相撲ファンなら一度は耳にする「三賞」。その中でも特に重みがあると言われるのが「殊勲賞」です。横綱や大関を倒せば必ずもらえると思っていませんか?実は、勝ち星の数だけでなく、土俵上の内容や優勝争いへの影響力が厳しく審査される、非常に狭き門なのです。「金星とは何が違うの?」「賞金はいくら?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、殊勲賞の明確な定義から、選考委員会による決定プロセス、そして力士の懐事情に直結する賞金の話までを網羅的に解説します。これを知れば、千秋楽の取組がいつもの何倍も熱く感じられるはずです。記事で解説する主なポイントは以下の通りです。
- 殊勲賞の正確な定義と受賞に必要な条件
- 金星との決定的な違いと対象範囲
- 歴代受賞者に見る傾向と難易度の変化
- 選考委員会の舞台裏と賞金額の詳細
殊勲賞とは何か?選考基準や横綱戦での勝利条件を詳しく解説
殊勲賞は三賞の中でも特に「強さ」を象徴する賞であり、力士にとって最高の名誉の一つです。しかし、単に強い相手に勝てば良いという単純なものではなく、その一勝が場所に与えたインパクトが問われます。ここでは、意外と知られていない受賞の必須条件や、選考の裏側にある厳格な基準について詳しく掘り下げていきます。
大相撲の歴史において、殊勲賞は多くの名力士たちが大関や横綱へと昇進する足がかりとしてきました。具体的な選考プロセスや、優勝争いとの関連性を理解することで、本場所の動向をより深く楽しめるようになります。まずは基本的な定義から確認していきましょう。
殊勲賞の基本的な定義と意味
殊勲賞の最も基本的な定義は、横綱や大関といった上位陣に勝利し、その場所を大いに盛り上げた力士に贈られるものです。特に、連勝街道を突き進む横綱に土をつけたり、優勝争いのトップを走る力士を直接対決で破ったりした場合に、その功績が高く評価されます。単なる白星ではなく、「誰に」「どのような状況で」勝ったかという質の部分が重要視されるのが特徴です。
この賞は、文字通り「殊勲(格別な手柄)」を立てた力士を称えるためのものであり、三賞の中でも最も競技的な実力が反映されやすい賞と言えます。そのため、平幕力士だけでなく、関脇や小結といった三役力士も受賞対象となる点がポイントです。力士にとっては、自身の実力が上位に通じることを証明する絶好の機会となります。
また、優勝した力士自身が殊勲賞を受賞することは稀ですが、関脇以下の力士が優勝を果たした場合には、その偉業自体が殊勲として評価され受賞することもあります。つまり、上位陣を倒すことと、優勝争いの主役になることの二つが、この賞の核心部分にあるのです。
選考委員会による決定プロセス
殊勲賞を含む三賞の受賞者は、千秋楽の当日に開催される「三賞選考委員会」によって決定されます。この委員会は、日本相撲協会の審判委員や相撲記者クラブの担当記者などで構成され、厳正な投票と議論が行われる場です。かつては千秋楽の前日に予備選考が行われていましたが、現在は千秋楽の取組直前や取組中に議論が交わされ、最終決定に至ります。
選考のプロセスでは、出席者の過半数の賛成を得ることが受賞の条件となっており、満場一致で決まることもあれば、意見が割れて決選投票になることもあります。記者の視点と親方の視点が交錯するため、単に成績が良いだけでは選ばれないことも多々あるのが面白いところです。時には「印象度」や「相撲内容の充実度」が合否を分ける要因となります。
また、千秋楽の取組結果待ちという「条件付き受賞」もしばしば発生します。「千秋楽で勝てば受賞」「勝って二桁勝利(10勝)に乗せれば受賞」といった条件が課されることがあり、力士にとっては最後の一番に大きなプレッシャーと期待がかかることになります。
勝ち越し(8勝)以上の絶対条件
どれほど横綱を倒して素晴らしい相撲を取ったとしても、最終的にその場所を「勝ち越し(8勝以上)」で終えなければ、殊勲賞を受賞することはできません。これは三賞すべてに共通する絶対的なルールであり、負け越し(7勝以下)の力士が選考対象になることはありません。そのため、序盤で金星を挙げて活躍しても、終盤で失速して負け越せば賞は幻となります。
この「勝ち越し条件」は、一発屋的な活躍ではなく、場所を通して安定した実力を発揮したことを担保するためのものです。実際に、横綱や大関を倒しながらも、他の平幕力士に取りこぼして7勝8敗で終わるケースは珍しくなく、そのたびに「惜しくも受賞ならず」と報じられます。力士にとっては、上位戦の勝利と同じくらい、取りこぼしを無くすことが重要なのです。
逆に言えば、8勝7敗というギリギリの成績であっても、その中身が濃ければ受賞の可能性は十分にあります。例えば、優勝した横綱に唯一の黒星をつけた力士が8勝7敗だった場合、その1勝の価値が極めて高いと判断され、殊勲賞に選出されることも過去にはありました。
横綱や大関を倒すことが必須条件か
一般的に殊勲賞は「横綱・大関を倒した力士」というイメージが強いですが、必ずしもそれだけが条件ではありません。確かに上位陣撃破は大きなアピールポイントになりますが、横綱不在の場所や、上位陣が総崩れの場所では、別の基準が適用されることがあります。それは「優勝力士を倒したかどうか」や「優勝争いを最後まで演じたかどうか」という点です。
例えば、平幕力士が優勝した場合や、優勝決定戦まで進出した場合には、対戦相手に横綱が含まれていなくても殊勲賞が授与されることがあります。これは、その場所の優勝争いを面白くした功績、つまり「殊勲」があったと認められるからです。したがって、番付上位との対戦が組まれにくい平幕下位の力士にも、チャンスはゼロではありません。
しかし、現実的な傾向として、三役や平幕上位の力士が受賞者の大半を占めるのは事実です。彼らは毎場所のように横綱・大関と総当たりするため、殊勲のチャンスが多く巡ってきます。裏を返せば、上位総当たりの地位で勝ち越すこと自体が難しく、それゆえに殊勲賞の価値は高いとされています。
優勝または優勝に準ずる成績の重要性
殊勲賞の選考において、「優勝に準ずる成績」という言葉がよく使われます。これは具体的に、優勝力士と星一つの差であったり、千秋楽まで優勝の可能性を残していたりする状態を指します。横綱や大関を倒していなくても、この「準優勝」クラスの成績を収めたことで、場所を盛り上げた功労者として殊勲賞に選ばれるケースがあります。
特に近年では、横綱が休場して不在となる場所も増えており、その場合は誰が優勝争いの主役になったかが重要視されます。単に勝ち星が多いだけなら「敢闘賞」に回ることも多いですが、その勝ち星の中に、好調なライバルを直接対決で止めた一番が含まれていると、殊勲賞の評価が高まります。つまり、数字以上の「勝負強さ」が求められるのです。
このように、殊勲賞は「対戦相手の質」と「成績の質」の両面から評価されます。優勝力士に土をつけ、かつ自分自身も二桁勝利を挙げるような活躍をした場所では、文句なしの満票で選出されるでしょう。逆に、どんなに星を稼いでも、重要な一番であっさり敗れていると、評価が見送られることもあります。
殊勲賞と金星の違いとは?報奨金や記録上の扱いを比較
よく混同されがちな「殊勲賞」と「金星」。どちらも横綱を倒した際に話題になりますが、実は対象となる力士の範囲や、得られる恩恵には明確な違いが存在します。ここでは、相撲界の独特な給金システムや記録上の扱いという観点から、両者の違いを浮き彫りにします。
殊勲賞は「その場所限りの評価」であるのに対し、金星は「力士人生に長く影響する勲章」という側面があります。それぞれの定義を正しく理解することで、力士が横綱戦に懸ける並々ならぬ執念の理由が見えてくるでしょう。具体的な違いを比較しながら解説します。
金星は平幕が横綱に勝つことの定義
金星とは、平幕(前頭)の力士が横綱に勝つことだけを指す特別な用語です。ここで重要なのは「平幕」という条件で、小結・関脇といった三役以上の力士が横綱に勝っても、それは金星とは呼ばれません。また、大関に勝った場合も「銀星」という俗称で呼ばれることはありますが、公式な記録や特典としての金星には該当しません。
金星を獲得することは、平幕力士にとって最大級の名誉であり、場内には座布団が舞うほどの熱狂が生まれます。しかし、どんなに素晴らしい勝ち方をしても、反則勝ちや不戦勝の場合は金星として認められないという厳しいルールもあります。あくまで土俵上で正々堂々と横綱を倒した時のみに与えられる称号なのです。
一方、殊勲賞は先述の通り、関脇や小結などの三役力士も受賞対象になります。つまり、三役力士が横綱を倒した場合、金星にはなりませんが、その勝利が評価されて殊勲賞につながる可能性は十分にあります。ここが、ポジションによる両者の決定的な違いと言えるでしょう。
殊勲賞は役力士でも受賞可能という違い
殊勲賞の大きな特徴は、受賞資格を持つ力士の範囲が広いことです。関脇以下の幕内力士であれば誰でも対象となるため、三役(関脇・小結)で好成績を収めた力士が常連となる傾向があります。実際に、後の大関や横綱たちが、若手時代の三役定着期に殊勲賞を積み重ねて昇進への足固めをしてきました。
これに対し、金星は平幕に落ちて初めて獲得の権利が発生します。そのため、実力がありながら長く三役を維持している力士は、横綱を何度倒しても金星の数はゼロのままという珍現象が起きます。例えば、元大関の魁皇や千代大海などは三役在位が長かったため、横綱戦の勝利数の割に金星の数は少ないという特徴があります。
このように、殊勲賞は「地位に関わらず活躍した力士」に与えられる賞であり、金星は「下位の者が上位を倒すジャイアントキリング」に対する褒美という性格の違いがあります。三役力士にとっては、金星がない分、この殊勲賞こそが横綱撃破の証となるのです。
賞金と給金加算における経済的な差
経済的なメリットという点でも、殊勲賞と金星には大きな違いがあります。殊勲賞を受賞すると、賞金として一律200万円が支給されます。これは一時金であり、その場所ごとのボーナスのようなものです。ダブル受賞なら400万円と高額になりますが、あくまで一度きりの収入となります。
対照的に、金星の経済効果は永続的です。金星を一つ獲得すると、力士の給与に反映される「持ち給金」が10円加算されます。この10円は、場所ごとの支給額に換算すると4,000倍の4万円になります。つまり、金星一つにつき年6場所で年間24万円が、現役を引退するまでずっと給料に上乗せされ続けるのです。
もし金星を10個獲得すれば、それだけで年間240万円のベースアップとなります。このように、殊勲賞は「短期的な高額報酬」、金星は「長期的な年金のような報酬」という側面を持っています。力士たちにとって、どちらも喉から手が出るほど欲しいものであることに変わりはありません。
過去の受賞傾向から見る殊勲賞の難易度とパターン
三賞の中でも、殊勲賞は特に獲得が難しい賞だと言われています。敢闘賞や技能賞は自分の相撲内容次第で受賞できる可能性がありますが、殊勲賞は「相手」の存在が不可欠だからです。ここでは、過去のデータや傾向から、その難易度や受賞パターンを分析します。
時には「該当者なし」という厳しい結果になることもあれば、一人の力士が何度も受賞して伝説となることもあります。歴史を振り返ることで、この賞がいかに特別な輝きを放っているかが分かるでしょう。歴代の名力士たちの記録にも触れていきます。
1場所で複数の力士が受賞するケース
殊勲賞は、必ずしも一人の力士だけに贈られるわけではありません。横綱が不調で金星配給が続いた場所や、最後まで混戦の優勝争いが続いた場所では、2名以上の力士が同時に殊勲賞を受賞することがあります。これは、それぞれの力士が甲乙つけがたい功績を挙げたと認められた場合に起こる現象です。
例えば、優勝力士を倒した力士と、横綱・大関を複数倒して二桁勝利を挙げた力士がいた場合、選考委員会で票が割れることなく、両者に授与されることがあります。賞金は山分けではなく、それぞれに満額の200万円が支払われるため、力士たちにとっても嬉しい結果となります。
しかし、三賞全体のバランスを考慮して、一方は殊勲賞、もう一方は敢闘賞や技能賞に回るといった調整が行われることも少なくありません。複数の受賞者が出る場所は、それだけ波乱に満ちた面白い場所であった証拠とも言えるでしょう。
該当者なしとなる場合の理由と背景
近年、三賞選考の結果発表で「殊勲賞:該当者なし」という言葉を聞くことが増えています。これには明確な理由があります。最大の要因は、横綱や大関陣の成績不振、あるいは休場により、評価対象となる「倒すべき強敵」が不在になってしまうケースです。
また、横綱を倒した力士がいても、その力士自身が負け越してしまったり、勝ち越しても8勝7敗と成績が振るわなかったりすると、選考委員会で「殊勲賞に値しない」と判断され見送られます。殊勲賞は格式ある賞であるため、安売りはしないという選考委員の厳格な姿勢が反映されているのです。
さらに、誰が優勝するかわからない大混戦となり、決定的な働きをした力士を特定できない場合も該当者なしになりがちです。このように、殊勲賞が出るかどうかは、力士の実力だけでなく、場所全体の展開や上位陣の充実度といった運の要素も絡んでくるのです。
連続受賞や最多受賞記録を持つ力士
長い大相撲の歴史の中で、殊勲賞を最も多く獲得した力士は誰なのでしょうか。記録に残る最多受賞者は、元大関の朝潮(4代目)と魁皇の10回です。彼らは長く上位で活躍し、特に横綱キラーとして恐れられた存在でした。彼らのように二桁の受賞回数を誇る力士はごくわずかです。
また、大関や横綱に昇進する前の若手時代に、連続して殊勲賞を獲得する力士もいます。これは「次期大関候補」としての最強の証明書です。例えば、元横綱の稀勢の里や、現在の有力力士たちも、三役時代に殊勲賞を獲得してその実力を満天下に示してきました。
一方で、実力がありながら殊勲賞に縁がない力士もいます。現大関の豊昇龍などは、関脇時代に横綱戦での勝利に恵まれず、殊勲賞未受賞のまま大関に昇進した珍しい例として知られています。記録を紐解くことで、力士ごとのキャリアの特異性が見えてくるのも興味深い点です。
殊勲賞を受賞することで得られるメリットと昇進への影響
殊勲賞は単なる名誉や賞金だけでなく、力士の出世に直結する重要な意味を持っています。特に大関や横綱を目指す力士にとって、この賞の獲得数は昇進審議における強力な説得材料となります。ここでは、受賞がもたらす具体的なメリットについて解説します。
200万円という大金は力士にとってどのような意味を持つのか、そして昇進の可否を握る審判部が殊勲賞をどう評価しているのか。ファンからは見えにくい、プロとしてのキャリア形成に関わる部分に焦点を当ててみましょう。
賞金200万円と副賞の具体的な内容
殊勲賞の賞金は一律200万円です。これは敢闘賞や技能賞と同額ですが、一般のサラリーマンの年収の何分の一かを一場所(15日間)で稼ぎ出すわけですから、夢のある金額と言えます。もし三賞のうち二つを同時に受賞する「ダブル受賞」となれば400万円、極めて稀な「トリプル受賞」なら600万円が一気に入ることになります。
また、現金だけでなく、スポンサーから提供される副賞も豪華です。地域や時期によって異なりますが、お米や牛肉、特産品などが山のように贈呈されることもあります。表彰式で力士が抱えるトロフィーや盾の数々は、そのまま彼らの経済的な成功を物語っているのです。
この賞金は、力士自身の貯蓄に回るほか、部屋の若い衆への「祝儀」として振る舞われたり、お世話になった後援会との祝賀会費用に充てられたりします。相撲界には「稼いだ金は還元する」という文化もあり、殊勲賞は部屋全体の活気にもつながる重要な資金源なのです。
大関や横綱への昇進における判断材料
大関昇進の目安としてよく言われるのが「三役で直近3場所合計33勝以上」という数字です。しかし、ただ勝てば良いわけではありません。その33勝の中身が問われます。ここで重要になるのが殊勲賞の有無です。昇進を審議する際、殊勲賞を獲得していることは「上位陣と互角以上に渡り合える実力がある」という強力な証明になります。
特に、33勝にわずかに届かない場合や、昇進が微妙なラインの時、殊勲賞の獲得歴が後押しとなって昇進が決まるケースもあります。「数字は足りないが、横綱を倒して優勝争いを演じた殊勲の内容が良い」と評価されるのです。逆に、格下相手に勝ち星を稼いだだけでは、昇進が見送られることもあります。
つまり、殊勲賞は大関・横綱への「パスポート」のような役割を果たしています。歴代の名横綱たちも、例外なく若手時代に殊勲賞を獲得し、そこから一気に番付を駆け上がっていきました。この賞を取れるかどうかが、名力士になれるかどうかの分水嶺とも言えるでしょう。
力士としての格や評価への長期的な影響
殊勲賞の受賞歴は、引退後の評価にも影響を与えます。親方として弟子を指導する際や、相撲解説者として語る際に、「現役時代に殊勲賞を〇回獲得した」という実績は、言葉の重みや説得力につながります。記録として永遠に残るため、力士としての「格」を底上げしてくれるのです。
また、ファンにとっても「あの場所で横綱を倒したあの力士」という強烈な記憶として残ります。記録よりも記憶に残る力士の多くは、ここぞという場面で殊勲賞を獲得し、土俵を沸かせてきました。人気力士になるためにも、この賞は避けて通れない関門と言えます。
現役中においても、殊勲賞常連力士となれば、上位陣からは「油断ならない相手」としてマークされ、ファンからは「大物食い」として期待されます。そのプレッシャーの中で結果を出し続けることが、真の強さを養うことにつながっていくのです。
初心者が知っておきたい殊勲賞にまつわる豆知識と観戦ポイント
最後に、これからの相撲観戦がもっと楽しくなる、殊勲賞にまつわる豆知識や観戦ポイントを紹介します。千秋楽のテレビ中継を見ていると、アナウンサーが「この一番に勝てば殊勲賞です」と実況することがあります。その瞬間の緊張感を知れば、相撲の奥深さがより味わえるはずです。
選考結果が発表されるタイミングや、受賞インタビューでの力士の表情など、土俵上の勝負以外にも注目すべき点はたくさんあります。これを知っているだけで、あなたも立派な相撲通の仲間入りです。
千秋楽の取組が受賞を左右する瞬間
殊勲賞の行方は、千秋楽までもつれ込むことがほとんどです。選考委員会では「千秋楽の○○戦に勝つことを条件に殊勲賞を与える」という決定がよくなされます。これを「条件付き受賞」と呼びます。この情報がアナウンスされると、その一番は単なる一勝以上の重みを持つことになります。
力士も当然そのことを知っていますから、目の色が変わります。賞金200万円と名誉がかかった一番での気迫は凄まじく、時に横綱相手に奇跡のような逆転劇を生むこともあります。観戦する側としても、「勝てば殊勲賞、負ければなし」という状況を知って応援することで、手に汗握る興奮を味わえます。
もし千秋楽で、殊勲賞候補の力士が登場したら、ぜひ注目してください。その一番には、力士のプライドと欲、そして相撲人生がかかっていると言っても過言ではありません。その緊張感を楽しむのも、千秋楽ならではの醍醐味です。
インタビューで語られる受賞の喜びと重み
千秋楽の全取組終了後、優勝力士と共に三賞受賞者の表彰式が行われます。また、テレビ中継では受賞直後の喜びのインタビューが放送されることもあります。ここで力士が語る言葉には、その場所にかける思いや、苦しい稽古の成果が滲み出ています。
「横綱に勝てて自信になった」「先場所怪我で苦しんだから嬉しい」といったコメントからは、力士の人間ドラマが垣間見えます。殊勲賞のトロフィーを受け取る時の誇らしげな表情は、優勝パレードにも劣らない感動的なシーンです。
時には、受賞を逃して悔しさを滲ませる力士の姿が映し出されることもあります。そうした感情の機微も含めて、三賞を巡るドラマを追いかけると、次の場所への期待がさらに高まることでしょう。
殊勲賞予想をしながら観戦する楽しみ方
場所が終盤に差し掛かると、相撲ファンの間では「今場所の殊勲賞は誰か?」という予想談義が盛り上がります。「あの横綱を倒した〇〇が有力だ」「いや、最後まで優勝を争っている△△だろう」といった予想をしながら観戦するのは、非常に楽しいものです。
自分なりに選考委員になったつもりで、受賞者を予想してみてください。ポイントは「誰を倒したか」「勝ち星はいくつか」「場所を盛り上げたか」の3点です。自分の予想と実際の結果が一致した時の快感は格別です。
また、SNSなどで他のファンの予想を見るのも一興です。多様な視点を知ることで、相撲の見方が広がり、より深く競技を愛することができるようになるでしょう。ぜひ次回の本場所では、殊勲賞の行方にも注目してみてください。
まとめ
殊勲賞は、単に相撲が強いだけでなく、場所の主役級の活躍を見せた力士に贈られる特別な勲章です。横綱や大関を倒す「ジャイアントキリング」の興奮と、優勝争いを左右する「勝負強さ」の両方が求められる、非常に難易度の高い賞であることがお分かりいただけたでしょうか。
最後に、今回の記事の要点をまとめます。
- 定義:横綱・大関への勝利や、優勝争いに大きく貢献した関脇以下の力士に贈られる。
- 条件:勝ち越し(8勝以上)が絶対条件であり、内容やインパクトが重視される。
- 金星との違い:殊勲賞は三役も対象で賞金は一時金。金星は平幕のみで給金に永続加算。
- 観戦の楽しみ:千秋楽の「条件付き受賞」や、昇進をかけた力士の気迫に注目。
次の本場所では、ぜひ「誰が殊勲賞の候補か?」という視点を持って土俵を見つめてみてください。横綱に挑む若手の目の色や、千秋楽の鬼気迫る一番が、これまでとは違ったドラマチックなものに見えてくるはずです。あなたの相撲観戦が、より深く、熱いものになることを願っています。


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