月給0円の衝撃?序二段力士の厳しい待遇と7番勝負のリアル!

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大相撲中継が始まる午後、まだ観客のまばらな土俵で懸命に戦う力士たちがいます。

彼らの多くは「序二段」と呼ばれる階級に属しており、未来の関取を夢見て厳しい稽古に励んでいる若者たちです。

しかし、その実態は華やかな幕内力士とはかけ離れた、想像を絶するハングリーな世界であることをご存知でしょうか。

この記事では、序二段力士の待遇や生活、ルールの詳細について、以下のポイントを中心に解説します。

  • 月給ゼロ円という衝撃的な給与事情と場所手当の仕組み
  • 冬でもコート着用が許されない厳しい服装規定
  • 1場所7番勝負で勝ち越すことの難しさと重要性

この階級の厳しさを知ることで、大相撲観戦がより深く、味わい深いものに変わるはずです。

まずは、序二段という階級が角界全体の中でどのような位置づけにあるのか、その基本から見ていきましょう。

序二段力士とは?定員なき最大勢力の実態

大相撲の番付において、下から2番目に位置するのが「序二段」という階級です。

新弟子が最初に踏む「序ノ口」の一つ上にあり、力士として本格的なキャリアが始まる段階とも言えますが、その人数規模や競争環境は他の階級と大きく異なります。

定員が存在しない特殊な階級

幕内(42人)、十両(28人)、幕下(60人)、三段目(100人)と、上位の階級には明確な定員が設けられています。

しかし、序二段には定員という概念が存在せず、序ノ口と共にその時々の力士数によって人数が変動する仕組みになっています。

一般的に、相撲界全体の力士数の中で最も多くの人数が在籍するのがこの序二段であり、総数は200人近くに達することもあります。

定員がないということは、上が詰まっているから上がれないわけではなく、実力さえあれば三段目の枠を奪い取ることができる完全実力主義の入り口と言えるでしょう。

多くの力士がこの階級で長い下積み時代を過ごすことになり、中にはベテランとなっても序二段で相撲を取り続ける力士も存在します。

まさに角界のピラミッドの底辺を支える、最も分厚い層がこの序二段なのです。

序ノ口との決定的な違い

一番下の階級である序ノ口と序二段は、待遇面では「養成員」として一括りにされることが多いですが、力士としての意識には大きな差があります。

序ノ口は入門したての新弟子や、怪我で長期休場して番付を落とした力士が主ですが、序二段に上がると「番付に名前が載る」という感覚がより強くなります。

実際に、かつては序ノ口の番付表には文字が小さすぎて虫眼鏡がないと読めないと言われていましたが、序二段になると肉眼でも確認できる大きさになります。

また、経験を積んだ力士も多いため、相撲の内容も単なる力任せではなく、基本的な技や駆け引きが見られるようになるのがこの階級からです。

わずか一枚の番付差ですが、そこには「新入り卒業」という意味合いが含まれており、力士としての自覚が芽生える第一歩となるのです。

とはいえ、世間一般から見ればまだまだ修行中の身であり、一人前の関取への道は遥か彼方にあります。

三段目の壁と実力差

序二段力士にとって最初の大きな目標となるのが、定員100名の「三段目」への昇進です。

序二段と三段目の間には、実力的にも待遇的にも小さくない壁が存在しており、ここを突破できるかどうかが最初の篩(ふるい)となります。

三段目に上がると、雪駄(せった)を履くことが許されたり、羽織を着用できたりと、身なりにおいて少しだけ力士らしい扱いを受けることができます。

しかし、序二段の上位で勝ち越しても、三段目の下位から落ちてくる力士との入れ替え戦になるため、簡単には上がらせてもらえません。

三段目の力士は体格も一回り大きく、相撲の技術もしっかりしているため、序二段で通用していた技が通じなくなることも多々あります。

この「三段目の壁」に跳ね返され、序二段と三段目を往復する力士も少なくないのが現実です。

幅広い年齢層とキャリア

序二段の特徴として、10代の若手から40代のベテランまで、極めて幅広い年齢層の力士が混在していることが挙げられます。

将来を嘱望されるエリート候補生が通過点として在籍することもあれば、怪我で番付を下げた元関取が再起をかけて戦う場所でもあります。

また、出世の道は断たれたものの、相撲を愛し、部屋のちゃんこ長や若手の指導役として相撲界を支え続けるベテラン力士もいます。

土俵上では、親子ほど年齢の離れた力士同士の対戦が組まれることも珍しくなく、若さの勢いとベテランの巧さが激突する興味深い取組が見られます。

それぞれの力士が異なる背景とモチベーションを持って土俵に上がっている点も、序二段という階級の奥深さと言えるでしょう。

ただひたすらに上を目指す者と、現状の中で役割を見出す者、その人間模様が交錯する場所なのです。

厳しい昇進と降格のシステム

序二段における昇進と降格は、本場所での7番相撲の勝敗によって厳格に決定されます。

基本的には4勝3敗以上の「勝ち越し」で番付が上がり、3勝4敗以下の「負け越し」で番付が下がるというシンプルな仕組みです。

勝ち星が多ければ多いほど大きく番付が上がるため、7戦全勝すれば一気に三段目の中位や上位まで躍進することも可能です。

逆に、全休や全敗をしてしまうと、序ノ口まで転落してしまうリスクとも常に隣り合わせです。

特に序二段の上位(筆頭付近)では、勝ち越せば三段目昇進がほぼ確実となりますが、負け越せばまた序二段での生活が続くことになります。

このプレッシャーの中で本来の力を発揮できるかどうかが、プロの力士として大成するための試金石となっています。

衝撃の給料事情と待遇

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プロスポーツ選手といえば高額な年俸をイメージしますが、序二段力士の懐事情は非常にシビアです。

「給料」という名目での支給はなく、あくまで修行中の身として扱われる彼らの経済状況について詳しく解説します。

月給はゼロ円という現実

大相撲において、毎月の「給与」が支給されるのは、十両以上の「関取」と呼ばれる力士だけです。

つまり、幕下以下の力士である序二段には、毎月の固定給は1円も支払われません。

一般企業でいう正社員ではなく、あくまで衣食住を提供されている「研修生」や「養成員」といった立場に近いと考えれば分かりやすいでしょう。

そのため、彼らは労働の対価としての給料を得るために相撲を取っているのではなく、将来関取になって給料をもらうために修行をしているのです。

この経済的な格差こそが、力士たちにとって「絶対に関取になりたい」という強烈なモチベーションの源泉となっています。

月給がない生活というのは、現代社会において想像以上に過酷な環境であることは間違いありません。

場所手当と年収の目安

月給はありませんが、相撲協会からは「場所手当(力士養成員場所手当)」という名目で、年に6回の本場所ごとに手当が支給されます。

現在の規定では、序二段の場所手当は1場所につき約8万8000円となっています。

これを年6回受け取ったとしても、年間の総支給額は約52万8000円にしかなりません。

ここから税金等が引かれることはほとんどありませんが、年収50万円強というのは、アルバイト生活以下の水準と言わざるを得ません。

もちろん、部屋によっては親方からのお小遣いや、兄弟子からの心付けがある場合もありますが、あくまで不定期なものです。

この僅かな手当の中から、個人的な日用品や娯楽費を捻出しなければならないため、贅沢は一切できないのが現実です。

衣食住無料の生活保障

年収50万円でどうやって生活しているのかと疑問に思うかもしれませんが、力士には「衣食住」が完全に保障されています。

相撲部屋での食事(ちゃんこ)は無料、家賃や光熱費もかからず、稽古着や浴衣などの基本的な衣服も支給や部屋持ちであることが多いです。

つまり、生きていくための基礎的なコストがほぼゼロであるため、手当の全額をお小遣いとして使うことができます。

スマートフォンの通信費や休日の外出費などを除けば、出費を極限まで抑えることが可能な環境が整っているのです。

このシステムがあるからこそ、地方から出てきた若者でも、経済的な不安なく相撲に打ち込むことができると言えます。

とはいえ、将来への貯金などは難しく、あくまで「相撲に専念するための最低限の保障」であることは変わりません。

序二段の服装と生活ルール

相撲界は伝統と格式を重んじる世界であり、階級によって身につけるものや生活スタイルが厳格に定められています。

序二段力士に課せられる服装規定や、大部屋での共同生活の実態について見ていきましょう。

真冬でもコート着用禁止

力士の階級による待遇差が最も目に見える形で現れるのが、外出時の服装規定です。

序二段力士は、夏場は浴衣、冬場は着物(ウールなど)を着用しますが、その上に羽織やコートを着ることは許されていません。

真冬の雪が降るような日であっても、彼らは着物一枚に裸足で下駄という姿で外を歩かなければならないのです。

これは単なる精神論ではなく、修行中の身であることを自覚させ、早く偉くなって暖かい格好ができるようになれという無言の教えでもあります。

襟巻(マフラー)も幕下以上でないと着用できないため、寒さに耐えながら場所入りする姿は、冬の風物詩とも言える光景です。

彼らが寒さに震えることなく外出できるようになるには、番付を上げて三段目、幕下へと昇進するしかないのです。

大部屋での共同生活

住環境に関しても、関取になれば個室が与えられますが、序二段力士は大部屋での共同生活が基本です。

数十畳の広間に布団を並べて寝起きし、プライベートな空間は自分の布団一枚分だけというケースも珍しくありません。

いびきや歯ぎしりが聞こえる中で眠り、朝は兄弟子よりも早く起きて稽古の準備をする、集団生活の規律が求められます。

スマートフォンをいじる時も周囲に気を使い、常に誰かの目がある環境でストレスを感じることも多いでしょう。

しかし、この共同生活を通じて、力士同士の絆が深まり、社会性や忍耐力が養われていくという側面もあります。

寝食を共にし、裸の付き合いをする中で培われる人間関係は、相撲界特有の財産とも言えます。

付け人業務と雑用

序二段力士の毎日は、自分の稽古だけではなく、部屋の運営や関取のサポート業務(付け人)で埋め尽くされています。

掃除、洗濯、ちゃんこ作り、買い出し、関取の入浴の世話やマッサージなど、やるべきことは山のようにあります。

特に関取の付け人になると、関取のスケジュールに合わせて動く必要があり、自分の時間はほとんどなくなります。

関取がリラックスして相撲に集中できるよう、身の回りの世話を完璧にこなすことが求められ、ミスをすれば厳しく叱責されることもあります。

しかし、一流の関取の生活や考え方を間近で学ぶことができる貴重な機会でもあり、将来自分が関取になった時のための予行演習とも言えます。

「強くなりたければ強い人の側にいろ」という言葉通り、付け人業務は単なる雑用以上の意味を持っているのです。

1場所7番の真剣勝負

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幕内力士は15日間毎日相撲を取りますが、序二段を含む幕下以下の力士は、1場所につき7番しか相撲を取りません。

この「7番勝負」という限られたチャンスの中で結果を出すことの難しさと、そのルールの詳細を解説します。

2日に1回の取組ペース

序二段力士の取組は、基本的に2日に1回のペースで組まれます。

15日間の本場所期間中に7回の出番があるため、取組がある日とない日が交互にやってくるイメージです。

取組のない日は、朝の稽古を終えた後、ちゃんこ番や付け人としての業務を行ったり、土俵下の溜席で警備にあたったりします。

毎日相撲を取るわけではないため、一度負けた後の気持ちの切り替えが難しく、次の取組まで2日間も悔しさを引きずることもあります。

また、コンディションの維持も難しく、取組当日にピークを持っていく調整力が求められます。

少ないチャンスを確実にものにする集中力が、序二段力士には不可欠なのです。

勝ち越し(4勝)の重み

7番相撲において、番付を上げるための条件は「4勝3敗」以上の成績を残すこと、つまり「勝ち越し」です。

たった一つの勝ち星の差で、勝ち越しか負け越しかが決まり、翌場所の番付が天国と地獄ほど変わってしまいます。

特に3勝3敗で迎える7番目の相撲は「給金相撲」とも呼ばれ(実際には給金は出ませんが)、力士にとって極度の緊張感が走る一番となります。

ここで勝てば番付が上がり三段目への道が開けますが、負ければ番付が下がり、また一からの出直しとなります。

この「3勝3敗」の一番に勝てる勝負強さを持っているかどうかが、将来関取になれる器かどうかを見極めるポイントとも言われています。

土俵上では、技術以上に「勝ちたい」という執念が勝敗を分けることが多くあります。

多様な決まり手と荒削りな魅力

序二段の取組は、幕内のような洗練された攻防とはまた違った、荒削りで予測不能な面白さがあります。

基本に忠実な押し相撲だけでなく、奇襲戦法や、あまり見かけない珍しい決まり手が飛び出すことも珍しくありません。

体格差がある対戦も多いため、小兵力士が大型力士を足取りや首投げで転がすような、ジャイアントキリングも見どころの一つです。

まだ体が出来上がっていない若手力士も多いため、力任せの投げの打ち合いになり、土俵際での逆転劇も頻発します。

技術的な未熟さはありますが、それを補って余りある気迫と若さがぶつかり合う、純粋な勝負の熱量を感じることができるでしょう。

青い房の下で繰り広げられる原石たちの戦いは、相撲ファンにとって見逃せないコンテンツなのです。

まとめ

ここまで、序二段力士の知られざる待遇や生活の実態、そして土俵上のルールについて詳しく解説してきました。

彼らが置かれている環境は決して恵まれたものではありませんが、その厳しさこそが、未来の横綱を生み出すための土壌となっています。

今回の記事の要点を改めて整理します。

  • 序二段は定員がなく、最も多くの力士が在籍する競争の激しい階級である
  • 月給はゼロ円で、年6回の場所手当(年収約50万円)のみで生活している
  • 冬でもコート着用禁止、大部屋生活など、生活面でも厳しい修行が課せられる
  • 1場所7番の勝負で4勝(勝ち越し)できるかどうかが、出世の運命を左右する

もし相撲中継を見る機会があれば、早い時間の取組にも注目してみてください。

華やかなスポットライトは当たりませんが、そこには人生をかけて土俵に上がる若者たちの、嘘偽りのない真剣勝負があります。

彼らの中から、数年後に幕内を沸かせるスターが誕生する瞬間を、あなたの目で見届けてみてはいかがでしょうか。

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