立ち合いからの圧力と包容力を活かし、相手を受け止めながら右四つに組むのが上手いです。一方、琴勝峰は長い手足を活かし、自分から積極的に差しにいったり、上手を探ったりする動きの良さが光ります。同じ右四つでも「受けて立つ」か「攻めて組む」かの違いが見て取れます。
琴ノ若の「壁」と琴勝峰の「バネ」
身体的な特性を一言で表すなら、琴ノ若は「壁」、琴勝峰は「バネ」と言えるでしょう。琴ノ若の最大の武器は、その重量感と腰の重さです。相手の攻めをどっしりと受け止め、簡単には下がらない防御力は、まさに動く壁のようです。
対照的に琴勝峰は、柔軟性と瞬発力(バネ)に優れています。土俵際まで追い詰められても、そこから身体を反らせて残す「うっちゃり」や、長いリーチを活かした「上手投げ」で逆転する場面が多く見られます。この身体能力の高さこそが琴勝峰の魅力であり、時に脆さにもつながる諸刃の剣でもあります。
それぞれの課題と強み
大関へと昇進した琴ノ若(琴櫻)の強みは、取りこぼしの少なさと安定感にあります。以前は腰高になる癖がありましたが、現在は腰が割れ、すり足で前へ出る力が格段に増しています。課題としては、さらに上の横綱を目指すための「爆発力」や「絶対的なスピード」が挙げられます。
琴勝峰の強みは、スケールの大きさと潜在能力の高さです。ハマった時の相撲は横綱・大関クラスをも圧倒する迫力があります。しかし、課題は「好不調の波」です。腰が高く浮いてしまう癖が出ると、あっさりと土俵を割ってしまうことがあります。安定感を身につけることが、琴ノ若に追いつくための最大の鍵となるでしょう。
佐渡ヶ嶽部屋での序列と生活
同じ部屋に所属するということは、365日ほぼ全ての時間を共有することを意味します。相撲部屋という特殊な環境下で、二人はどのような関係性を築いているのでしょうか。ここでは、佐渡ヶ嶽部屋での生活と兄弟弟子としてのあり方について解説します。
部屋における「兄弟子」と「弟弟子」
相撲界の上下関係は非常に厳格です。基本的には入門順(番付順の要素もある)で序列が決まります。琴ノ若の方が先に入門しているため、部屋の中では琴ノ若が兄弟子、琴勝峰が弟弟子という立場になります。
しかし、二人は幼馴染であり、気心知れた仲でもあります。プライベートな時間やふとした瞬間には、厳しい上下関係の中にも信頼と友情が見え隠れします。互いに「コトちゃん」「トシキ」と呼び合うような仲の良さが、ファンにとってはたまらない魅力の一つとなっています。
切磋琢磨する稽古場のリアル
佐渡ヶ嶽部屋の稽古は厳しいことで有名ですが、その中心にいるのがこの二人です。朝稽古では、申し合い(勝ち抜き戦形式の稽古)で二人が激しくぶつかり合う光景が日常的に見られます。
同部屋に自分と同等、あるいはそれ以上の実力を持つライバルがいることは、力士としてこれ以上ない恵まれた環境です。琴ノ若が強くなれば琴勝峰も強くなり、琴勝峰が力をつければ琴ノ若も負けてはいられない。この相乗効果が、近年の佐渡ヶ嶽部屋の躍進を支えていると言っても過言ではありません。
血縁を超えた一門の絆
相撲部屋は「一つ釜の飯を食う」家族のような存在です。琴勝峰にとって、師匠である佐渡ヶ嶽親方(先代琴ノ若)は父親代わりであり、その息子である現・琴ノ若は兄のような存在です。
琴ノ若が大関昇進を決めた際や、琴櫻を襲名した際、琴勝峰は誰よりもその背中を近くで見てきました。悔しさもあったでしょうが、それ以上に「自分も続かなければならない」という強い使命感を感じたはずです。血の繋がりはなくとも、汗と涙で結ばれた絆は、何よりも強固なものです。
大相撲のルールと同部屋対決
「琴勝峰と琴ノ若の対戦が見たい!」と思うファンは多いですが、本場所の取組表で二人の対戦が組まれることはありません。これは大相撲の厳格なルールによるものです。最後に、この「同部屋対決」に関するルールと、唯一対戦が実現する例外的なケースについて解説します。
本場所で対戦が組まれない理由
大相撲には「同部屋の力士、および4親等以内の親族とは対戦しない」という規定があります。これを「系統別総当たり制」の例外措置と呼びます。目的は、八百長(故意敗退)の疑念を避けるためと、情が移って真剣勝負ができない可能性を排除するためです。
そのため、番付がどれだけ近づいても、優勝争いをしていない限り、琴勝峰と琴ノ若が本場所の15日間の中で当たることはありません。これはファンにとっては残念なことですが、逆に言えば、二人が協力して他の部屋の力士を倒し、部屋全体で優勝を目指すというチーム戦の側面を楽しむことができます。
唯一の例外「優勝決定戦」
ただし、二人が本場所の土俵で戦う可能性がゼロではありません。唯一の例外が「優勝決定戦」です。千秋楽を終えた時点で、優勝争いのトップに複数の力士が並んだ場合に行われる決定戦では、同部屋であっても対戦が組まれます。
過去には、若貴兄弟(若乃花・貴乃花)の優勝決定戦など、歴史に残る名勝負が生まれています。もし、琴勝峰と琴ノ若が千秋楽まで勝ち残り、優勝決定戦で激突することになれば、それは大相撲史に残るドラマチックな展開となるでしょう。
ファンが夢見る「同部屋優勝決定戦」
現実的に、この「佐渡ヶ嶽部屋決戦」が実現する可能性は十分にあります。琴ノ若(琴櫻)は大関として優勝争いの常連になりつつあり、琴勝峰も調子が良い時は優勝争いに絡むポテンシャルを持っています。
普段は互いに協力し合う兄弟弟子が、賜杯(優勝カップ)を懸けて土俵中央で対峙する。その時、二人はどのような顔で向かい合うのか。互いを知り尽くしているからこその高度な駆け引きが見られるのか。ファンはその瞬間を夢見て、二人の成長を見守り続けています。
まとめ
琴勝峰と琴ノ若は、単に顔や体格が似ているだけでなく、幼少期からの深い絆とライバル関係で結ばれた特別な二人です。それぞれの特徴を理解することで、大相撲観戦の楽しみ方は何倍にも広がります。
最後に、今回の記事のポイントを振り返ってみましょう。
- 顔や体格が似ているのは事実だが、琴ノ若は「剛」、琴勝峰は「柔」の身体つき
- 柏少年相撲教室から埼玉栄高校、佐渡ヶ嶽部屋まで同じ道を歩む幼馴染
- 琴ノ若は安定感のある「受ける相撲」、琴勝峰はバネを活かした「攻める相撲」
- 本場所での直接対決はないが、優勝決定戦での同部屋対決が期待されている
今は番付に差が開いていますが、琴勝峰がポテンシャルを完全に開花させれば、両者が優勝を争う日はそう遠くないかもしれません。今後もこの「佐渡ヶ嶽コンビ」の活躍から目が離せません。ぜひ次の場所では、二人の表情や取り口の違いに注目して応援してみてください。


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