大相撲大阪場所の中継を見ていると、土俵下の砂かぶり席に、揃いの「茶色の陣羽織」を着た集団が座っていることに気づくはずです。彼らこそが、大阪場所の維持員団体である「東西会」のメンバーであり、関西財界の有力者たちによって構成されています。一般のファンには謎に包まれたこの組織ですが、実は相撲協会の運営を支える重要な役割を担っており、入会すること自体が一種のステータスとなっているのです。
- 大阪場所限定で見られる茶色の陣羽織集団の正体
- 関西財界のステータスとされる入会の難易度
- 近年ニュースにもなったチケット配分を巡る問題
相撲の東西会とは?大阪場所を彩る「茶色の陣羽織」の正体
大相撲の本場所において、特に大阪場所(春場所)で独特の存在感を放っているのが「東西会」と呼ばれる団体です。彼らは単なる相撲ファンではなく、日本相撲協会と協力関係にある公的な維持員組織として、土俵のすぐそばで取組を見守っています。
ここでは、東西会という組織の基本的な概要や特徴、そしてなぜ彼らが特別な服装で観戦しているのかについて解説します。テレビ中継に映るあの集団の正体を知れば、大阪場所の観戦がより一層興味深いものになるはずです。
大阪場所限定の維持員団体
東西会は、東京の両国国技館で行われる場所における「溜会(たまりかい)」に相当する、大阪場所独自の維持員組織です。相撲協会に対して多額の維持費を納めることで運営をサポートしており、その見返りとして本場所の観戦席が割り当てられています。
この組織は関西を拠点とする企業や個人によって構成されており、大阪場所の風物詩とも言える存在になっています。東京の維持員とは異なる独自の運営体制を持っており、関西における相撲文化のパトロン的な役割を果たしているのです。
組織としての活動は観戦だけでなく、相撲道の奨励や力士への表彰など多岐にわたります。単にチケットを購入する一般客とは異なり、相撲界の発展に直接的に関与する「支援者」としての側面が強いのが特徴と言えるでしょう。
テレビに映る茶色の陣羽織の意味
大阪場所のテレビ中継で最も目を引くのが、土俵下の溜席(砂かぶり席)を埋め尽くす、茶色の陣羽織(場所衣)を着用した人々です。これは東西会の会員である証であり、入場後に会場内の事務所で着用してから着席することが義務付けられています。
この陣羽織には、組織の一員としての誇りと規律を示す意味が込められており、勝手に脱いだり着崩したりすることは許されません。揃いの衣装を身にまとうことで、神聖な土俵周りの景観を統一し、厳粛な雰囲気を醸し出す効果もあります。
また、この服装は行司や呼び出しの装束とも調和するようにデザインされており、大相撲という伝統芸能の一部としての役割も担っています。彼らが整然と並んで座る姿は、大阪場所ならではの華やかさと格式を象徴する光景となっているのです。
一般の観客席との決定的な違い
東西会の会員が座る「維持員席」は、一般販売されているチケットで購入できる席とは明確に区分されています。通常の升席や椅子席とは異なり、土俵の土が飛んでくるほどの至近距離にある「砂かぶり」と呼ばれるエリアが彼らの指定席です。
この席は本来、審判委員が座る位置と同様に、勝負の判定を見極めることができる重要な場所でもあります。そのため、会員には単なる観戦者以上の緊張感とマナーが求められ、飲食や私語などは厳格に禁止されています。
一般のファンがこのエリアに座ることは極めて難しく、まさに選ばれた人間だけが座れる聖域と言っても過言ではありません。その特別感こそが、多くの相撲ファンや財界人が東西会への入会を憧れる最大の理由の一つなのです。
関西財界におけるステータスの証
東西会の会員名簿には、関西を代表する企業の経営者や地元の名士たちが名を連ねています。この会に所属していること自体が、関西のビジネス界において「一人前の成功者」であるという証明やステータスとして機能している側面があります。
社交場としての機能も持っており、場所中の会場や関連行事を通じて、会員同士の交流や人脈作りが行われることも少なくありません。歴史ある組織の一員になることは、信用や名誉を得ることと同義であり、ビジネス上のメリットも大きいのです。
そのため、親から子へと会員権が引き継がれるケースも多く、代々東西会のメンバーであるという家系も存在します。伝統と格式を重んじる京都や大阪の文化圏において、この組織は独特の重みを持っていると言えるでしょう。
日本相撲協会との深い協力関係
東西会は単なる私的なファンクラブではなく、日本相撲協会の事業に協力することを目的とした公益性の高い団体です。長年にわたり、大阪場所の興行を経済的な面だけでなく、運営の実務的な面でも支え続けてきた実績があります。
例えば、成績優秀な力士への表彰や記念品の贈呈、さらには新弟子の勧誘や育成支援など、相撲界の底上げにも貢献しています。協会側にとっても、地方場所の成功には地元の有力な支援団体の協力が不可欠であり、両者は持ちつ持たれつの関係にあります。
このように、東西会は相撲という国技を次世代に継承していくための重要なパートナーとしての地位を確立しています。その活動は表舞台には出にくいものの、大相撲の歴史を語る上で欠かせない存在なのです。
東西会の入会条件と維持費!一般人が会員になる方法は?
茶色の陣羽織を着て土俵際で観戦できる東西会ですが、その入会ハードルは非常に高いことで知られています。誰でも会費さえ払えば入れるわけではなく、厳しい審査と既存会員からの紹介が必要となる閉ざされた世界です。
ここでは、気になる入会条件や費用の相場、そして会員になることで得られる具体的な特典について詳しく解説します。関西のステータスシンボルとも言えるこの組織の実態に迫ってみましょう。
厳格な入会審査と紹介制の壁
東西会に入会するためには、原則として既存の会員や関係者からの紹介が必要不可欠となります。一見さんお断りの会員制クラブのような側面があり、公式ウェブサイトから手軽に申し込めるようなものではありません。
紹介があったとしても、入会に際しては役員会による厳格な審査が行われ、社会的信用や人物像がチェックされます。反社会的勢力との関わりがないことはもちろん、相撲道の品格を損なわない人物であるかどうかが厳しく問われるのです。
そのため、資金力があるだけでは入会は認められず、地域での評判や家柄なども考慮されると言われています。この高い参入障壁こそが、東西会のブランド価値と会員の質を維持している最大の要因なのです。
維持員費用の相場と支払いシステム
東西会の会員になるためには、相撲協会に対して「維持費」と呼ばれる寄付金を納める必要があります。この費用は通常、数年分を一括で前払いするシステムが採用されており、その額は百万円単位になることが一般的です。
具体的な金額は時期や条件によって変動しますが、大阪場所の維持員として登録するには、6年分で約138万円以上といった高額な負担が求められるケースもあります。これに加えて、東西会自体の年会費や入会金が必要になる場合もあり、維持コストは決して安くありません。
しかし、会員たちはこれを単なるチケット代とは考えず、国技支援への寄付や名誉職への対価として捉えています。一般席の価格と比較すれば高額ですが、砂かぶり席の希少価値を考えれば、妥当な金額と考える会員も多いのです。
会員特典と砂かぶり席の確保
高額な費用と厳しい審査をクリアした会員には、大阪場所の期間中、毎日溜席(砂かぶり席)で観戦できる権利が与えられます。これはチケット争奪戦に参加することなく、最高のアングルで相撲を楽しめるという最大の特権です。
さらに、会員には番付表やカレンダーなどの記念品が配布されるほか、力士との交流会やパーティーに参加できる機会もあります。相撲部屋との繋がりも深くなり、贔屓の力士をより身近に応援することができるようになります。
また、会員証であるバッジや場所衣(陣羽織)を身につけることで、会場内での扱いもVIP級となります。単なる観客としてではなく、大相撲を支える「維持員様」として丁重にもてなされることも、会員ならではの喜びと言えるでしょう。
東西会で起きたトラブルと除名騒動!チケット問題の真相
歴史ある東西会ですが、近年では内部の運営体制やチケットの配分を巡ってトラブルが発生し、メディアでも報じられる事態となりました。特に、会員に公平に配られるはずの良席が一部の幹部に独占されていたのではないかという疑惑は、大きな波紋を呼びました。
ここでは、検索ユーザーの関心が高い「最近のトラブル」について、報道されている事実ベースで解説します。組織が抱える課題と、そこから見えてくる現状について理解を深めましょう。
溜席チケットの配分を巡る内部対立
東西会のチケット(維持員席券)は、原則として会員全員に対して公平に配分されるべきものです。しかし、テレビ中継によく映る「向正面」などの人気エリアの席が、特定の有力者や幹部に偏っているのではないかという不満が一部の会員から噴出しました。
本来であれば抽選やローテーションによって席が決まるはずですが、そのプロセスが不透明であるという指摘がなされたのです。この不公平感が長年の間に蓄積し、ついには内部告発やメディアへのリークという形で表面化することになりました。
この問題は単なる席の良し悪しの話にとどまらず、組織のガバナンスや公平性が問われる事態へと発展しました。伝統ある組織だからこそ、古い慣習と現代のコンプライアンス感覚との間で摩擦が生じた例と言えるかもしれません。
幹部による良席独占の疑惑とは
報道によると、一部の幹部会員が長年にわたり、テレビ映りの良い最前列の席を独占的に使用していた疑惑が持たれています。これにより、一般の会員は後列や死角になる席ばかりを割り当てられ、不利益を被っていたという主張です。
これに対して運営側は不正を否定しましたが、疑惑を持たれたこと自体が組織の信頼を損なう結果となりました。相撲協会も維持員制度の適正な運用を求めており、地方の維持員団体であっても透明性の確保が強く求められるようになっています。
この騒動の結果、一部の会員が除名処分となるなどの厳しい措置が取られたとも報じられています。内部の権力闘争や人間関係のもつれが背景にあるとも噂されており、閉鎖的な組織特有の難しさが露呈した形となりました。
組織の透明化に向けた今後の課題
一連の騒動を受けて、東西会を含む維持員団体には、運営の近代化と透明化が急務となっています。チケットの抽選方法を明確にしたり、会計報告をより詳細に行ったりするなど、会員全員が納得できるシステム作りが求められています。
また、時代に合わせて新しい血を入れることも課題の一つです。古くからの慣習に縛られすぎず、開かれた組織へと変革していくことが、今後の存続と発展には不可欠でしょう。
相撲ファンや社会からの厳しい目があることを意識し、コンプライアンスを遵守した運営を行うこと。それが、伝統ある東西会が信頼を回復し、今後も大相撲を支え続けていくための唯一の道なのです。
砂かぶり席(維持員席)での厳格な観戦ルールとマナー
東西会の会員が座る溜席は、土俵のすぐ下という特殊な環境であるため、一般席とは異なる厳格なルールが存在します。これらを守ることは会員の義務であり、違反した場合は退場や会員資格の剥奪などの重い処分が下されることもあります。
ここでは、砂かぶり席特有の禁止事項やマナーについて解説します。テレビで見ているだけでは分からない、緊張感あふれる観戦環境について知っておきましょう。
飲食や携帯電話の使用は厳禁
溜席では、観戦中の飲食は一切禁止されています。升席のように弁当やお酒を楽しみながら見ることはできず、水やお茶を飲むことさえ基本的には控える必要があります。これは神聖な土俵を汚さないための配慮です。
また、携帯電話やスマートフォンの操作、写真撮影も厳しく制限されています。特に取組中の撮影や通話は、力士の集中力を削ぐだけでなく、審判の妨げにもなるため絶対に行えません。
このように、溜席での観戦は娯楽というよりも「立会人」としての姿勢が求められます。長時間の正座や緊張感に耐えられる体力と精神力が必要とされる、過酷な席でもあるのです。
力士との接触事故に備える心構え
砂かぶり席の最大のリスクは、巨大な力士が土俵から転落してくる可能性があることです。150キロを超える巨体が直撃すれば大怪我につながるため、観戦中は常に土俵上の動きに集中していなければなりません。
もし力士が突っ込んできた場合、逃げることは許されず、むしろ力士を怪我させないように受け止める、あるいは避ける際も配慮が必要とされます。過去には骨折などの重傷を負った観客もいますが、基本的には自己責任とされています。
特に東西会の会員は高齢者も多いため、このリスクは無視できません。それでも最前列に座り続けるのは、迫力ある取組を間近で見たいという情熱と、相撲を支えるという強い使命感があるからこそでしょう。
中継に映り込む際の服装規定
溜席はNHKの相撲中継で全国に放送されるため、観客の服装や態度は非常に目立ちます。そのため、華美すぎる服装や不適切なメッセージが書かれた服などは避け、品位ある身なりをすることが求められます。
東西会の場合は茶色の陣羽織という制服がありますが、その下に着る服装も重要です。襟付きのシャツやスーツなど、陣羽織に相応しいフォーマルな服装を心がけることが暗黙のルールとなっています。
また、タオルを掲げたり大声で叫んだりする応援も、溜席ではマナー違反とされます。静かに、しかし熱く見守ることこそが、維持員としてのあるべき姿とされているのです。
昭和12年から続く東西会の歴史と相撲界への貢献活動
東西会は、戦前の昭和12年(1937年)に発足した非常に歴史のある団体です。80年以上にわたり、戦争や震災などの困難な時期を乗り越えながら、一貫して大相撲大阪場所を支え続けてきました。
最後に、この組織が歩んできた道のりと、相撲界に対して行ってきた具体的な貢献活動について振り返ります。伝統を守ることの難しさと尊さを感じていただけるはずです。
発足の経緯と目的とは
東西会は、当時の相撲協会の要請に応える形で、大阪を中心とした関西の有志によって設立されました。その主たる目的は、相撲道の奨励と振興、そして社会道義の昂揚に寄与することにあります。
発足当時は現在のような大規模な興行体制が整っていなかったため、地方場所の開催には地元の強力なバックアップが必要でした。東西会はその中核となり、チケットの販売促進や会場の確保などに尽力しました。
以来、時代の変化に合わせて組織の形を変えながらも、設立当初の志を受け継いできました。長きにわたり組織が維持されてきた背景には、関西人の相撲愛と、地域で国技を支えるというプライドがあったのです。
優秀力士への表彰と化粧まわし贈呈
東西会の活動の一つに、場所ごとに活躍した力士への表彰があります。三賞(殊勲・敢闘・技能)とは別に、東西会独自の視点で選出した力士に対し、記念品や金一封を贈呈してその栄誉を称えています。
また、横綱や大関などへの化粧まわしの贈呈も行ってきました。土俵入りで使用される絢爛豪華な化粧まわしの中には、東西会から寄贈されたものが数多く含まれており、伝統美の一端を担っています。
さらに、弓取り式を行う力士への化粧まわし贈呈など、裏方として場所を盛り上げる力士への支援も忘れません。こうした細やかな配慮が、力士たちとの信頼関係を築く礎となっているのです。
伝統を守り続ける組織の意義
近年、相撲界を取り巻く環境は大きく変化していますが、東西会のような伝統的な後援組織の存在意義は依然として大きいものがあります。デジタル化が進む現代においても、人と人との繋がりで成り立つ相撲興行の本質は変わらないからです。
古き良き伝統を守りつつ、新しい時代の要請にも応えていくこと。これは相撲協会だけでなく、それを支える維持員団体にも課せられた使命です。東西会が今後どのように進化していくかは、大相撲の未来を占う試金石ともなるでしょう。
私たちはテレビ画面越しに彼らの姿を見るだけですが、その背後には長い歴史と深い相撲愛があることを知っておくべきです。茶色の陣羽織は、単なるユニフォームではなく、伝統を背負う覚悟の証なのです。
まとめ
大相撲大阪場所で独特の存在感を放つ「東西会」について、その正体や仕組みを詳しく解説してきました。彼らは単なる観客ではなく、昭和12年から続く歴史ある維持員団体として、相撲興行を経済的・精神的に支える重要なパートナーです。
入会には厳しい審査と高額な費用が必要であり、関西財界のステータスシンボルとしての側面も持ち合わせています。一方で、近年のチケットトラブルに見られるような組織運営の課題も抱えており、伝統と透明性のバランスが問われる時期に来ているとも言えます。
- 東西会は大阪場所の運営を支える歴史ある維持員組織である
- 会員は茶色の陣羽織を着用し、砂かぶり席での観戦が許可される
- 入会は紹介制で厳格な審査があり、関西財界のステータスとなっている
- 今後は組織の透明化を図りつつ、伝統を継承していくことが期待される
次に大阪場所をテレビで観戦する際は、ぜひ土俵下の茶色の陣羽織にも注目してみてください。彼らの存在を知ることで、大相撲という文化の奥深さをより深く味わうことができるでしょう。興味を持った方は、相撲協会の維持員制度についてさらに調べてみるのも良いかもしれません。


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