相撲の番付ピラミッドを完全図解!階級ごとの給料や待遇の格差とは?

日本の国技である大相撲は、スポーツ界でも類を見ないほど厳格な階級社会によって成り立っています。
その構造は完全なピラミッド型をしており、頂点に立つ横綱から底辺の序ノ口まで、地位によって待遇や生活環境が天と地ほど異なります。

本記事では、相撲界の番付ピラミッドの全貌と、階級ごとの具体的な定員数、そして驚くべき給料格差について詳しく解説します。
番付の仕組みを正しく理解することで、土俵上の勝負だけでなく、その裏にある力士たちのハングリー精神や人間ドラマをより深く味わえるようになるでしょう。

  • 完全実力主義である番付ピラミッドの正確な階層構造
  • 関取と力士養成員の間に存在する「天国と地獄」の待遇差
  • 厳しい昇進ルールと降格の仕組みが生む緊張感

相撲の番付ピラミッド構造とは?階級一覧と定員を徹底解説

大相撲の番付は、上から順に大きく6つの階級に分かれており、その総数は約600名前後にのぼります。
この巨大なピラミッドの中で、テレビ中継で目にする華やかな力士たちは、実はほんの一握りの存在に過ぎません。

ここでは、各階級の定員と特徴を上から順に見ていきましょう。
それぞれの地位には厳密な定員や条件が設けられており、その枠を巡って毎場所激しい争いが繰り広げられています。

幕内(横綱・大関・関脇・小結・前頭)

ピラミッドの最上層に位置するのが「幕内」であり、定員は42名と決められています。
最高位の「横綱」は神聖な地位として定員はありませんが、成績不振でも降格がない代わりに引退を迫られる厳しい立場です。

「大関」も特定の定員はありませんが、通常は東西に1名以上、合計2名以上が必要とされています。
その下の「関脇」と「小結」は「三役」と呼ばれ、東西に最低1名ずつ置かれますが、成績優秀者が多い場合は増員されることもあります。

「前頭(平幕)」は幕内のその他の枠を埋める力士たちで、ここまでが最高ランクのカテゴリーです。
幕内力士になれば、NHKのテレビ中継で毎日取組が放送され、全国的な知名度を得ることができます。

十両(十枚目)

幕内の一つ下に位置するのが「十両(正式名称:十枚目)」で、定員は東西14枚ずつの計28名と決まっています。
この十両以上の力士が「関取」と呼ばれ、一人前のプロ相撲取りとして扱われる重要な境界線です。

十両の地位は非常に狭き門であり、ここに入ることができるかどうかが、力士人生を大きく左右します。
幕内と合わせても関取の総数は70名しかおらず、全関取の約1割強しかこの地位にたどり着くことはできません。

十両になると15日間の本場所すべてで取組が組まれ、土俵入りも行われます。
化粧廻しを締めて土俵に上がる姿は、多くの若手力士たちが夢見る憧れの舞台なのです。

幕下

関取の下に位置するのが「幕下」で、定員は東西60枚ずつの計120名です。
ここは「力士養成員」と呼ばれる見習いの立場であり、関取を目指す若手有望株と、関取から陥落したベテランが混在する激戦区です。

幕下の取組は1場所につき7番しかなく、基本的に2日に1回のペースで土俵に上がります。
ここで勝ち越すことは容易ではなく、特に上位の「幕下上位」は十両昇進をかけた鬼気迫る相撲が展開される場所です。

プロ野球で言えば二軍のような位置づけですが、待遇面では関取と雲泥の差があります。
多くの力士がこの厚い壁に跳ね返され、夢半ばで引退していく厳しい世界です。

三段目

幕下の下にあるのが「三段目」で、定員は東西100枚ずつの計200名と定められています。
この階級から人数が一気に増え、大部屋での生活や雑用の負担も大きくなります。

三段目の力士も幕下と同様に、1場所7番の相撲を取ります。
新弟子時代から順調に勝ち上がってきた力士でも、ここで初めて壁にぶつかることが少なくありません。

ベテラン力士も多く在籍しており、若手にとっては経験の差を見せつけられることもあります。
この地位を抜け出し、幕下へ上がることは、関取への道のりの第一歩と言えるでしょう。

序二段・序ノ口

ピラミッドの底辺を支えるのが「序二段」と「序ノ口」で、この2つの階級には定員がありません。
入門したばかりの新弟子は、まず前相撲を取り、次の場所で序ノ口の番付に名前が載ります。

序二段は最も人数の多い階級になることが多く、自分と同じくらいの実力の力士がひしめき合っています。
ここでは基本的な体の使い方や土俵度胸を身につける段階であり、将来の横綱も必ずここからスタートします。

序ノ口は番付の一番下に小さく名前が書かれる地位ですが、それでもプロの力士として認められた証です。
怪我で長期休場した元関取がここから再起を図るケースもあり、稀に実力差の激しい取組が見られることもあります。

関取と力士養成員の決定的な違い!待遇や生活環境の格差

相撲界には「幕下以下は虫けら同然」という厳しい言葉があるほど、関取(十両以上)と力士養成員(幕下以下)の待遇差は強烈です。
その差は単なる給料の違いだけでなく、衣食住すべての面において明確な線引きがなされています。

ここでは、プロスポーツ界でも類を見ないほどの「天国と地獄」の格差について詳しく見ていきます。
この待遇の差こそが、力士たちが死に物狂いで番付を上げようとする最大のモチベーションになっているのです。

給料(月給)の有無と年収差

最も大きな違いは、毎月の給料(月給)が支給されるかどうかという点です。
十両以上の関取には毎月決まった月給が支払われますが、幕下以下の力士養成員には月給が一切ありません。

具体的には、横綱の月給は約300万円、幕内は約140万円、十両でも約110万円が支給されます。
これに加えて賞与や出張手当などが加算されるため、関取になれば年収1000万円プレイヤーの仲間入りを果たします。

一方、幕下以下の力士には「場所手当」として、年6回の本場所ごとに10万円前後〜16万円程度が支給されるのみです。
年収に換算すると100万円にも満たないケースが大半であり、この経済的な格差は圧倒的と言わざるを得ません。

付き人の有無と土俵入り

関取になると、身の回りの世話をしてくれる「付き人」が幕下以下の力士から選ばれて付きます。
食事の配膳、風呂の世話、荷物の運搬、着替えの手伝いなど、生活のあらゆる面でサポートを受けることができます。

逆に言えば、幕下以下の力士は、自分より年下であっても関取の付き人として働かなければなりません。
自分の稽古時間を確保しながら兄弟子の世話をする日々は過酷ですが、近くで関取の技術や生活態度を学べる機会でもあります。

また、関取だけが許される「土俵入り」も大きな名誉の一つです。
鮮やかな化粧廻しを締めて土俵を一周し、観客から拍手を浴びる瞬間は、選ばれた者だけの特権です。

化粧廻しと大銀杏

テレビで見る力士の象徴である、きらびやかな「化粧廻し」と、髪を大きく結った「大銀杏(おおいちょう)」。
実はこれらも、原則として十両以上の関取にしか許されていない特権的な装いです。

幕下以下の力士は、土俵入りの儀式がないため化粧廻しをつける機会がありません。
取組の際も、関取が締める絹の「締め込み」ではなく、黒くて硬い木綿の廻しを使用します。

髪型についても、幕下以下の力士はシンプルな「丁髷(ちょんまげ)」を結います。
大銀杏を結うことができるのは、関取になるか、あるいは断髪式などの特別な儀式の時だけに限られているのです。

番付はどうやって決まる?昇進と降格の厳格なルール

番付は、毎場所の成績に基づいて「番付編成会議」によって決定されます。
基本的には「勝ち越し」か「負け越し」かで上下しますが、上位にいけばいくほどその基準はシビアになります。

ここでは、番付が変動するメカニズムと、力士たちが恐れる降格のルールについて解説します。
運の要素も多少絡みますが、基本的には数字がすべての冷徹な実力社会のルールが適用されています。

本場所の勝ち越しと負け越し

番付昇降の基本ルールは極めてシンプルで、勝ち越せば番付が上がり、負け越せば下がります。
関取は15日間で8勝以上、幕下以下は7番勝負で4勝以上すれば「勝ち越し」となります。

一般的に、勝ち越した勝ち星の数だけ番付の枚数が上がると言われています。
例えば前頭8枚目で10勝5敗(2つの勝ち越し)なら、翌場所は前頭6枚目前後まで上がることが予想されます。

逆に負け越した場合は、負け越しの数だけ番付が下がることになります。
怪我による休場も「負け」としてカウントされるため、長期休場は番付の大幅な降下を意味します。

番付編成会議の仕組み

千秋楽の3日後に開かれる「番付編成会議」で、翌場所の番付が正式に決定されます。
ここでは単なる勝敗数だけでなく、対戦相手の質や相撲の内容、そして各階級の定員の空き状況なども考慮されます。

特に昇進枠が限られている三役(関脇・小結)や十両への昇進は、運の要素も大きく関わってきます。
好成績を残しても、上位に空きがなければ昇進が見送られる「番付運」の良し悪しに泣く力士も少なくありません。

この会議の内容は極秘とされており、新番付が発表されるまでの数週間、力士たちは不安と期待の中で過ごします。
発表当日の朝、部屋に届けられる番付表を見て初めて自分の地位を知ることになるのです。

カド番大関と横綱の引退勧告

番付の頂点に立つ大関と横綱には、一般の力士とは異なる特別なルールが適用されます。
大関は2場所連続で負け越すと、関脇へと陥落してしまうという厳しい規定があります。

負け越した直後の場所は「カド番」と呼ばれ、ここで勝ち越さなければ地位を失う絶体絶命の状況となります。
ただし、陥落直後の場所で10勝以上すれば大関に復帰できるという特例救済措置も用意されています。

一方、横綱には降格という制度が存在しませんが、その代わりに「引退」の二文字が常に付きまといます。
成績不振や休場が続くと、横綱審議委員会から注意や引退勧告が出され、自ら土俵を去る決断を迫られるのです。

相撲界の服装や身の回りのルール!番付で変わる特権

相撲界の階級差は、土俵以外の日常生活における服装や履物にまで明確に規定されています。
一目見ただけでその力士の地位がわかってしまうほど、身につけるものには厳格なルールが存在します。

ここでは、番付によって許される服装や生活スタイルの違いについて紹介します。
これらのルールは、伝統を守るためだけでなく、下位力士の向上心を刺激するための装置としても機能しています。

着物・履物の違い

力士が場所入りや外出をする際の服装は、番付によって素材や種類が細かく決められています。
関取は紋付袴や羽織の着用が許され、高品質な絹の着物を着ることができますが、幕下以下は浴衣やウールなどの簡易的な着物が基本です。

また、冬場の上着に関しても、関取はコートやジャンパーの着用が認められていますが、幕下以下は薄着で過ごさなければなりません。
真冬でも薄手の着物一枚で生活することは、修行の一環として心身を鍛える意味合いも含まれています。

履物については、関取は畳敷きの雪駄や革靴を履くことができますが、幕下以下はエナメル等の雪駄を素足で履くのが決まりです。
足袋を履くことが許されるのは三段目以上からという細かい規定もあり、足元の寒さも地位によって異なるのです。

髷(まげ)の形と整髪

前述の通り、関取は大銀杏を結うことが許されますが、それ以外にも整髪料や手入れの方法に違いがあります。
関取の髪は専門の床山(とこやま)が時間をかけて丁寧に結い上げ、鬢付け油の甘い香りを漂わせます。

一方、幕下以下の力士の丁髷は、比較的手早く結われることが多く、床山の階級も若い見習いが担当することが一般的です。
髪結いは相撲界の美学の象徴であり、立派な大銀杏を結ってもらうことは、力士としての成功の証でもあります。

引退時の断髪式で鋏を入れる際も、大銀杏があるかどうかで式の格式や雰囲気は大きく変わります。
髷の形一つにも、その力士が積み上げてきた実績と地位が反映されているのです。

部屋での生活スペースと食事順

相撲部屋での生活においても、番付は絶対的な序列として機能しています。
関取には個室が与えられ、プライベートな空間と時間を確保することができますが、幕下以下は大部屋での共同生活が基本です。

食事(ちゃんこ)の順番も厳格に決まっており、まずは親方と関取衆が食事をとり、幕下以下の力士はその給仕を行います。
関取が食べ終わった後、残った料理を幕下、三段目、序二段、序ノ口の順で食べていくのが伝統的なスタイルです。

また、風呂に入る順番や洗濯の優先順位など、生活のあらゆる場面で番付上位者が優先されます。
早く出世して個室に入り、温かいちゃんこをお腹いっぱい食べたいという欲求が、若手力士の原動力となっているのです。

まとめ

大相撲の番付ピラミッドは、実力だけがすべての冷徹かつ公平なシステムです。
たった一つの勝ち越しや負け越しが、翌場所の給料や生活環境を劇的に変えてしまう世界で、力士たちは日々戦っています。

関取と呼ばれる上位約1割の座を目指し、600人近い男たちがしのぎを削る姿は、まさに現代に残る究極の競争社会と言えるでしょう。
この構造を知った上で見る相撲は、一見地味な前相撲や幕下の取組であっても、これまでとは違った重みと熱量を感じられるはずです。

次に番付表やテレビ中継を見る際は、ぜひ力士の地位や階級にも注目してみてください。
その地位にたどり着くまでの過酷な道のりと、それを守り抜くための執念が、土俵上の攻防をよりドラマチックに彩ってくれることでしょう。

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